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8/25(金) ソラブジ《オープス》& 古川聖《ノベレッテ集》完演
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12月28日(水)&29日(木) ビーバー《ロザリオのソナタ集》全16曲@横浜

c0050810_14332910.jpg──朗読、バロックバイオリン、通奏低音の演奏で辿る聖母マリアの秘蹟──
H.I.F.v.ビーバー(1644-1704):《ロザリオのソナタ》(全16曲、1674) [二夜連続公演]
2016年12月28日(水)&29日(木) 18時30分開演(18時開場)
横浜・末吉町教会 (横浜市中区末吉町1丁目13)
 [京急線・日ノ出町駅出口から徒歩約4分/黄金町駅出口から徒歩約7分/ブルーライン伊勢佐木長者町駅6B出口から徒歩約8分]

[第一夜 12月28日(水)18時30分開演]
 〈キリストの誕生〉 - 喜びの神秘 Der freudenreiche Rosenkranz -
 第1番「お告げ」 - 第2番「訪問」 - 第3番「降誕」 - 第4番「キリストの神殿への拝謁」 - 第5番「神殿における12歳のイエス
 〈受難〉 - 哀しみの神秘 Der schmerzhafte Rosenkranz -
 第6番「オリーヴ山での苦しみ」 - 第7番「むち打ち」 - 第8番「いばらの冠」

[第二夜 12月29日(木)18時30分開演]
 第9番「十字架を背負うイエス」 - 第10番「イエスのはりつけと死
 〈復活〉 - 栄光の神秘 Der glorreiche Rosenkranz -
 第11番「復活」 - 第12番「昇天」 - 第13番「聖霊降臨」 - 第14番「聖母マリアの被昇天」 - 第15番「聖母マリアの戴冠」 - 終曲「守護天使」





c0050810_6592793.jpg【出演】
朗読:濱田壮久神父
バロックバイオリン:阿部千春
オルガン:大井浩明
テオルボ:蓮見岳人


【チケット】全自由席 一回券 5000円 一般通し券 8000円/学生券一回券 4000円 学生通し券 7000円
【申し込み・問い合わせ】 03-6411-1997 yurikaviolin[at]kvj.biglobe.ne.jp (辻)

チラシpdf  FB公式ページ  FBイベントページ



c0050810_12511257.jpg濱田壮久神父 (朗読)
  逗子市生まれ。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、東京カトリック神学院に入学。2007年司祭叙階。横浜司教館、千代田・八幡・静岡教会助任を経て2011年5月、ザンクトゲオルゲン哲学・神学大学大学院(ドイツ・フランクフルト)に留学。留学中、ケルン大司教区ケルン日本人共同体、デュセルドルフ日本人共同体、リンブルク教区フランクフルト日本人共同体、マインツ教区バード・ナウハイムフィリピン人共同体を司牧。2015年7月、松本カトリック教会協力司祭。2016年4月より港南カトリック教会、末吉町カトリック教会主任司祭、聖母幼稚園宗教主事。


c0050810_1251524.jpg阿部千春  (バロックヴァイオリン)
  塩川庸子氏、尾島綾子氏、前澤均氏、金倉英男氏、村上和邦氏、菊地俊一氏に師事。武蔵野音楽大学卒業後、ドイツ・シュツットガルト国立音楽大学でスザンネ・ラウテンバッハー氏に師事。在日中より菊地俊一氏、永田仁氏を通して古楽に関心を持っており、1994年トロッシンゲン国立音楽大学古楽科に入学、バロックヴァイオリンをジョルジオ・ファヴァ氏に師事。ディプロム終了後、同大学院にてフランソワ・フェルナンデス、エンリコ・ガッティ、ジョン・ホロウェイ各氏のもとで研鑽を積む。
  1999年、ドイツ産業連盟・ドイツ財界文化部主催の”古楽・弦楽器コンクール”にて特別奨励賞を受賞。大学院修了後、スコラカントルム・バジリエンスィス(バロックヴァイオリン、ヴィオラ・ダモーレ)、ケルン国立音楽大学(古楽科室内楽専攻)に在籍。在学中より、オーケストラ/室内楽奏者、ソリストとして数多くの演奏会、CD、各地放送局の録音に参加、ヨーロッパ各国に活動範囲を広げる。現在、ドイツ・ケルンに在住。ヴィオラ・ダモーレ奏者としても活動。コンチェルトケルンでは演奏の他、資料研究も担当。国内においては2009年から2012年にかけて大井浩明氏とのモーツァルト・ヴァイオリンソナタ全曲シリーズを完結。2013年にはバッハのヴァイオリン無伴奏全曲演奏会を開催する。


