7/2(日) シベリウス交響曲第6番・第7番・「タピオラ」(ピアノ独奏版)


by ooi_piano

カテゴリ:Beethovenfries2013( 20 )

(増補)第1回~第7回公演 感想まとめ等: http://togetter.com/li/568921

c0050810_771814.gifベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲連続演奏会(全8回)
~様式別・時代順のフォルテピアノ(古楽器)による~


淀橋教会・小原記念チャペル(東京都新宿区百人町1-17-8)
JR総武線・大久保駅「北口」下車徒歩1分、JR山手線・新大久保駅下車徒歩3分
3000円(全自由席) [3公演パスポート8000円]

【お問合せ】 合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 (13時~19時/水木休) Fax 03 (3377)4170 (24時間受付) http://www.opus55.jp/

第八回公演
2014年3月21日(金・祝)19時/淀橋教会・小原記念チャペル

使用楽器 
1802年ブロードウッド 68鍵 イギリス式シングルエスケープメントアクション
[1/6ヴァロッティ不等分律]  調律 深町研太


《演奏曲目》

c0050810_713037.jpg■ソナタ第30番ホ長調Op.109 (1820)
 第1楽章 Vivace, ma non troppo - Adagio espressivo - Tempo I - Adagio espressivo - Tempo I
 第2楽章 Prestissimo
 第3楽章 Gesangvoll, als innigster Empfindung / Andante molto cantabile ed espressivo
第1変奏 Molto espressivo - 第2変奏 Leggiermente - 第3変奏 Allegro vivace
- 第4変奏 Etwas langsamer als das Thema / Un poco meno andante ciò è un poco più adagio come il tema
- 第5変奏 Allegro, ma non troppo - 第6変奏 Tempo I del tema, Cantabile

■ソナタ第31番変イ長調Op.110 (1821/22)
 第1楽章 Moderato cantabile molto espressivo
 第2楽章 Allegro molto
 第3楽章 Adagio ma no troppo - Recitativo: più adagio - Klagender Gesang / Arioso dolente, Adagio ma no troppo
-Fuga, Allegro ma non troppo - Ermattet, klagend / Perdendo le forze, dolente, L'istesso tempo di Arioso
-L'inversione della Fuga. / Die Umkehrung der Fuge, L'istesso tempo della Fuga poi a poi di nuovo vivante / Nach und nach wieder auflebend
-Meno Allegro. Etwas langsamer - tempo primo


【休憩10分】

■ソナタ第32番ハ短調Op.111 (1821/22)
 第1楽章 Maestoso - Allegro con brio ed appassionato
 第2楽章 Arietta, Adagio molto semplice e cantabile


――――――――――――――――――
ちゅうちゃんのバロック・ヴァイオリン体験記 (画像をクリックすると拡大表示されます)
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by ooi_piano | 2014-03-19 07:07 | Beethovenfries2013 | Comments(0)
2014年3月8日(土) 14時30分開演(14時開場)
うくやま芸術文化ホール・リーデンローズ (福山市松浜町2-1-10)
入場料:3000円(一般),1000円(学生)
主催/お問合せ: コンセール・ジャズ大衆舎 080-5480-2966 chopin-in-salsa[at]kba.biglobe.ne.jp


■寺内大輔(1974- ):《地層 Stratum》(2014, 委嘱作品・初演)
■L.v.ベートーヴェン(1770-1827):ピアノソナタ第29番変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィーア(Hammerklavier)」 [全4楽章]

(休憩15分)

■K.シュトックハウゼン(1928-2007): クラヴィア曲 X (1954/61)


使用楽器:ベーゼンドルファー・インペリアル(1994年製、92鍵)



c0050810_12255625.jpg寺内大輔:《地層 Stratum ―ピアノのために》(2014)

  演奏表現において,音楽の持つ様式感は,きわめて重要な要素のひとつである。演奏家は,その曲に適した様式感を意識するものだが,それが楽譜上で指示されることはあまりない。W. A. モーツァルトの作品に書かれている「トルコ風に」という表記のように,楽譜上で様式感を指示する例が全くないわけではないが,多くの場合,その音楽をどういった様式感に基づいて演奏するかは,いわば「暗黙の了解」として捉えられている。

  今回の創作の出発点は,様々な様式感が混在する音楽を意図したことであった。このような意図に基づいた作品を手がけた重要な作曲家としては,C. アイヴズやA. シュニトケらが挙げられる。1980年代以降は,テープやターンテーブル,サンプラーといった録音媒体を楽器として活用することによって,過去に実在した音楽をリソースとして音楽を作る試みも増えてきた。1984年には,J. ゾーンによって,即興演奏家達がもともと持っている音楽語法をリソース(素材)とし,それをゲーム的な方法で組み合わせることで音楽を成立させる作品《コブラ》も発表されている。本作は,そうした先人たちの仕事を意識して作曲したものである。

  本作では,演奏家がそれまでに演奏したことのある(あるいは得意としている)複数の曲の断片からリソースを選択するという方法が採られているが,それは,次の3つの効果をねらいとしたものだ。1つ目は,過去に実在した作品をリソースとすることによって,各リソースの持つ様式感が明確になることである。2つ目は,様々な様式による複数の曲の断片が用いられることによって,各リソースの様式感の違いが強調されることである。3つ目は,演奏家が得意としている曲をリソースとすることによって,演奏家の「その人らしい演奏」が十分に発揮できることである。

   楽譜上では,選ばれたリソースに,テンポや音域,用いられる音などの諸要素に様々な変更を加えるよう指示されている。それによって,各リソースがもともと持っている様式感に,新たなニュアンスが付加される。また,それらのリソースは,次々と瞬時に切り替わりながら提示される。その様相は,テレビのリモコンでチャンネルを頻繁に(落着きなく)変えることにも似ている。ごく機械的に見える構造と人間的な表現とが混在していることは,本作の特徴のひとつである。また,曲の部分(一瞬一瞬)に着目して聴くのと,曲の全体に着目して聴くのでは,感じ方がずいぶん異なるであろう。


