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2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説

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大井浩明 Portraits of Composers [POC]
第21回公演 南聡「ピアノソナタ」全曲公演
2015年2月22日(日)18時開演(17時半開場) 
両国門天ホール

【演奏曲目】

南聡(1955- )

●ソナタ1《隠喩の窓辺》 Op.19 (1989) [全1楽章] 約10分 
●ソナタ2《昼の注解/鳥籠の中の変貌》 Op.25 (1992) [全4楽章] 約15分
●ソナタ3《甘き春の残痕》 Op.30 (1995) [全3楽章] 約16分
 (休憩15分)
●ソナタ4《間-用語(禁止)》 Op.37 (1997) [全7楽章] 約13分
●ソナタ5《帯 II》 Op.46 (2000) [全2楽章] 約20分
【アンコール】
・ジグザグバッハ Op.45-4 (2000)
・折り込み図Ⅰ(s通過)Op.52-2 (2006)


南聡 Satoshi MINAMI, composer
2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説_c0050810_22333167.jpg  1955年生まれ。東京芸術大学大学院音楽研究科修士課程修了。在学中作曲を野田暉行、黛敏郎に師事。 1982年今日の音楽国際作曲コンクール入選。 1983年日本音楽コンクール作曲部門2位(1位空位)。 1983年より八村義夫の周辺に集まった、中川俊郎、久木山直、内藤明美らと同人グループ「三年結社」を結成活動。 1986年北海道に移住。 1988年日本現代音楽協会と日本フィルの共催コンサートで初演された、独奏ハープを伴うオーケストラのための《譬えれば・・・の注解》によって注目される(2003年アジア音楽祭に入選)。 1990 年環太平洋作曲家会議に参加。 1991 年オーケストラのための《彩色計画Ⅴ》の初演が評価され村松賞。1992年3人の独奏と3群のための《歓ばしき知識の花園Ⅰ b 》にて文化庁舞台芸術奨励賞。同年ケルンでの日本音楽週間 92 に湯浅譲二、藤枝守らとともに招かれ、室内アンサンブルのための《昼Ⅱ》の委嘱初演と自作に関する講演を持つ。以降いくつかの音楽祭等に招待された。 2001年ISCM 世界音楽の日々に3楽器のための《帯 / 一体何を思いついた?》 (1998)が入選。また、翌 2002 年にも8人の奏者のための《日本製ロッシニョール》 (1994) が入選した。現在、北海道教育大学岩見沢校准教授として後進の指導にあたる。日本現代音楽協会理事、北海道作曲家協会会長、日本作曲家協議会会員。


2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説_c0050810_22391851.jpg●ピアノソナタ1 《隠喩の窓辺》 op.19  Window by the Metaphor/Piano Sonata 1 (1989)
  大楽勝美の委嘱により作曲。彼のリサイタルにて初演され彼に献呈された。19世紀のロマン主義音楽がピアノに与えた表現術を再調査し再構成することを作曲の目的とした。そのことによって、よくある現代のピアノ曲のメカニカルな語り口から抜け出すことを考えた。そのため、別々に準備された5種類の音楽の断片がモザイク状に積み上げられており、ちょうどテレビのチャンネルを内容と関係なく切り替え続けるような状態を音楽として表現している。したがって、各楽節部分を大胆に弾き分けることが肝要になる。また、ソステヌートペダルの効果を多様に用いた曲でもあり、この効果によって各部分が色分けされる。曲の中に含まれる「エピソード」は別々の自作からの引用で あり、この部分はこの曲の「窓」から見える切り取られた風景を意味する。そのためこの部分は情景的に演奏されるべきである。切り刻まれてばらばらになったソナタのモザイクのイメージ。