c0050810_1253398.jpg蓮見岳人  (リュート・テオルボ )
  奈良生まれ。京都大学文学部史学科卒業後、リュートを佐々木政嗣氏に師事。 1991年、ドイツに移り、ケルン音楽大学に入学、コンラート・ユングヘーネルに師事。 1997年首席卒業後、フランクフルト音楽大学で今村泰典氏に師事。さらに、ロルフ・リースルヴァント、ロバート・スペンサー、ロバート・バルトー各氏の講習会に参加。 室内楽をシェティル・ハウグザンド、ライナー・ツィッパリン、ミヒャエル・ショッパー、ミヒャエル・シュナイダーに師事。その後再びケルン音楽大学で歴史的室内楽の課程を修了、国家演奏家の資格を取得。
  西南ドイツ放送局交響楽団、ケルン・ギュルツェニヒ交響楽団、カールスルーエ・ヘンデルフェスティヴァル・オーケストラ、オランダ・ヒルヴェルスム放送室内管弦楽団(フランス・ブリュッヘン)、フローニンヘン・北オランダ交響楽団、アムステルダム歌劇場オーケストラ(ロイ・グッドマン)、エンスヘデ・オランダ交響楽団、オペラ・ネーデルランス、ケルン室内管弦楽団、コンチェルト・ケルンなどとこれまで共演。 ソロおよび通奏低音奏者として主にドイツ、オランダ、日本で幅広く活動している。



【使用楽器】
ヴァイオリン
作者不詳 南ドイツ 1700年頃
作者不詳 ブレシア? 1690年?
作者不詳 ブレシア/北イタリア 17世紀前半
作者不詳 ドイツ 1800年頃 (辻有里香氏所蔵)
テオルボ
M. Tieffenbrucker (1620年頃)モデル、2004年 Andreas von Holst 製作
バロックテオルボ(ニ短調調弦)として使用。
ポジティフオルガン
   ガルニエ社制作、1999年


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ハインリヒ・イグナツ・フォン・ビーバー:《ロザリオのソナタ集》
Heinrich Ignaz Franz von Biber: Rosenkranzsonaten


【第一夜】 12月28日(水)

「キリストの誕生」− 喜びの神秘 −
Der freudenreiche Rosenkranz

c0050810_6412089.jpg第1番 お告げ ニ短調
Die Verkündigungd-Moll
スコルダトゥーラなし senza scordatura : g - d' - a' - e"
Praeludium – Variatio / Aria allegro /Variatio / Adagio – Finale


c0050810_6413560.jpg第2番 訪問 イ長調
Die HeimsuchungA-Dur
スコルダトゥーラ scordatura : a - e' - a' - e"
Sonata (– Presto) – Allaman(de) – Presto          


c0050810_6415367.jpg第3番 降誕 ロ短調
Geburt Christih-Moll
スコルダトゥーラ scordatura : h - fis' - h' - d"
Sonata (– Presto – Adagio) – Courente / Double – Adagio


c0050810_642830.jpg第4番 キリストの神殿への拝謁 ニ短調
Darstellung im Tempel d-Moll
スコルダトゥーラ scordatura : a - d' - a' - d"
Ciacona ( /Adagio / Presto / Adagio )


c0050810_6423026.jpg第5番 神殿における12歳のイエス イ長調
Auffindung im TempelA-Dur
スコルダトゥーラ scordatura : a - e' - a' - cis"
Praeludium (– Presto ) – Allaman(de) - Guigue – Saraban(de) / Double