寺内大輔 Daisuke Terauchi, composer
  1974年広島生まれ。エリザベト音楽大学大学院修了。作曲を,伴谷晃二,近藤譲,クラース・デ・ヴリーズ,ヴィム・ヘンドリクスの各氏に師事。これまで日本を含む11か国の芸術祭,コンサートで作品発表・即興演奏を行い,楽譜・CD数点が国内外で発売中。
  作曲分野では,室内楽,パフォーマンス作品,即興演奏のための作品,水族館やパソコンソフトのBGMなど,様々なジャンルの音楽を手がけ,「大邱国際現代音楽祭」,「ジョグジャカルタ現代音楽祭」等の音楽祭でも作品が取り上げられている。また,寮歌・校歌の分野では《呉青山中学・高等学校校歌》,《安芸高田市立美土里小学校校歌》,《呉市立明立小学校校歌》などを作曲。
  即興演奏分野では,声を中心とした様々な楽器の持ち替えによるスタイルで,コンサートホールのみならず,クラブや美術館,路上にいたるまで様々な場所での演奏を行う。国際詩人フェスティバル「炎の舌」(アムステルダム),国際現代芸術祭「PLARTFORMA」(リトアニア),「Trytone Festival」(アムステルダム)など,多数のイベントに出演。西洋音楽の音楽家だけでなく,邦楽器奏者,インド音楽奏者,コンピュータ音楽家,舞踏家,詩人,書道家など,様々な表現者と共演を行っている。
  音楽教育分野では,エリザベト音楽大学,広島文化学園大学などの非常勤講師を経て,現在では,広島大学教育学部・同大学院教育学研究科の講師として,小学校音楽教育に関わる科目を担当している。2011年には、著書『音楽の話をしよう~10代のための音楽講座~』を出版。
  その他,美術分野と関わった創作活動も展開。自作の楽譜提示装置《Score scroller》(オランダ国立美術館にて発表,オランダ),ヴィデオ作品《くちづけ口琴》(2006)(映像フェスティバル「Filmer la musique」入選作品,パリ)などがある。2010年には,Asahi Art Square「Grow up!! Artist Project 2010」のサポートアーティストに選ばれ,《ことばの遊びII》など数点の作品制作を通して研鑽を積んだ。
 CMF(クリエイティヴ・ミュージック・フェスティバル)オーガナイザー。日本音楽即興学会理事長。http://dterauchi.com
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by ooi_piano | 2014-03-07 12:27 | Beethovenfries2013 | Comments(0)
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■2014年3月5日(水)20時
カフェ・モンタージュ(京都) http://www.cafe-montage.com/ (地下鉄「丸太町」徒歩5分)
《クラヴィコードによる1780年代》

c0050810_438452.jpg■L.v.ベートーヴェン:選帝侯ソナタWoO47 第1番変ホ長調 (1782/83)
  Allegro cantabile - Andante - Rondo vivace
□W.A.モーツァルト:幻想曲 ニ短調 KV397(385g) (1782)
◆L.v.ベートーヴェン:全ての長調にわたる2つの前奏曲 Op.39 (1789)
○福島康晴:〈楽興の時 I ~クラヴィコード独奏のための〉(2014、委嘱初演)

■L.v.ベートーヴェン:選帝侯ソナタWoO47 第2番へ短調 (1782/83)
  Larghetto maestoso /Allegro assai - Andante - Presto
□W.A.モーツァルト:ロンド イ短調 KV511 (1787)
○福島康晴:〈楽興の時 II〉(2014)

■L.v.ベートーヴェン:選帝侯ソナタWoO47 第3番ニ長調 (1782/83)
  Allegro - メヌエットと6つの変奏 - Scherzando, Allegro ma non troppo
□W.A.モーツァルト:アダージョ ロ短調 KV540 (1788)
◇C.P.E.バッハ:幻想曲嬰ヘ短調「C.P.E. バッハの情念」H300/Wq.67 (1787)
○福島康晴:〈楽興の時 III〉(2014)

  (以上クラヴィコード独奏)

〔お問い合わせ〕 カフェ・モンタージュ 075-744-1070 montagekyoto[at]gmail.com 
〔予約フォーム〕 http://www.cafe-montage.com/mail/mail.html
入場料:2000円(全自由席) ※各公演終了後にワイン付レセプションあり(無料)


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福島康晴:《楽興の時》〜クラヴィコードのための
  シューベルトが作曲した『楽興の時』の原題はフランス語で、«Moments Musicaux»と記す。直訳すると「音楽的瞬間」であり、いささか邦題とは受ける印象が異なる。シューベルトが意図した「瞬間」とは、ピアノ・ソナタのように3楽章から成る「長い発展的ストーリー」ではなく、一つのアイデアでコンパクトにまとめた小品という意味ではないだろうか。拙作もその意味で『楽興の時』とよばれ得る。3つから成る小品は、それぞれ一つのアイデアから出発し発展したり、発展しなかったりして小さな世界に留まる。それは、まるで独り言のようで、人に聴かせることを前提としていなかったかもしれない「クラヴィコード」という魅力的な楽器に語らせるために相応しいものである。

