6/4(日)バルトーク弦楽四重奏曲全6曲(ピアノ独奏版)


by ooi_piano

4月24日第一回公演

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大井浩明 Beethovenfries
16 Dec 1770 - 26 Mar 1827
第一回公演 《ボンからやって来た爆弾低気圧》


京都文化博物館 別館ホール
(旧日本銀行京都支店、明治39年竣工/重要文化財)
2008年4月24日(木)18時30分開演

使用楽器: ヨハン・アンドレアス・シュタイン (補修/調律: 山本宣夫)A=421Hz, Werckmeister III

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《演奏曲目》

■ソナタ第1番ヘ短調Op.2-1(1794/95)[全4楽章]
Allegro - Adagio - Menuett: Allegretto - Prestissimo

■ソナタ第2番イ長調Op.2-2(1795)[全4楽章]
Allegro vivace - Largo appassionate - Scherzo: Allegretto - Rondo: Grazioso

■小出稚子:フォルテピアノ独奏のための《ヒソップ》(2008、委嘱新作初演)
Noriko KOIDE: “Hyssop” for Hammerfluegel (2008, commissioned work, world premiere)


【ヒソップ茶によるティー・ブレイク】 (約10分)
※妊婦、高血圧の方は御遠慮下さい。


■ソナタ第3番ハ長調Op.2-3(1794/95)[全4楽章]
Allegro con brio - Adagio - Scherzo: Allegro - Allegro assai

■ソナタ第4番変ホ長調Op.7「思ひ人(Die Verliebte)」(1796/97)[全4楽章]
Allegro molto e con brio - Largo, con gran espressione - Allegro - Rondo: Poco allegretto e grazioso




《プログラム・ノートにかえて》

c0050810_0244226.jpg  今年(2008年)は、 「源氏物語」がわが国の記録のうえで初めて確認されてからちょうど千年にあたるそうで、この京都文化博物館でも秋に関連展示が予定されているようです。
  京都、古楽器、源氏物語、と来て、ちょっとしたことを思い出しました。
  東大路近衛の京大オーケストラ部室のチェロ倉庫には、かつて初心者用の共有楽器が2台ほど所蔵されておりました。連日の酷使のためか、見かけも音もボロッボロで、持ってみても妙にどんより重たかったのを覚えています。そして、それぞれ「桐壺」、「夕顔」という優雅な愛称がついておりました。
  スイスへ留学してのち、初めてアンナー・ビルスマのバロック・チェロの生演奏に接した際、まず脳裏をよぎった感想は、「ゆ・・・、夕顔?」、でした。「聞こえない」「ジジむさい」「カビ臭い」「地味」という当初の印象がいつのまにか覆り、古楽器独特の馨(かぐわ)しい音色の絶対的優位を確信するに到るには、その後数年間を要しました。

  第1回・第2回公演で使用するシュタインのフォルテピアノは、音域5オクターヴ、ダンパー膝ペダル(のみ)の、1790年代当時としては標準的なモデルです。作品2・作品10等のセットを現代のピアノで演奏した場合、レガートはベタベタになり過ぎ、スタッカートはキチキチに切れ過ぎ――よって両者を自由に往復出来ない――、スフォルツァートなどそもそも実現不能なわけですが、初期フォルテピアノの歯切れの良い音色では、これらの問題点は一挙に解消されます(適地適作)。ところが困ったことに、音符の暴れっぷりが尋常ではありません。初期ブーレーズも吃驚です。ペダルを少しでも使い過ぎると、すぐアクションがボヤけるような当時の楽器で、ここまで破天荒な鍵盤語法をこなしたとなると、若きベートーヴェンは演奏家としてよっぽどの手練だったのでしょうか。クラヴィコードによるバッハ《平均律第2巻》や、グラスハーモニカによるモーツァルト《五重奏曲KV617》等と同様、大テーマなわりには危険度が高過ぎ、古楽プロパーから敬遠されるのも道理です。