「受難」− 哀しみの神秘 −
Der schmerzhafte Rosenkranz

c0050810_6424714.jpg第6番 オリーヴ山での苦しみ ハ短調
Jesus am Ölberg c-Moll
スコルダトゥーラ scordatura : as - es' - g' - d"
Lamento


c0050810_643035.jpg第7番 むち打ち ヘ長調
Geißelung Christi F-Dur
スコルダトゥーラ scordatura : c' - f' - a' - c"
Allamanda / Variatio – Sarab(ande) / Variatio


c0050810_6431775.jpg第8番 いばらの冠 変ロ長調
Krönung Christi mit der DornenkroneB-Dur
スコルダトゥーラ scordatura : d' - f' - b' - d"
Sonata. Adagio (– Presto) – Guigue / Double. Presto / Double 2



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12月29日(木)
「受難」− 哀しみの神秘 − (続)
Der schmerzhafte Rosenkranz

c0050810_6433466.jpg第9番 十字架を背負うイエス イ短調
Die Kreuztragung a-Moll
スコルダトゥーラ scordatura : c' - e' - a' - e"
Sonata – Courente / Double – Finale


c0050810_6434625.jpg第10番 イエスのはりつけと死 ト短調
Die Kreuzigung g-Moll
スコルダトゥーラ scordatura : g - d' - a' - d"
Praeludium – Aria / Variatio (– Adagio)




「復活」− 栄光の神秘 −
 Der glorreiche Rosenkranz

c0050810_644182.jpg第11番 復活 ト長調
Auferstehung Christi G-Dur
スコルダトゥーラ scordatura : g - g' - d' - d"
Sonata – Adagio – Surexit Christus hodie (Choralpartita) − Adagio


c0050810_644137.jpg第12番 昇天 ハ長調
Himmelfahrt Christi C-Dur
スコルダトゥーラ scordatura : c' - e' - g' - c"
Intrada – Aria Tubicinum – Allamanda – Courente / Double


c0050810_6443187.jpg第13番 聖霊降臨 ニ短調
Sendung des Heiligen Geistes d-Moll
スコルダトゥーラ scordatura : a - e' - cis" - e"
Sonata – Gavott(e) – Guigue – Sarabanda


c0050810_6444519.jpg第14番 聖母マリアの被昇天 ニ長調
Himmelfahrt Mariä D-Dur
スコルダトゥーラ scordatura : a - e' - a' - d"
(表示なし) – Grave / Adagio – Aria – Aria – Guigue


c0050810_645232.jpg第15番 聖母マリアの戴冠 ハ長調
Krönung Mariä im Himmel C-Dur
スコルダトゥーラ scordatura : g - c' - g' - d"
Sonata – Aria – Canzon – Sarabanda


c0050810_6452413.jpg終曲 パッサカリア 守護天使 ト短調
Passagalia Der Schutzengel g-Moll
スコルダトゥーラなし senza scordatura : g - d' - a' - e"
Passagalia



c0050810_6404028.jpg

 15のロザリオの秘跡をテーマにしたこのソナタ集は(16曲のソナタからなっています)音楽史上特異な位置を占める作品です。現在唯一残っている原典はドイツ・ミュンヘンのバイエルン州立図書館に保存されており、1905年に現代譜として出版されるまで忘れ去られていました。

 ハインリッヒ・イグナーツ・フランツ・フォン・ビーバー(1644 〜 1704) は、ヨハン・ハインリッヒ・シュメルツァー、ヨハン・ヤコブ・ワルター、ヨハン・パウル・ヴェストホーフに並ぶ17世紀のヴァイオリンの巨匠です。北ボヘミアのヴァルテンブルク (現チェコ) に生まれました。シュメルツァーの元で研鑽を積んだと言われ、1668年から1670年の間クロムニェジーシュ のカール・リヒテンシュタイン−カステルコルノ公に仕えていました。公の注文した楽器を受け取りに、当時一番とされていたヴァイオリン製作家シュタイナーの工房へ出発した彼は、そのまま無断でザルツブルクに向かいそこの宮廷楽団の仕事を得ます。作曲家としても活躍した彼は、宮廷のみならず教会のためにも作品を残しています。大司教庁1100年記念の1682年に書かれた53声部のザルツブルク大聖堂祝典ミサ曲は、イタリア建築様式の大聖堂の構造を生かしたヴェネチア・複合唱様式の傑作です。