福島康晴 Yasuharu FUKUSHIMA, compositore
c0050810_10284931.jpg  東京音楽大学大学院作曲家修了。これまでに作曲を西村朗、北爪道夫、小山順子、音楽学を金澤正剛の各氏に師事。1989年、日本現代音楽協会新人賞入選。1991年より同世代の作曲家伊左治直、杉山洋一、新垣隆と共に『冬の劇場』を結成し、イタリア人の作曲家とのコラボレーションなど活発に行った。1994年、Stella nova Tokyo「アジアの伝統、アジアの現代」により日本代表として委嘱を受ける。1998年より作曲家と古楽器演奏家による『ARCOBALENO アルコバレーノ』を結成し、ルネッサンス、バロック音楽と共に現代作品をプログラムに織り交ぜたコンサートを重ね、好評を博す。2000年、オーストラリアの"The Third National Recorder Competition" にて『5つの練習曲 Cinque studi』が第1位を獲得。作品は国内だけでなくドイツ、オーストラリア、イタリアなどでも演奏されている。
  バロック声楽法を牧野正人氏に師事後、2006年に渡欧、イタリア・ミラノ市立音楽院においてルネサンス対位法をディエゴ・フラテッリに学ぶ。これまでに声楽をビアンカ・マリア・カゾーニ、ヴィンチェンツォ・マンノ、アントネッラ・ジャネーゼの各氏に師事。演技指導をデーダ・クリスティーナ・コロンナ、アンサンブルをマーラ・ガラッシより薫陶を受ける。また、モンテヴェルディ周辺の音楽理論・演奏慣習をロベルト・ジーニ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)に師事。2009年にミケランジェロ・グランチーニ(1605-60)の論文とコンサートにより、最高点・褒賞付きで卒業。この論文に収められている自ら編集したグランチーニの宗教曲集はイタリアの出版社より刊行予定である。主宰するアンサンブル・グランチーニの演奏は、イタリア国営放送ラジオ”Rai 3"で生中継が行われた。
  併せてミラノ市立音楽院の指揮科にも在籍し、エミーリオ・ポマーリコ、レナート・リヴォルタ、杉山洋一の各氏に師事。2010年にはミラノのテアトロ・ダル・ヴェルメにおいて、オーケストラ「イ・ポメリッジ・ムジカーリ」を、2012年にはミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団を指揮し好評を博した。昨年末に6年間に渡るイタリアでの活動に終止符を打ち帰国。
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by ooi_piano | 2014-03-04 04:45 | Beethovenfries2013 | Comments(0)
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2014年2月16日(日)15時
トリアギャラリー(杉並区西荻北5-8-5)JR西荻窪駅下車徒歩8分
http://www.toriagallery.com/ JR西荻窪駅北口正面のジェイコムショップとカラオケ館の間の道をまっすぐ進み、善福寺川を渡ったら、150歩ほど。黄色い看板が目印です。

WINDS CAFE 206 【UEO×OOI モーツァルトの四手ソナタ】
上尾直毅+大井浩明(クラヴィコード連弾) http://www.st.rim.or.jp/~mal/Cafe/

W.A.モーツァルト(1756-1791):
●4手のためのピアノ・ソナタ ハ長調 K. 19d (1765) [全3楽章]
●4手のためのピアノ・ソナタ ニ長調 K. 381 (1772) [全3楽章]
●4手のためのピアノソナタ 変ロ長調 K.358 (1774) [全3楽章]
●アンダンテと5つの変奏 ト長調 K. 501 (1786)
●4手のためのピアノ・ソナタ ハ長調 K. 521 (1787) [全3楽章]

  家庭内や師弟間で愉しむためのものから、演奏会用を意識した大規模な作品まで、初期から後期に及ぶモーツァルトの4手連弾作品の粋を集めたプログラムです。通常用いられるフォルテピアノではなく、珍しいクラヴィコード連弾で演奏致します。4手連弾作品と言えば、18世紀当時の初版から新モーツァルト全集に至るまで、右頁・左頁に分かれた「パート譜」でのみ出版されて来ましたが、今回はロバート・レヴィン校閲による最新の「スコア」形態による原典版を使用します。

上尾直毅 Naoki UEO
c0050810_10502726.jpg  東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を91年に卒業。在学時ピアノを辛島輝治氏、チェンバロを山田貢、鈴木雅明、渡邊順生の各氏に師事。92年第6回古楽コンクールで「通奏低音賞」を受賞。オランダにてチェンバロをG・レオンハルト、A・アウテンボッシュ、フォルテピアノをS・ホーホランド各氏に師事しソリストディプロマを得て卒業。オランダではデン・ハーグ王立音楽院古楽器科の伴奏員、オランダ室内管弦楽団のチェンバロ奏者などを勤める。現在、日本国内を中心に鍵盤楽器奏者、および18世紀フランス宮廷バグパイプ「ミュゼット」奏者としてCD録音や数々のコンサートで活躍している。近年は特にクラヴィコードの演奏にも力を注いでいる。2010年に発売されたフォルテピアノのCD「ベートーヴェン61鍵の時代」は「レコード芸術」誌において「特選盤」「優秀録音」に選ばれた。レ・ボレアード(指揮:寺神戸亮)、オーケストラ・リベラ・クラシカ(指揮:鈴木秀美)などのオーケストラのメンバー。桐朋学園大学音楽学部講師。 http://music.geocities.jp/muzettes/indexJ.html
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by ooi_piano | 2014-02-15 02:00 | Beethovenfries2013 | Comments(0)
(増補)第1回~第6回公演 感想まとめ等: http://togetter.com/li/568921

c0050810_10511582.gifベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲連続演奏会(全8回)
~様式別・時代順のフォルテピアノ(古楽器)による~


淀橋教会・小原記念チャペル(東京都新宿区百人町1-17-8)
JR総武線・大久保駅「北口」下車徒歩1分、JR山手線・新大久保駅下車徒歩3分
3000円(全自由席) [3公演パスポート8000円]

【お問合せ】 合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 (13時~19時/水木休) Fax 03 (3377)4170 (24時間受付) http://www.opus55.jp/

第七回公演
2014年2月14日(金)19時/淀橋教会・小原記念チャペル

使用楽器 
1802年ブロードウッド 68鍵 イギリス式シングルエスケープメントアクション
[1/6ヴァロッティ不等分律]  調律 深町研太
《演奏曲目》

■ソナタ第27番ホ短調Op.90(1814)
 第1楽章 Mit Lebhaftigkeit und durchaus mit Empfindung und Ausdruck
 第2楽章 Nicht zu geschwind und sehr singbar vorgetragen

■ソナタ第28番イ長調Op.101(1816)
 第1楽章 Etwas lebhaft und mit der innigsten Empfindung / Allegretto, ma non troppo
 第2楽章 Lebhaft, Marschmäßig / Vivace alla Marcia
 第3楽章 Langsam und sehnsuchtvoll / Adagio, ma no troppo, con affetto
 第4楽章 Zeitmaß des ersten Stückes / Tempo del primo pezzo: tutto il Cembalo ma piano
- Geschwinde, doch nicht zu sehr, und mit Entschlossenheit / Allegro