●ピアノソナタ2 《昼の注解 /鳥籠の中の変貌2》 op.25 Annotation of Le Midi/Metamorphosis in the Bird Cage 2/Piano Sonata 2 (1992)
  渋谷淑子の委嘱により作曲。彼女のリサイタルにて初演され彼女に献呈された。4つの楽章からなるが、いずれの楽章も道化じみた一種の変身物語としての性格を持つ。そのため、この曲の基調は軽やかで明るく茶目っ気の精神にある。第1楽章、微妙なニュアンスから途方もない音楽的変化のために。前半 CAGE の音がひそかに浮き出させるところから始まり、最後はポップコーンがはじけるように音が飛び散って BACH の4音に終わる。ここには二人の作曲家の名前がある。第2楽章は「昼の注解」という題の単独曲として演奏可能。流動する雲のような楽想から明快な拍節構造ができるまでが、この楽章の変身の構図。この楽章ひとつで他の楽章とのバランスを取っている。第3楽章、引用された原型への帰納的変身。最初から原曲を弾くのと同じ気分で演奏するが、よりおおげさに、かつやや遅めのテンポで。「・・・すると魔法がとけて美しい王子様の姿になりました・・」といった雰囲気のほんの一口もののデザート楽章。第4楽章はアメーバー状に性格を変化させていく快速フィナーレ楽章。それでもこの曲が鳥籠(ある限定された枠の暗喩)の中の出来事でしかない、という暗示として CAGE の4音が低音で示され Bird から B と D 音が曲尾で引き出される。お釈迦様の手のひらで暴れる孫悟空をイメージしてもかまわない。なおこの曲は、第1楽章、第4楽章、第3楽章の順で演奏した場合、「鳥籠の中の変貌2」というタイトルの曲になる。


2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説_c0050810_22401594.jpg●ピアノソナタ3 《甘き春の残痕》 op.30 Vestigial Wreckage of “Veri Dulcis”/Piano Sonata 3 (1995)
  中嶋香の委嘱によって作曲。彼女のリサイタルにて初演され彼女に献呈された。A「トッカータ」B「アダージオ:主題のない変奏曲」C「ハーモニゼイション」の 3 つの楽章からなる。いずれの楽章も素材として過去の自作、 5人の奏者のための《歌の影より》 (1985) の第 4 曲を素材にしている。この素材の曲は、万葉集の中の一首「ぬばたまの その夜の梅を たわすれて 折らずきにけり 思いしものを」を歌詞にして中世カルミナの「甘き春 (Veri Dulcis) 」が引用され綴り合わされていた。原曲の《歌の影より》ではこの「甘き春」は明確に聴取できたのに対し、このソナタではよりひそやかなモチーフとなった。これがタイトルの由来である。A楽章では、最初に無音で押さえてソステヌートペダルで保持される音型が「甘き春」の同音反復を省略したものである。この楽章では徐々に背後に残響として香のように「甘き春」が立ち上る仕掛けになっている。B楽章は原曲前半部分の4つの変奏とコーダ。「甘き春」は和音として65小節目より引き延ばされる。C楽章は単純な和音列だが、完全協和音からクラスターまでの変化が尺八の清濁の変化を輪切りにしたようなイメージの音楽。


●ピアノソナタ4 《間―用語(禁止)》 op.37 Inter-Diction/Piano Sonata 4 (1997)
  門光子の委嘱により作曲、彼女のリサイタルで初演され彼女に献呈された。相互に関連しあった7つのバガテル楽章よりなる。演奏順序は固定されていないし、また切り出していくつかのピアノ小品」になる。1楽章+2楽章の連結で《閃光器官c》、後半5+6+7楽章で《3つのデプロイメント》、7楽章単独で《首飾り》である。各楽章はモビールのように関連性を持ちつつも時間軸上浮遊している。たとえば 2楽章は1楽章のドゥーブルであり、 7楽章結尾では主題再現がなされているなどなどである。曲名は、ある体系による楽想の間に異なる体系より引き出された楽想が各楽章にひそむように仕組まれていることによる。これはロラン・バルトの「悦楽は言い表せられない(内部で語られる)、禁じられている ( 間で語られる) 」といった意味遊びに刺激されたものである―禁じられたものは外では語られない。曲中の秘密の遊戯は、この曲の主題音程とリズムを作る2つの重要な数列は、 96 年度の日本政府の赤字の国民一人当たりの平均値と税金の国民一人当たりの平均値だった。この数列は比較的口当たりの良い響きとしてしか聴衆につたわらない。 3 楽章は「矛盾の内包」 4 楽章は「抜け道」、そして終楽章の「首飾り」は「首をしめるもの」の寓意を持つ。しかし、これらの寓意は隠れていなくてはならない、この音楽の表層は無邪気であり軽やかでなくてはならない。