 大司教の街ザルツブルクは地理的・政治的特殊性を生かし、文化の中心のひとつとして賑わっていました。前任者の絶対君主制を引き継いだ大司教マクシミリアン・ガンドルフ・フォン・クーエンブルク公の元では、権力の象徴としてレベルの高い楽団が結成されていました。ビーバーやムファットといった音楽家がそれぞれの持ち味を生かし活躍します。大司教は消防法や衛生法を作り市民生活の向上を図る一方、警察国家的な監視統制を敷いていました。1678年には109人が魔女狩りの犠牲として処刑され、1684年には1000人ものプロテスタント信者がザルツブルクから追放されました。
 富と権力への執着がエスカレートしていたローマ・カトリック教会への批判が高まる中、16世紀のキリスト教世界には宗教改革の波が押し寄せます。カトリック教会内においても、1534年のイエズス会の設立など、教会本来の宗教生活を取り戻そうとする運動が起こります。17世紀には反宗教改革の運動が盛んになり、その一環としてロザリオ信心会の設立が相次ぎました。
 ロザリオの祈りは13世紀に形がまとまり、初の信心会がドイツ・ケルンで1474年に結成されました。ザルツブルクでは1631年に設立され、大司教マクシミリアン・ガンドルフは1674年にそのメンバーとなります。イエズス会のギムナジウムで学んだビーバー自身も信仰熱心だったと思われ、1678年副楽長就任の際にその感謝の印としてロザリオのソナタ集を公に献呈したのではと推測されます。
 2008年、ザルツブルク大司教庁図書館でひとつの印刷物が発見されました。ロザリオ信心会入会の心得が記されている案内のようなもので、ビーバーがソナタ集に用いた15の秘跡の絵がそこにあります。長い間議論されてきたソナタ集の成立年も、この印刷物の発行年と同じ1678年とみられます。


 ロザリオの祈りは、カトリック教会において、天使祝詞「アヴェ・マリア」を繰り返し唱えながら福音書に記されているイエス・キリストの生涯などの信仰箇条を黙想していく祈りです。この信仰箇条を神秘 (玄義) と呼び、これは喜び・苦しみ・栄えの神秘と分けられています。2002年には教皇ヨハネ・パウロ2世によって「光の神秘」が付け加えられました。

 〈喜びの神秘〉 1. お告げ(受胎告知) 2. エリザベト訪問 3. 降誕 4. 主の奉献 5. 神殿にて

 〈苦しみの神秘〉 1. ゲッセマネの苦しみ 2. むち打ち 3. いばらの冠 4. 十字架 5. はりつけと死

 〈栄えの神秘〉 1. 復活 2. 昇天 3. 聖霊降臨 4. 聖母マリアの被昇天 5. 聖母マリアの戴冠 

 〈光の神秘〉 1. キリストの洗礼 2. カナの婚礼 3. 宣教のはじめ 4. 主の変容 5. 聖体の制定


 ヨハネ・パウロ2世教皇が2002年に公布した使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』によって、月・土曜日に「喜び」、火・金曜日に「苦しみ」、木曜日に「光」、日、水曜日に「栄え」の神秘が黙想されロザリオの祈りが捧げられるようになるまでは、月・木曜日は「喜び」、火・金曜日は「苦しみ」、日、水、土曜日は「栄え」の神秘が一週間ごとに各曜日に振り分けて黙想され、ロザリオの祈りが捧げられてきました。

