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3/8(土) ピアノ公演@福山

2014年3月8日(土) 14時30分開演(14時開場)
うくやま芸術文化ホール・リーデンローズ (福山市松浜町2-1-10)
入場料:3000円(一般),1000円(学生)
主催/お問合せ: コンセール・ジャズ大衆舎 080-5480-2966 chopin-in-salsa[at]kba.biglobe.ne.jp


■寺内大輔(1974- ):《地層 Stratum》(2014, 委嘱作品・初演)
■L.v.ベートーヴェン(1770-1827):ピアノソナタ第29番変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィーア(Hammerklavier)」 [全4楽章]

(休憩15分)

■K.シュトックハウゼン(1928-2007): クラヴィア曲 X (1954/61)


使用楽器:ベーゼンドルファー・インペリアル(1994年製、92鍵)



3/8(土) ピアノ公演@福山_c0050810_12255625.jpg寺内大輔:《地層 Stratum ―ピアノのために》(2014)

  演奏表現において,音楽の持つ様式感は,きわめて重要な要素のひとつである。演奏家は,その曲に適した様式感を意識するものだが,それが楽譜上で指示されることはあまりない。W. A. モーツァルトの作品に書かれている「トルコ風に」という表記のように,楽譜上で様式感を指示する例が全くないわけではないが,多くの場合,その音楽をどういった様式感に基づいて演奏するかは,いわば「暗黙の了解」として捉えられている。

  今回の創作の出発点は,様々な様式感が混在する音楽を意図したことであった。このような意図に基づいた作品を手がけた重要な作曲家としては,C. アイヴズやA. シュニトケらが挙げられる。1980年代以降は,テープやターンテーブル,サンプラーといった録音媒体を楽器として活用することによって,過去に実在した音楽をリソースとして音楽を作る試みも増えてきた。1984年には,J. ゾーンによって,即興演奏家達がもともと持っている音楽語法をリソース(素材)とし,それをゲーム的な方法で組み合わせることで音楽を成立させる作品《コブラ》も発表されている。本作は,そうした先人たちの仕事を意識して作曲したものである。

  本作では,演奏家がそれまでに演奏したことのある(あるいは得意としている)複数の曲の断片からリソースを選択するという方法が採られているが,それは,次の3つの効果をねらいとしたものだ。1つ目は,過去に実在した作品をリソースとすることによって,各リソースの持つ様式感が明確になることである。2つ目は,様々な様式による複数の曲の断片が用いられることによって,各リソースの様式感の違いが強調されることである。3つ目は,演奏家が得意としている曲をリソースとすることによって,演奏家の「その人らしい演奏」が十分に発揮できることである。

   楽譜上では,選ばれたリソースに,テンポや音域,用いられる音などの諸要素に様々な変更を加えるよう指示されている。それによって,各リソースがもともと持っている様式感に,新たなニュアンスが付加される。また,それらのリソースは,次々と瞬時に切り替わりながら提示される。その様相は,テレビのリモコンでチャンネルを頻繁に(落着きなく)変えることにも似ている。ごく機械的に見える構造と人間的な表現とが混在していることは,本作の特徴のひとつである。また,曲の部分(一瞬一瞬)に着目して聴くのと,曲の全体に着目して聴くのでは,感じ方がずいぶん異なるであろう。


寺内大輔 Daisuke Terauchi, composer
  1974年広島生まれ。エリザベト音楽大学大学院修了。作曲を,伴谷晃二,近藤譲,クラース・デ・ヴリーズ,ヴィム・ヘンドリクスの各氏に師事。これまで日本を含む11か国の芸術祭,コンサートで作品発表・即興演奏を行い,楽譜・CD数点が国内外で発売中。
  作曲分野では,室内楽,パフォーマンス作品,即興演奏のための作品,水族館やパソコンソフトのBGMなど,様々なジャンルの音楽を手がけ,「大邱国際現代音楽祭」,「ジョグジャカルタ現代音楽祭」等の音楽祭でも作品が取り上げられている。また,寮歌・校歌の分野では《呉青山中学・高等学校校歌》,《安芸高田市立美土里小学校校歌》,《呉市立明立小学校校歌》などを作曲。
  即興演奏分野では,声を中心とした様々な楽器の持ち替えによるスタイルで,コンサートホールのみならず,クラブや美術館,路上にいたるまで様々な場所での演奏を行う。国際詩人フェスティバル「炎の舌」(アムステルダム),国際現代芸術祭「PLARTFORMA」(リトアニア),「Trytone Festival」(アムステルダム)など,多数のイベントに出演。西洋音楽の音楽家だけでなく,邦楽器奏者,インド音楽奏者,コンピュータ音楽家,舞踏家,詩人,書道家など,様々な表現者と共演を行っている。
  音楽教育分野では,エリザベト音楽大学,広島文化学園大学などの非常勤講師を経て,現在では,広島大学教育学部・同大学院教育学研究科の講師として,小学校音楽教育に関わる科目を担当している。2011年には、著書『音楽の話をしよう~10代のための音楽講座~』を出版。
  その他,美術分野と関わった創作活動も展開。自作の楽譜提示装置《Score scroller》(オランダ国立美術館にて発表,オランダ),ヴィデオ作品《くちづけ口琴》(2006)(映像フェスティバル「Filmer la musique」入選作品,パリ)などがある。2010年には,Asahi Art Square「Grow up!! Artist Project 2010」のサポートアーティストに選ばれ,《ことばの遊びII》など数点の作品制作を通して研鑽を積んだ。
 CMF(クリエイティヴ・ミュージック・フェスティバル)オーガナイザー。日本音楽即興学会理事長。http://dterauchi.com
by ooi_piano | 2014-03-07 12:27 | Beethovenfries2013 | Comments(0)

3/22(金) シューベルト:ソナタ第21番/楽興の時 + M.フィニッシー献呈作/近藤譲初演


by ooi_piano