2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説_c0050810_22412727.jpg●ピアノソナタ5 《帯II》 Obi-II /Piano Sonata 5 (2000)
  大楽勝美デビュー 25 周年記念ピアノリサイタル《リンカーネイション》 2000年12月6日札幌サンプラザホールにおいて初演された。第1楽章アレグロ・セッコ、第2楽章アンダンテの2つの楽章よりなっている。そういう意味では、ベートーヴェンの一番最後のソナタが意識されることになった。共通項を暗示させながら、いかに異質をなすか、細部の組織構造はどのような方法で組み立てるか、そして、今日性とどう折り合いをつけるか、作曲にあたって劉怡しなければならなかったポイントは以上のものだったと思う。性格的に2つの楽章は対比されている。しかし、両楽章とも同じ終止楽想を持つ。そして双方とも対位法的意識が強く働いている。第1楽章はメカニカルでその運動的な音型は基本的には単純である。しかし、その中で表情の多様性も同時に求められている。第2楽章は、冒頭のロンターノ・エ・プラチードと表記(この表記はリゲティを想起させるかもしれない)した単旋律が回遊しながら進んでいく。そのため、古典的なパッサカリアのような変奏曲に近い様相となっている。対位法の扱いも線的であり、そういう意味では、反動的に先祖返りしたような音楽といえる。それでも、音の選択方法、配置方法の微妙な異質感によって、この曲の存在意義を示したいと思った。もうひとつ全く個人的なことだが、この“彼方へ”もしくは“彼方から”の単旋律は近年亡くなった親しい人たちへのたむけの歌でもある。タイトルは、この曲の形からきている。全く柄の違う2つの「帯」状の音の流れといった程度の意味であるが・・・・



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今、5つのソナタに対しての、さらなる記述(2015年2月1日) ─────南聡

2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説_c0050810_22424415.jpg  「ソナタ」はどのように意識されたか?
  最初の《隠喩の窓辺》を作曲したときは、「ソナタ」という名称は意識していなかった。
  《“昼”の注解 / 鳥籠の中の変貌2》の完成後、副題にピアノソナタと入れた時に、《隠喩の窓辺》を1番にした。理由は《隠喩の窓辺》が前後して作曲したピアノ独奏曲《彩色計画Ⅰ》とキャラクターが違いすぎたため、完全な違うグループに所属する音楽として、「ピアノソナタ」というシリーズを構想することにしたことによる。したがって1番は最も「ソナタ」が意識されていないソナタといえるし、それが単一楽章の理由でもある。
  2番は多楽章形態にしたとき、「ソナタ」という用語を意識した。4楽章だが、二つのグループ(1+3+4楽章による《鳥籠の変貌2》と 2楽章の《昼の注解》)の組み合わせによって出来ている。この組み合わせの概念に、全ての楽章が変容(変奏?)というモチーフによる形態にもかかわらず、ソナタが伝統として持つ、「二項対立から発展する音楽」の意匠を通じ合わせようともしていた。
  3番は、「トッカータ」と「ヴァリエーション」という故意にソナタ形式を外した2つの主楽章と結尾楽章よりなっている。直接的ではないが、バロック的感覚というものも自分の中では意識されていた。「トッカータ」は、本来の意味の「接触」というニュアンスより派生した。音として発音されない《甘き春》の音型に音楽は進行とともに“触れていく”ということを暗示している。「ヴァリアツィオーネン・オーネ・テーマ」は過剰にかつ大仰にゴテゴテ装飾するという方向に意味を持ちたかったのだが、これもバロック的という発想のほうに比重がある。この3番に二項対立の概念を求めるとしたら、この2つの主楽章にあるだろう。
2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説_c0050810_22433310.jpg  4番は全体では、方向性を失った音楽だが、一番「ソナタ形式」が意識されている。III、V‐VI-VII楽章のグループがそれにあたる。各楽章の中に、タイトルと関係させて、異なる組織が混じり込ませている形態も「対立する二項」と捉えても差し支えない。短いがこの曲のIV楽章が尋常でない難しさで、指定のテンポはかなり困難である(抜け道などは大体困難なものなのである)。この曲を書いた時の国の赤字状況は、現在の状況から比べると実にかわいいものだった。それでもこのままでは「やばい」という意識はすでにあったわけであり、その後補正全くできなかった、という事実から考えると、今日ふたたび演奏する意義はとてもアイロニックで面白いと思う。
  5番をシリーズの最後にする意図は全然なかったが、今世紀にはいり、書く機会がなくそのまま15年すぎてしまったにすぎない。 2 楽章にしたのは、今まで 2楽章タイプの曲がなかったことによる。 2つの楽章の最後に同一楽想を置いたのは、異なる物語が最後で同じ結末になるようなイメージを考えたことによる。この同一楽想には「狂人がやかましく鳴らす教会の鐘の音」というかなり映画的な具体的イメージを持っていた。この曲の楽想で、かなりピアノの古典的ヴィルティオージティ風音型に接近させることにしたのは、当時の、マンネリ感からの脱却のため、基本に一度戻ろうという意識と、「さて、21世紀にはいってどうしたものか」という感覚によるものだと、今思う。