【休憩10分】

■第29番変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィーア(Hammerklavier)」
(1817/18、ロンドン初版に基づく)
 第1楽章 Allegro
 第2楽章 Adagio sostenuto / Appassionato e con molto sentimento
 第3楽章 Scherzo: Assai vivace - Presto - Prestissimo - Tempo I
 第4楽章 Introduzione: Largo - Un poco più vivace - Tempo I - Allegro - Tempo I - Prestissimo
- Allegro risoluto: Fuga a tre voci, con alcune licenze



c0050810_1034068.jpg〈ハンマー=クラヴィアのための大ソナタ、
皇室の、王室の、閣下、猊下、
限りなく光輝あり、高尊なる
ルドルフ・フォン・エスターライヒ大公閣下様、
枢機卿、オルミュッツ大司教、等々であらせられまするに、
深甚の畏敬をもって献呈、
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
作品106〉




英国系フォルテピアノのすすめ ――― 明石拓爾

c0050810_10525624.png   フォルテピアノ製作において歴史的にイギリス系とウィーン系の二大勢力が拮抗していたことは広く知られている。
   しかし現在演奏に使用されている楽器は、古典派に限ればおそらく九割以上が南ドイツ・ウィーン系のウィーン・アクションを持つ楽器と思われる。それはフォルテピアノの古典派演奏が、ウィーンの三巨匠(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン)への興味から扱われていた事情によるもので、演奏される曲目ももっぱら3巨匠の作品に限られている。すなわちこの分野では、いまだ19世紀以来の強力なキャノニズムの流れの中にあり、私たちは古典派期ピアノ音楽の魅力を充分享受できていないのではないだろうか。

   三巨匠とイギリス系ピアノとのかかわりについてはよく知られている。ハイドンは英国滞在中にロングマン&ブロドリップのピアノを購入している。3曲の「ロンドンソナタ」は英国ピアノを念頭に置いて書かれたと考えられている。ベートーヴェンはエラールとブロードウッドのピアノを所有したが、それは彼のインスピレーションの源となった。モーツァルトと英国ピアノとのかかわりははっきりしないが、ロンドンを訪れた幼児期やフランス滞在の際、英国製スクエアピアノに出会った可能性が指摘されている。
  しかしウィーン三巨匠のせまい窓から覗き見たのみでは、英国ピアノが二大勢力の一方だったと言われてもピンと来るはずもない。英国ピアノとはいったいどのような楽器で、どこの誰が弾いていたのだろうか。

c0050810_10534927.gif  18世紀の英国は音楽史の教科書でも触れられることが少ない「暗黒地帯」といえるが、実際は18世紀を通じて常にホットで独特な音楽環境が存在していた。いち早く市民革命を経験し、社会の安定と経済の活況で力をつけた富裕中産階級はこぞって「良い趣味」の音楽を求めた。公開演奏会が成立するとともに、熱心な音楽ファンは当然自らも演奏した。その富に引き寄せられるようにヨーロッパ中から集まった優秀な音楽家たちが旺盛な音楽活動を支え、楽器製作者もまた腕を振るったのである。
  英国式ピアノは、こうした18世紀後半の英国の豊かな音楽環境の中で生まれ育った楽器であった。

  英国式ピアノの特徴については、今日までウィーン式との対比で様々なことが言われてきた。音はサステインが長く、高音が豊かである。タッチが深く重い。ダンパーの効きが弱い。音量はあるが表情の豊かさに劣る、云々。多くは同時代の評判(フンメル、モシェレスなど)に基づくものだが、現代においては実際の楽器に触れたり、演奏を聴く機会はウィーン式に比べ極端に少ない。今までのところむしろ楽器学や楽器製作者の関心が先行している感があり、先入観によらない認識や評価はまだこれからと言えよう。

  今後J.C.バッハ、クレメンティ、J.L.ドゥセックといったビッグネームの作品が日常的にフォルテピアノ演奏会のプログラムに載るようになる日はそう遠くないだろう。またピアノ協奏曲、伴奏付きソナタといった魅力的な分野の発掘が進むことも期待される。18世紀のピアノ音楽文化全体の再評価に伴い、英国ピアノの魅力も再発見されていくに違いない。


【次回公演】
c0050810_10554151.jpg■最終回 2014年3月21日(金・祝)19時(18時半開場) 3000円(全自由席) 淀橋教会
ベートーヴェン:ソナタ第30番ホ長調Op.109 (1820) [全3楽章]、ソナタ第31番変イ長調Op.110 (1821/22) [全3楽章]、ソナタ第32番ハ短調Op.111 (1821/22) [全2楽章]
お問合せ/合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 http://www.opus55.jp/
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by ooi_piano | 2014-02-12 10:37 | Beethovenfries2013 | Comments(0)
(増補)第1回~第5回公演 感想まとめ等: http://togetter.com/li/568921


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ベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲連続演奏会(全8回)
~様式別・時代順のフォルテピアノ(古楽器)による~


淀橋教会・小原記念チャペル(東京都新宿区百人町1-17-8)
JR総武線・大久保駅「北口」下車徒歩1分、JR山手線・新大久保駅下車徒歩3分
3000円(全自由席) [3公演パスポート8000円]

【お問合せ】 合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 (13時~19時/水木休) Fax 03 (3377)4170 (24時間受付) http://www.opus55.jp/

第六回公演
2014年1月17日(金)19時/淀橋教会・小原記念チャペル

使用楽器 
1802年ブロードウッド 68鍵 イギリス式シングルエスケープメントアクション (#)
1814年ブロードウッド(スクエア・ピアノ) 68鍵 イギリス式シングルエスケープメントアクション (※)
[1/6ヴァロッティ不等分律]
調律 深町研太/太田垣至


c0050810_222584.jpg〈告別 - 不在 - 再会、
ピアノフォルテのためのソナタ、
ルドルフ・フォン・エスターライヒ大公閣下へ、
L.v.ベートーヴェンにより献呈〉