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楽曲について

 このソナタ集は儀式に用いられる典礼音楽ではなく、私的な信心を目的にしたもので、17世紀における標題音楽の一例です。テーマとなる各神秘に関連した調性、形式、音型を用いて具体的・間接的にその情景を表しています。
 絵画的・直接的な描写は、例えば12番「昇天」冒頭のファンファーレ音型、7番「むち打ち」終わりの叩くような音型に見られます。特定のメロディー・形式の使用による情景推測の手法は、11番「復活」における復活祭賛歌「今日キリストは蘇られた」(surexit christus hodie)や、6番「オリーヴ山での苦しみ」冒頭の「ラメント」(Lamento)において使われています。3番「降誕」には9番「はりつけ」に出てくるモチーフの引用があり、誕生における”死への暗示”とも解せられます。1番「お告げ」の冒頭の音型は天使の到来を思い起こさせ、11番「復活」冒頭におけるモチーフの音高を変えての使用は天使との会話を暗示しています。

 チクルスの調性を見てみると、1番〜5番「喜びの神秘」、11番〜15番「栄えの神秘」にはシャープ系の調性が使用されています。ニ短調 (1番、4番、13番) は教会旋法のドリア調にあたり、伝統的な書法により調号は書かれていません (現在はフラットひとつで記されます) 。6番〜10番「苦しみの神秘」ではフラット系の調性が使用されています。イ短調で書かれている9番では、Finaleで属音による持続低音(ホ長調主和音) が使われています。これは教会旋法のフリギア調で哀しみ・苦しみの調として使われていました。

 特別な技法として、スコルダトゥーラ (変則調弦) が1番と16番を除く14曲に指定されています。

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 ヴィオラ・ダ・ガンバにも通じていたビーバーは、調弦法の変更には慣れていたと思われます。この技巧により、普通の調弦法 ( g - d'- a'- e" ソ、レ、ラ、ミ) では得ることのできない独特な響きを実現することができます。
 曲の調性に合わせた調弦法では開放弦が共鳴し楽器の鳴りがよくなります。また6番のような調弦法では共鳴しにくい抑えられた響きとなります。11番においては、4本の弦のうち真ん中の2本を駒の手前とペグボックスの中で交差させ、十字架の象徴としています。この調弦法によって隣り合わせの2本がオクターブとなり、メロディーのオクターヴでの演奏が簡単になります。

 またこのソナタ集には様々な形式の混合が見られます。アタナシウス・キルヒャーが言うところの「スティルス・ファンタスティクス」(Musurgia universalis 普遍音楽、1650年) による即興的なプレリュード (1番、5番、10番、14番) 、バリエーション形式の舞曲 (4番のシャコンヌ、16番のパッサカリア)。典礼を前提としていなかったのもあり、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ、ガヴォットといった舞曲を多く取り入れ、当時ドイツ語圏で組曲という意味としても使われた"Partia"の形をとっています。これらの舞曲には変奏 (Variatio, Double) がついているものもあります。また、アリアとそれに続く変奏もあり、11番は復活祭賛歌"surexit christus hodie"をテーマとしています。

 15の神秘の最後に付け加えられているパッサカリアには守護天使の絵がついています。g-f-es-d ( ソ、ファ、ミ♭、レ ) の4つの音をオスティナートバスとしての( 65回繰り返されます ) 変奏曲ですが、この4つの音から成るテトラコードには守護天使への賛歌 "Einen Engel Gott mir gegeben" (ケルン、1666年) や、賛美歌 " Süßer Jesus, süßer Christus " ("dolcis christe" グランチーニ作曲、1646年) との関連を見ることができます。
 1571年10月にレパントの海戦においてトルコ軍に対して勝利を収めたことを記念し、教皇ピオ5世が10月7日をロザリオの祝日と定めました ( 10月はロザリオの月とされています)。また1670年クレメンス10世が守護天使の祝日を10月2日とし、ロザリオの祝日と守護天使の祝日を一緒に祝う習慣があったと言われます。ビーバーはこの習慣に従い、最後に守護天使のパッサカリアを付け加えたのではと推測されます。(阿部千春)