  本日演奏する「作品2」の三つのソナタは、ベートーヴェンのピアニストとしてのデビューを後押ししてくれた、師ハイドンに捧げられています。徒弟時代の卒業作品と言えるでしょう。作品7の大ソナタは、ピアノ協奏曲第1番Op.15や変奏曲Op.34と同じく、弟子で優れたピアノ奏者であったバルバラ・オデスカルキ(Barbara Odescalchi)伯爵夫人へ献呈されました。ドイツ語圏でときどき添えられるニックネーム「Die Verliebte」は、「恋に落ちている最中に書かれたソナタ」といったところです。

  なお、「夕顔」と「桐壺」については、10年ほど前に部室で失火があり、エンドピンのみが仏舎利の如く焼け残っていたそうです。


 

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小出稚子:フォルテピアノ独奏のための《ヒソップ》 (2008、委嘱新作初演)

c0050810_025974.jpg  休みの日、遅く起きて「何もする気がおきないなぁ・・・よし、今日は一日だらだらしよう」という日に弾きたくなるような(或いは聴きたくなるような)曲を作ろうと思いました。
  小ぢんまりしていて、閉じていて、適度に弛緩していて、ユーモアがあって、親密だけどさっぱりとした音楽。
  そんな音楽に熱いハーブティーは良く合います。
 というわけで今回はヒソップというハーブを題材にして作曲してみました。
 構えず楽に聴いてくださいね。

【HYSSOP】
・別名ヤナギハッカ(柳薄荷)。
・シソ科の多年性半潅木。
・ヨーロッパ南部から中央アジアが原産地。
・葉と花にややハッカ様の芳香があり、若干の苦味もある。
・古い時代には教会の床に敷いて空気を浄化したと言われている。
・刈り取った花穂は乾燥させ、シャトルーズ酒等のリキュールの風味付けや香水の原料に用いられる。
・ヨーロッパでは古くから薬草として利用され、抗菌・鎮静作用がある。
・日当たり、水はけの良い場所を好み、暑さ寒さに強い。
・まめに刈り込みをしながら育てると香りの生垣になる。

  さてさて、大井浩明さんは実際お話ししてみるととても気さくで繊細な印象の方でした。この作品は、その時の彼の印象を大切にすること、それから彼の紹介で初めて出会った楽器「フォルテピアノ」(←こちらも気さくで繊細な印象を受けました。)と丁寧に向き合うことを心にきめて作曲しました。フォルテピアノとの出会いを与えていただき、この作品を初演してくださる大井さんに感謝の気持をこめて。(小出稚子)


小出稚子(こいで・のりこ)
  1982年千葉県出身。千葉県立千葉高等学校・東京音楽大学を経て、2008年3月同大学院修士課程首席修了。第3回、第5回東京音楽大学学長賞受賞。CCMC2007入選。第17回芥川作曲賞受賞。第76回日本音楽コンクール作曲部門第2位、岩谷賞(聴衆賞)受賞。第18回出光音楽賞受賞。これまでに作曲を池辺晋一郎、伊左治直、遠藤雅夫、佐藤眞、福田陽、藤原豊各氏に師事。神出鬼没系自作自演ユニット【鬼子母神不眠ガールズ】、一人掃除用具バンド【賞味期限BPR-Jr.】各メンバー。 http://blog.goo.ne.jp/hempocolin_power


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山本宣夫(フォルテピアノ修復家)Nobuo YAMAMOTO
1948年堺市生まれ。1966年からピアノの製造、修理に携わる。
1983年、ウィーンのベーゼンドルファー社で研修。その後、オーストリア・ウィーン芸術史博物館の専属修復学芸員に就任。以後、毎年同博物館でフォルテピアノ修復に携わる。
1998年、フォルテピアノ・ヤマモトコレクションのためのホール、「スペース クリストーフォリ 堺」を設立。
1999年、バルトロメオ・クリストーフォリピアノ(1726年製)の復元楽器を制作。
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by ooi_piano | 2008-04-21 00:21 | コンサート情報 | Comments(0)