FB イベントページ

《演奏曲目》

ソナタ第22番ヘ長調Op.54(1804) (#)
In Tempo d'un Menuetto - Allegretto

ソナタ第23番ヘ短調Op.57「熱情(Appassionata)」(1804/05) (#)
Allegro assai - Andante con moto - Allegro ma non troppo /Presto

ソナタ第24番嬰ヘ長調Op.78「テレーゼ(À Thérèse)」(1809)  (※)
Adagio cantabile /Allegro ma non troppo - Allegro vivace

 【休憩10分】

ソナタ第25番ト長調Op.79(1809) 「かっこう(Kuckuck)」(ソナチネ) (※)
Presto alla tedesca - Andante - Vivace

ソナタ第26番変ホ長調Op.81a「告別(Das Lebewohl)」(1809)  (#)
Ⅰ.「告別」Das Lebewohl (Les Adieux) Adagio -Allegro
Ⅱ.「不在」Abwesenheit (L'Absence) Andante espressivo, In gehender Bewegung, doch mit viel Ausdruck
Ⅲ.「再会」Das Wiedersehen (Le Retour) Vivacissimamente, Im lebhaftesten Zeitmasse



英国から見るピアノ史  ―――  明石拓爾


c0050810_22392992.jpg  英国は南ドイツ・ウィーンと並んで最初にピアノ文化が花開いた地域だった。その黎明期から1800年ごろまでのピアノ製作史を概観してみたい。

  イギリスに最初にピアノフォルテが登場したのは1740年代と考えられている。音楽家チャールズ・バーニーが記録している一台は、イタリアから輸入されたもので、当時の音楽家、音楽愛好家、製作家の間で話題を呼んだが、まだ小さい動きだった。

  1759年、長年英国音楽界に君臨したヘンデルが亡くなると、音楽界全体がひとつの転機を迎える。新しい趣味を代表する音楽家の一人が1762年にイタリアからやってきた大バッハの末の息子、ヨハン・クリスティアン・バッハである。J.C.バッハの到着を契機にイギリスでピアノフォルテの開発競争が始まった。

c0050810_22402811.gif  最初に成功を収めたのは、1766年にスクエアピアノを開発発売したヨハン・ツンペである。ごく単純なアクションを持ち、安価でコンパクトながら必要十分な音楽性能を備えたこの楽器は、有力な音楽家たちに支持され、音楽好きの淑女たちの間で爆発的な人気を得る。
  イギリスで出版される鍵盤曲の楽譜では、それまでの「ハープシコードのための」という文言が、10年以内に軒並み「ハープシコードまたはピアノ・フォルテのための」に置き換わった。この場合「ピアノ・フォルテ」は明らかに四角くて小さいスクエアピアノを指しているのである。

  一方グランドピアノの分野で最も成功したのはオランダ出身のアメリカス・バッカースである。1770年頃バッカースが新たに開発したエスケープメント付きアクションは、同時代に南ドイツでシュタインが開発した「ウィーン式アクション」と対比して「イギリス式グランドアクション」と呼ばれ、20世紀初頭まで100年以上にわたって愛用されることになる。

  最初期のピアノフォルテ製作は、中小の製作工房による一種のベンチャー産業だった。スクエア型にしろグランド型にしろ、1780年代まで各工房により様々なアクションやストップが試みられ、多様で個性的な楽器が製作された。
  ここにハープシコードのトップメーカー、ジョン・ブロードウッドが参入したのは1780年頃のことである。大工房ブロードウッドはよりシンプルで安価な独自仕様のスクエアピアノを発売し、また1785年頃からはバッカースのピアノベースにしたグランドピアノの生産を始め、大成功を収める。
  1790年代に入るとグランドピアノはその仕様が急速に標準化され、各工房からはブロードウッドとほとんど見かけも性能も変わらないピアノが生産されるようになる。1800年頃の仕様は、5.5オクターブの音域、バッカースのアクションと一音あたり3本の弦、ダンパーペダルとウナコルダペダル、というものだった。今回のコンサートで使用されるジョーンズ・ラウンドもそうしたピアノの一つである。

c0050810_2241671.gif  スクエアピアノも標準化が進んだが、速度はより穏やかだった。ロンドン最大の総合音楽商社であったロングマン&ブロドリップ社はヨハン・ガイブ開発のエスケープメントアクション(1786年)など新技術を積極的に取り入れたスクエアピアノを発売し支持される。1800年頃には各工房でエスケープメントアクション、一音当たり2本の弦、5.5オクターブの音域とダンパーペダルという仕様にほぼ標準化される。しかしシンプルなツンペ・アクションも1810年ごろまで使用されていた。 ロングマン&ブロドリップ社は1798年破産、大ピアニストで作曲家のムツィオ・クレメンティが経営に乗り出し見事に再建し、クレメンティ社として独自の工房でピアノの生産を始める。

  これまでイギリス、とくに古典派時代は音楽史に登場する機会の少ない地域だった。その独特の音楽文化は19世紀後半のロマン派的音楽観からは評価されず、時代地域ごと忘れ去られた。その結果クレメンティのような大作曲家でさえキャノンの枠からはずれ、今日に至るまでめったに顧みられない。しかし実際は18世紀を通じてイギリスは音楽的に際立ってホットな地域だった。ウィーン・ピアノと共に隆盛を極めたイギリスのピアノは、間違いなく18世紀後半のイギリスの豊かな音楽環境の中で生まれ育てられたものなのである。



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【次回公演】
■第7回 2014年2月14日(金)19時 ソナタ第27~29番 [作品90, 101, 106《ハンマークラヴィア》]
■最終回 2014年3月21日(金・祝)19時 ソナタ第30~32番 [作品109, 110, 111]
各回19時開演(18時半開場) 3000円(全自由席) [3公演パスポート8000円]
お問合せ/合同会社opus55 Tel 03(3377)4706  http://www.opus55.jp/

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【関連公演】
c0050810_22424494.gif■2014年1月25日(土)15時 松濤サロン (渋谷区松濤1-26-4)
《ピアノで弾くバッハ Bach, ripieno di Pianoforte》 第5回公演
J.S.バッハ:イギリス組曲 Englische Suiten BWV806-811 (全6曲) (NYスタインウェイによる演奏)
お問合わせ/オカムラ&カンパニー tel 03-6804-7490
http://okamura-co.com/ja/events/piano-axis/