本日の演奏について

 ピッチは時代・地域により異なっていました。1939年ロンドンでの国際会議で、a'=440Hzと定められ、現在では442〜443Hzがよく使われています。
  ビーバーの時代のハプスブルク圏では教会においてヴェネチアの高ピッチ、宮廷などその他でそれよりも半音低いピッチが使われることが多かったのですが、ザルツブルクにおいては高ピッチ(約465Hz) が一貫して使われていたようです(ブルース・ヘインズ著 "A history of performing pitch" より)。 本日の演奏ではこのピッチを採用しています。
 また使用するヴァイオリンには当時のセッティングと同様、金属の巻線なしでのガット弦、弓はザルツブルク大聖堂で発見された17世紀の弓のコピーを用い、当時に近い響きを想定しています。


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【過去の公演】
2015年9月7日 《17世紀イタリア・ヴァイオリン音楽の精華》
阿部千春(バロック・ヴァイオリン)+大井浩明(チェンバロ)

●ビアージョ・マリーニ (1594-1663):ヴァイオリンのための変奏ソナタ第3番 (1629)
●ジョバンニ・バッティスタ・フォンターナ (1589?-1631):ソナタ第6番 (1641)
●カルロ・ファリーナ (c.1600-1639):ソナタ “ラ・デスペラータ”(1628)
●マルコ・ウッチェリーニ (c.1610-1680):ソナタ第3番 “ラ・エブレア・マリナータ”(1645)
●ジョバンニ・アントニオ・パンドルフィ・メアッリ(1624-c.1687):ソナタ “ラ・クレメンテ” 作品3-5 (1660)
  (休憩)
●アンジェロ・ベラルディ (c.1636-1694):カンツォーネ第1番作品7 (1670)
●アレッサンドロ・ストラデッラ (1639-1682):シンフォニア第6番(1670s)
●カルロ・アンブロジオ・ロナーティ (c.1645-c.1712):ソナタ第5番(1701)
●アルカンジェロ・コレッリ (1653-1713):ソナタ作品5-10 (1700)


2009年7月25日 W.A.モーツァルト:クラヴィーアとヴァイオリンのためのパリ・ソナタ集 (全6曲、1778)
阿部千春(クラシカル・ヴァイオリン) 大井浩明(フォルテピアノ)

●ト長調K.301 (293a) 全2楽章
●変ホ長調K.302 (293b) 全2楽章
●ハ長調 K.303 (293c) 全2楽章
 (休憩)
●ホ短調 K.304 (300c) 全2楽章
●イ長調 K.305 (293d) 全2楽章
●ニ長調 K.306 (300l) 全3楽章


2010年10月13日 W.A.モーツァルト:クラヴィーアとヴァイオリンのためのアウエルンハンマー・ソナタ集 作品2 (全六曲) (1778/81)
阿部千春(クラシカル・ヴァイオリン) 大井浩明(フォルテピアノ)

●ヘ長調K.376(374d) 
●ハ長調K.296
●ヘ長調K.377 (374e)
 (休憩)
●変ロ長調K.378 (317d)
●ト長調 K.379 (373a)
●変ホ長調 K.380 (374f)


2012年2月10日 ピリオド楽器によるモーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ全曲シリーズ 最終回
阿部千春(クラシカル・ヴァイオリン) 大井浩明(フォルテピアノ)

●ソナタ第40番 変ロ長調 K.454 (1784/1784出版)[全3楽章] Largo/Allegro - Andante - Allegretto
●フランスの歌《羊飼いの娘セリメーヌ》による12の変奏曲 ト長調 K.359(374a) (1781/1786出版)
●ソナタ第41番 変ホ長調 K.481 (1785/1786出版)[全3楽章]
 (休憩)
●《泉のほとりで》による6つの変奏曲 ト短調 K.360(374b)(1781/1786出版)
●ソナタ第43番 ヘ長調 K.547 (1788)[全3楽章]
●ソナタ第42番 イ長調 K.526 (1787/1787出版)[全3楽章]
●ソナタ第39番 ハ長調 K.404(385d)(1782)[全2楽章]
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by ooi_piano | 2016-12-24 14:34 | コンサート情報 | Comments(0)
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