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「ソナタ」以外のピアノ作品概説

2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説_c0050810_22445357.jpg■彩色計画Ⅰ op.17-1  Coloration Project Ⅰ (1989)  未出版
  嶋津明美の委嘱により作曲。彼女によって初演された。テンポ設計に演奏家が設定する仕掛けの部分がある。この曲にオーケストラパートが加えられた曲として、《彩色計画 Ib》がある。この曲のほうは、ピアノとオーケストラのための《彩色計画 Ⅹ》の第1楽章部分でもある。

■状況上の妖精/静かなる化合 op.41 Circumstantial Faiy/Quiescent Combination (1998) マザーアース社刊 M0904
  ケルンを拠点に活躍するピアニスト、クリスティ・ベッカーの50歳のお祝いのために作曲。彼女に献呈された。多様な性格の断片が、きわどいバランスで組み合わされている。奏者はこの多様な性格の断片を弾き分けて色彩感を作っていくことが求められる。この奇妙なタイトルは、この曲の性格を暗示する表情記号のようなもの。この4つの単語の質感の差異も同様である。約6分。

2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説_c0050810_22462641.jpg■ジグザグバッハ op.45-4 Zigzag Bach (2000) 全音楽譜出版「PIANO 2000」収録(CD付)
  J.S.バッハをテーマにした小品を全音より委嘱され作曲。「四人組とその仲間たち」のコンサートによって初演された。《平均律クラヴィーア曲集第1巻》のハ長調のプレリュードを礎にして《音楽の捧げ物》の中の一部が植え込まれた形をしており、この曲の音はすべてバッハの作品に由来する。加工方法はB-A-C-Hの名前による。まず音程として、短2度下行、短3度上行、再び短2度下行のジグザグ運動に全体を仕掛けていく。たとえばプレリュードが一和声ごとにこの音程関係にずらして加工し、色調に変化を与える。拍節は2-1-3-8の数列に置き換えられて利用される。タイトルはこれらのアイディアに由来する。約3分。

■折り込み図Ⅰ(s通過)op.52-2 Inset diagrams-Ⅰ(Transit-s)(2006) 全音楽譜出版「PIANO2006」(CD付)
  全音楽譜出版社の企画したショスタコーヴィッチ生誕100年記念企画のコンサートのために作曲。リムスキー・コルサコフの《金鶏》とシュニトケの《合奏協奏曲第1番》の部分がショスタコーヴィッチの《ピアノ協奏曲第2番》《交響曲第15番》の一部とともに素材として使われている。ショスタコーヴィッチの生年にリムスキー・コルサコフは当時の政治体制を暗に批判したオペラ「金鶏」を作曲し、ショスタコーヴィッチ没後ペレストロイカとなり反体制派の作曲家たちが頭角をあらわした。彼の生涯はその間のソ連とともに横たわっている、ということをこの小品は示している。楽想としては諧謔的である。約5分。