■2014年02月16日(日)15時 トリアギャラリー(杉並区西荻北5-8-5)
WINDS CAFE 206 【モーツァルトの四手ソナタ】
W.A.モーツァルト:連弾ソナタ K.19d (1765)、K.381 (1772)、K.358 (1774)、K. 501 (1786)、K.521(1787)
[w/上尾直毅、クラヴィコード連弾] http://www.st.rim.or.jp/~mal/Cafe/

■2014年3月5日(水)20時 カフェ・モンタージュ(京都)
《クラヴィコードによる1780年代》
L.v.ベートーヴェン:3つの選帝侯ソナタWoO47 (1782/83)、全ての長調にわたる2つの前奏曲 Op.39(1789)
C.P.E.バッハ:幻想曲嬰ヘ短調「C.P.E. バッハの情念」H300/Wq.67 (1787)
W.A.モーツァルト:幻想曲 ニ短調 KV397(385g) (1782)、ロンド イ短調 KV511 (1787)、アダージョ ロ短調 KV540 (1788)
福島康晴:〈楽興の時 第2番〉(2014、委嘱初演)
(以上クラヴィコード独奏)
お問合わせ/カフェ・モンタージュ tel 075-744-1070 http://www.cafe-montage.com/
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by ooi_piano | 2014-01-13 22:34 | Beethovenfries2013 | Comments(0)
○カフェ・モンタージュ(京都) http://www.cafe-montage.com/ (地下鉄「丸太町」徒歩5分)
〔お問い合わせ〕 カフェ・モンタージュ 075-744-1070 montagekyoto[at]gmail.com 
〔予約フォーム〕 http://www.cafe-montage.com/mail/mail.html
○入場料:2000円(全自由席) ※各公演終了後にワイン付レセプションあり(無料)
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c0050810_1315648.jpg【第1回】 12月22日(日)15時

●J.ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 (1876) [全4楽章]
Un poco sostenuto / Allegro - Andante sostenuto - Un poco allegretto e grazioso - Adagio / Più andante / Allegro non troppo, ma con brio / Più allegro

●J.ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 Op.73 (1877) [全4楽章]
Allegro non troppo - Adagio non troppo / L'istesso tempo,ma grazioso - Allegretto grazioso (Quasi andantino) / Presto ma non assai / Tempo I - Allegro con spirito

[オットー・ジンガー(1863-1931)によるピアノ独奏版]
使用楽器: 1905年製NYスタインウェイ

FBイベントページ

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c0050810_1323640.jpg【第2回】 12月26日(木)20時

ヴァイオリン独奏/谷本華子、チェロ独奏/上森祥平

●J.ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77 (1878) [全3楽章]
Allegro non troppo - Adagio - Allegro giocoso,ma non troppo vivace / Poco piu presto

●J.ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 Op.102 (1886) [全3楽章]
Allegro - Andante - Vivace non troppo

[作曲者自身によるピアノ伴奏版]
使用楽器: 1905年製NYスタインウェイ

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c0050810_133218.jpg【第3回】 12月29日(日)15時

●ブラームス: 交響曲第3番 ヘ長調 Op.90 (1883) [全4楽章]
Allegro con brio - Andante - Poco allegretto - Allegro / Un poco sostenuto

●J.ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98 (1884/85) [全4楽章]
Allegro non troppo - Andante moderato - Allegro giocoso - Allegro energico e passionato

[オットー・ジンガー(1863-1931)によるピアノ独奏版]
使用楽器: 1905年製NYスタインウェイ


谷本華子 Hanako Tanimoto / violin
  兵庫県西宮高校音楽科を卒業後、桐朋学園大学音楽学部ソリストディプロマコースに入学。ロームミュージックファンデーションの奨学金を得てカナダ・プランドン大学へ留学。日本及びカナダ各地でリサイタルを行い好評を得る。カナダナショナルヴァイオリンコンクール第2位、シェーンヴァイオリンコンクール第1位、他多数受賞。 ソリストとして、国内のオーケストラはもとより、サンクトペテルブルクシティフィルハーモニック、国立ブルガリア室内オーケストラ及びエドモントンシンフォニーオーケストラ等とも共演。 神戸ユース賞、ゆずりは賞、神戸灘ライオンズクラブ音楽賞、大阪府「21世紀協会賞」、大阪府知事賞、クリティッククラブ音楽賞及び他多数の受賞を重ねる。 これまでに東儀祐二、東儀幸、森田玲子、田村知恵子、森悠子、江藤俊哉、Nandor Szederkenyiの各氏に師事。現在、ソロや室内楽を中心に長岡京室内アンサンブルのメンバーとして活躍する他、兵庫県立西宮高校音楽科非常勤講師として後進の指導にも努める。

上森祥平 Shohei Uwamori / cello
  東京藝術大学在学中に第66回日本音楽コンクール第1位入賞、併せて「松下賞」受賞。1998年東京藝術大学にて安宅賞受賞。1999年各地でデビューリサイタルを開催。 その高い表現力や表情を多彩にする包容力は、誌上で高く評価された。宮崎国際室内樂音楽祭にてアイザック・スターン、エマニュエル・アックスの各氏に師事。1ヶ月にわたるレッスンの模様はNHK教育・BSで放送された。2000年スターン氏の招きによって、再び同氏及びジュリアード・クァルテットの各氏に師事。同年、ヨーヨー・マ氏のマスタークラスを受講。2001年渡独、ベルリン芸術大学に留学。2004年J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲連続演奏会で成功を収め、誌上で絶賛される。パブロ・カザルス国際チェロコンクール、エマニュエル・フォイアマン・グランプリセミファイナリストのほか、ヨーロッパ各地で演奏ののち帰国。現在ソロ・室内楽・主要オーケストラの首席客演等多方面にわたって 活躍。2005~2008年ドイツ三大Bチェロ作品全曲リサイタルを成功させる。2008年よりJ.S.バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会(朝日新聞社主催・浜離宮朝日ホール)を毎年開催する。「熱狂の日」音楽祭、「東京・春・音楽祭」、NHK-BSプレミアム、FM他多数出演。これまでに小林研一郎、下野竜也等各氏指揮のもと、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、京都市交響楽団、大阪交響楽団、神戸市室内合奏団、藝大フィルハーモニア等と共演。ヴォルフガング・ベッチャー、河野文昭、山崎伸子の各氏に師事。京都市芸術文化特別奨励者及び京都府文化賞奨励賞受賞。
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by ooi_piano | 2013-12-13 13:01 | Beethovenfries2013 | Comments(0)
(増補)第1回~第4回公演 感想まとめ等: http://togetter.com/li/568921


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ベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲連続演奏会(全8回)
~様式別・時代順のフォルテピアノ(古楽器)による~


淀橋教会・小原記念チャペル(東京都新宿区百人町1-17-8)
JR総武線・大久保駅「北口」下車徒歩1分、JR山手線・新大久保駅下車徒歩3分
3000円(全自由席) [3公演パスポート8000円]

【お問合せ】 合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 (13時~19時/水木休) Fax 03 (3377)4170 (24時間受付) http://www.opus55.jp/
第五回公演
2013年12月6日(金)19時/淀橋教会・小原記念チャペル

使用楽器 
1802年ブロードウッド 68鍵 イギリス式シングルエスケープメントアクション (#)
1814年ブロードウッド(スクエア・ピアノ) 68鍵 イギリス式シングルエスケープメントアクション (※)
[A=440Hz、1/6ヴァロッティ不等分律]
調律 深町研太/太田垣至

c0050810_10553970.jpg〈ピアノフォルテのための大ソナタ、
在ヴィルンスベルク・チュートン騎士分団長にして侍従、ワルトシュタイン伯爵閣下へ、
ルイ・ヴァン・ベートーヴェンにより作曲献呈、作品53〉


FBイベントページ https://www.facebook.com/events/545000585594490/


《演奏曲目》

●ベートーヴェン:ソナタ第16番ト長調Op.31-1(1802) (#)
Allegro vivace - Adagio grazioso - Rondo; Allegretto

●ベートーヴェン:ソナタ第17番ニ短調Op.31-2「テンペスト(Der Sturm)」(1802) (※)
Largo/Allegro - Adagio - Allegretto


(休憩10分)

●ベートーヴェン:ソナタ第18番変ホ長調Op.31-3「狩り(Die Jagd)」(1802) (#)
Allegro - Scherzo: Allegro vivace - Menuetto: Moderato e grazioso - Presto con fuoco

ベートーヴェン:ソナタ第21番ハ長調Op.53「ワルトシュタイン(Waldstein)」(1803/04) (#)
Allegro con brio - Introduzione; Adagio molto - Rondo: Allegretto moderato

古楽器との出会い  ―――  花田忠彦

c0050810_7111877.jpg小学時代から続けてきたピアノの進歩が非常に遅く、中学になってもまだバイエルをやっている有様。ピアノ才能が全く欠如している事にようやく気付き、遅ればせながら別の楽器で音楽に再挑戦しようと思ったのが中学3年の頃でした。高校入学後、進学祝いとして親にねだって買ってもらったフルート。高校時代はフルート教室に通い、大学に入ってからは室内楽のサークルに入って続けましたが、どこか違和感を持つようになりました。

そんな折、NHK FMのバロック音楽の番組をたまたま聴いていた時に、不思議なフルート曲が流れてきました。チェンバロと弦楽器の通奏低音に伴奏された、2本のフルートによる素朴な響きの曲。演奏後の解説でバッハの2本のフラウト・トラヴェルソと通奏低音の為のソナタと知りましたが、これが「フラウト・トラヴェルソ」という楽器をはっきりと意識した最初の瞬間でした。ビブラートをほとんど掛けず、少しくすんだような木目調の音色。アーティキュレーションが極端に強調されている、ちょっと不思議な演奏。可能性を直観させられる、心惹かれる演奏に思えました。

この時から、モダン・フルートでバロック音楽を演奏する時、迷いを感じるようになりました。モダン・フルートでもアーティキュレーションを強調する事はできますし、ビブラートを抑えて吹くことはできます。大学2年の時、とある演奏会に出演した時、同じ曲をモダン・フルートで演奏したのですが、放送の演奏をちょっと真似して極端なアーティキュレーションでビブラートを控えた演奏を試みました。
珍しい演奏になったとは思いましたが、何か違和感が残りました。

その後、日本の楽器メーカーの「トヤマ楽器製造株式会社」が、樹脂製の本格的なフラウト・トラヴェルソを発売している事を知りました。愛好家からはキーが一つしか付いていない白い樹脂製の外観から「蛍光灯」というあだ名のその楽器、5万円程度だった事もあって、気軽な気持ちで入手しました。

樹脂製とは言え、ずっしりと重い楽器はなかなかたいしたものに思えました。指使いはモダン・フルートとは違いますが、基本的な発音原理はモダン・フルートと同じです。音を出す事自体に難しくありませんでした。歌口の大きさがとても小さいので、息を吹き込む向きには注意が必要でしたが、ほどなく曲らしきものを吹けるようになりました。

音が小さくて素朴だし、ちょっと調子はずれだけど、あまり違和感なくアーティキュレーションの掘り込みができ、ノンビブラートでも間延びしにくい事に驚き、フラウト・トラヴェルソの魅力に惹きこまれていきました。

c0050810_712159.jpgそれから大学卒業後、会社員としての生活が始まり数年たってから。
学生の頃より自由な時間は減りましたが、代わりに自由にできるお金は少し増えました。フラウト・トラヴェルソへ本格的に突き進む前に、モダン・フルートとリコーダーという、あえて隣接するジャンルを先に学んでおきたいという気持ちが起こり、それぞれレッスンに通い始めました。
また、樹脂製の工業製品ではなく、木材でできた「本物の」フラウト・トラヴェルソを持ちたいと思いはじめました。