2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説_c0050810_22475031.jpg■ピアノサラダ Piano Salad (1987-2002) マザーアース社受託販売(CD付)
  さまざまな機会に書かれた調性のある小品23曲を5つの組曲にまとめたもの。小学校高学年から大人のピアノ愛好家のための小品集で、組曲として演奏しても、ばらばらにして単独で演奏しても、また初見問題として活用してもかまわない。風変わりなタイトルが付いている曲が多い。
  第1組曲は「あなたのジョンの散歩気分」「暖炉にて(雪の降る夜には・・)」「鎌倉ツィゴイネル」「レモン交換器はいかが?」「テレビの中の桃太郎、あるいはテノール歌手」「バイバイソング」の標題音楽的傾向の6曲。
  第2組曲は「月並みダンス」「我が心のパンケーキ」「踊るネコとオジさん」「ヒョウタンな日々(マルコの舟歌)」「サーカス日記」の舞曲的傾向の5曲。
  第3組曲は「3つのインヴェンション(ご婦人向き、殿方用、あとの祭りのカンツォン)」「庭の道化師たち」「小舞曲」「バラード」の4曲。
  第4組曲は「オーバード」「カエルの姫君ピュルシェリーとハゼの婿殿」「インテルメッツォ(ほら、そこにヴォルフガングが・・・」「羊飼いの歌」の対位法的な傾向の4曲。
  第5組曲は「コンソレーション1」「コンソレーション2」「キャプリース」「王様の持っているデクノボー」の後期ロマン派的な楽想の4曲。各曲とも1分から3分程度の曲で各組曲とも10分未満の所要時間。


■独奏ピアノとオーケストラのための《彩色計画Ⅹ》op.35 Coloration Project Ⅹ (1989-2007)  未出版
 《彩色計画Ⅰb》《ブリッジ》《フィナーレ》の3作より構成されている。この3作の関係は序破急が意識されている。協奏交響曲的な規模の大きな作品。京都22世紀クラブ委嘱。約28分。


2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説_c0050810_22491344.gif■異議申し立て・反復と位相に関する2台のピアノのための協奏曲 op.57 The Lodgment an Objection. Concerto for 2pianos about Repetition and Phase / in Memory of Maki Ishii (2003/10)
  単一楽章によるかなり長大な持続感の中で変容続ける楽想の作品。トリプルコンサート委嘱。約22分。

■歌の影より Op.13 From behind the Songs (1985) [sop, hp, vn, vc, pf] 日本作曲家協議会刊 JFC-8607
  万葉集をテキストにした4つの曲よりなる官能的色調の作品。録音/JFC出版FPCD1084。約20分

■歓ばしき知識の花園Ⅱ op15-3 The Garden of Joyful Intellection Ⅱ (1988) [fl, vn, pf] 日本作曲家協議会刊 JFC-8802
  3群に分割されたオーケストラと3人の独奏者のための作品から切り出された曲。集中度の高い技巧的作品。約7分。

■2つの間奏曲 op.15-2/4 2 Intermezzi (1987/89) [vn/gt, or fl/pf] 日本作曲家協議会刊 JFC-9002
  1曲目はヴァイオリンとギターの二重奏、2曲目は1曲目にフルートとピアノの二重奏が絡んだもの。それぞれ単独で演奏可能。約18分。

■月の自叙伝 op.20 The Moon Autobiography (1990) [vc, pf] 日本作曲家協議会刊 JFC-9311
  4楽章からなる作品。月に纏わる数字のデータや音楽の部分が素材として使われている曲。約18分。

2/22(日)POC#21 南聡公演・曲目解説_c0050810_22504255.gif■日本製ロッシニョール op.29 “Le Rossignol” made in Japan (1994) [fl, ob, cl, pf, gt, perc, vn, vc] 日本作曲家協議会刊 JFC-0011
  イタリアのロゴスアンサンブルのドイツツアーのために作曲。2002年に国際現代音楽協会主催の世界音楽の日々に入選した。ストラヴィンスキーの夜鶯を引用素材に、引用素材からの加算して異化させた楽章と減算して異化させた楽章が対峙させられている曲。約13分。

■遠近術の物語 op.33 The Perspective Story (1995) [cl, va, pf] 全音楽譜出版
  ベートーヴェンの16番のソナタを物差しにして楽想を埋め込んでいる作品。約13分。

■歌曲集 Songs (1999-2007) [vo, pf] 全音楽譜出版
  1999年から2007年のいろいろな時期に書かれた歌曲をまとめたもの。7つの歌曲集全22曲収録して全音より出版。最後の歌曲集以外はすべて調性があり、《真っ赤なソング》や《ユーレイ鑑賞協会の歌》などのコミカルな曲や「音楽悪魔の辞典」をテキストにした《6つの項目》といったアイロニーの強い曲などもある。

by ooi_piano | 2015-02-13 22:30 | POC2014 | Comments(0)

3/22(金) シューベルト:ソナタ第21番/楽興の時 + M.フィニッシー献呈作/近藤譲初演


by ooi_piano