当時ついていたリコーダーの先生はフラウト・トラヴェルソも演奏していたこともあって、先生から譲ってもらったツゲ製のフラウト・トラヴェルソが最初の本格的な楽器でした。また、当時普及し始めていたインターネットからの情報で、非常に多くの種類の楽器が世界中の多くの楽器製作者によって製作されている事を知りました。興味の赴くままに次々と注文して異なる様式の笛を輸入しはじめた頃、ようやく本気でフラウト・トラヴェルソを専門とする先生に習う事を決心しました。

最初のレッスンで、バッハやテレマンの無伴奏曲を吹くように言われました。真っ先に指摘されたのは、「息が強すぎる。音が汚いね、フラウト・トラヴェルソの美しい音が出る吹き方はモダン・フルートとは全く違うんだよ。」 

それまで、音は綺麗に十分に鳴っていると思っていました。汚い音だったんだ・・・。
そもそも、フラウト・トラヴェルソの美しい音ってどんな音?
その後、ずっと追いかけていく疑問が湧き上がってきた瞬間でした。

最初のレッスンで、自力で集めた楽器を3本持っていきました。それぞれを試奏してもらったのですが、そのうちの1本を試して頂いた時、「凄く良い楽器だね。 オリジナル楽器の響きがするね、これは」。

オリジナル楽器の響き?
その後のフルートとの関わりで影響を与えた重要なキーワードを意識した瞬間でした。

c0050810_7125848.gifレッスンは毎回新しい発見の連続でした。
フラウト・トラヴェルソは、大きい音を出す事は不得意。でも音量を小さくしていく事はとても得意で、楽器が出せる一番小さな音と一番大きな音の差である「ダイナミック・レンジ」は非常に大きい。息の変化に対する音質の変化はとても大きく敏感で、それを時間的な微妙な変化をコントロールする事で積極的に表現に利用する事ができる。タンギングを精密にコントロールする事で、モダン・フルートよりアーティキュレーションをくっきりと掘り込んでいく事ができる。「歌うような」表現はもちろん、アーティキュレーションを更に深く掘り込んでいく事で可能となる「喋っているような・語りかけるような」表現もできる。自習ではフラウト・トラヴェルソのポテンシャルがこれほど大きいという事に気付く事ができませんでした。

レッスンでは、最初にブラヴェ、オットテールといったフランス・バロックの重要作品が真っ先に取り上げられました。そこで用いられるイネガールと呼ばれる不均等な音の分割法、様々なバロック時代固有の装飾法などを学ぶ事により、今まで知らなかったバロック音楽の豊穣な世界が急激に広がっていきました。これらの技法を正しく用いる事により、一見単純な譜面の音楽も、非常に濃厚に香りたつ素晴らしい美を示してくれる事がとても面白い。

「フラウト・トラヴェルソの美しい音」とは何か。最初のレッスンで生じた疑問は、その後ずっと私の心の中に居座り続け、いまだにずっと解答がだせない問題です。

私の場合、最初のレッスンで先生が口走った「オリジナル楽器の響き」を持つ楽器が座標軸となりました。
最初、その楽器を吹いてもあまり良い音が出ませんでした。ですので、その楽器を使って、一番響くポイントを探っていくと言う作業を根気よく続けていきました。今、自分なりに出した中間的な解答を恥ずかしながら紹介させて頂きたいと思います。

c0050810_7134119.gif美しい音を出す為の前提として重要なのは、息の圧力、スピードのコントロールと思います。コントロールと言っても奥が深いのですが、その中で取り分け大切な事があります。フラウト・トラヴェルソが美しく響く息の圧力は、モダン・フルートより圧倒的に低いのです。モダン楽器の経験者がフラウト・トラヴェルソを吹く時、簡単に音が出てしまうので気づきにくいのですが、フラウト・トラヴェルソの美しさを引き出す為には何よりも息の圧力を弱める事が必要です。 その為には、しっかりと脱力ができるようになる事がとても重要です。

響きの良い楽器と出会えれば良いのですが、どうしたら出会えるのだろう、というのが次の課題です。実のところ、響きを習得する練習に使ったフルートはピッチもスタイルも特殊で、合奏等には向かない楽器でした。フルートにも時代、地域に応じた様々なスタイルがありますので、1本あればすべてこなせるという訳ではありません。

世界中の著名な製作者に手紙を出し、次々と楽器を注文していきました。また、様々な楽器の展示会でも試奏させてもらい、これはと思うものを入手。色々なフラウト・トラヴェルソとの出会いを通じて、美しい響きに迫ろうと努力しました。

現代に作られるレプリカ楽器だけでなく、幸運にも18世紀後半にヨーロッパで製作されたオリジナル楽器数本とも巡り合いました。その中には、確かにオリジナル楽器の響きと呼ばれるに恥じぬ、素晴らしい響きを持つ楽器もありました。
いつのまにか、新旧様々な30本もの楽器が手元に集まってきました。
美しい響きの謎はいまだに解ける気配がありません。
この楽しい旅の道のりは長そうです。
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by ooi_piano | 2013-12-04 07:21 | Beethovenfries2013 | Comments(0)
第1回~第3回公演 感想まとめ等: http://togetter.com/li/568921

ベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲連続演奏会(全8回)  
~様式別・時代順のフォルテピアノ(古楽器)による~


淀橋教会・小原記念チャペル(東京都新宿区百人町1-17-8)
JR総武線・大久保駅「北口」下車徒歩1分、JR山手線・新大久保駅下車徒歩3分
3000円(全自由席) [3公演パスポート8000円 5公演パスポート13000円]

【お問合せ】 合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 (13時~19時/水木休) Fax 03 (3377)4170 (24時間受付) http://www.opus55.jp/

FBイベントページ https://www.facebook.com/events/313503112121363/


第四回公演

使用楽器 ヨハン・ロデウィク・ドゥルケン(1795年頃、FF-g3)
[A=430Hz、1/6ヴァロッティ不等分律] 調律 太田垣至


c0050810_13344079.jpg〈チェンバロまたはピアノ=フォルテのための幻想曲風ソナタ
ジュリエッタ・グィッチャルディ伯爵令嬢へ、
ルイジ・ヴァン・ベートーヴェンにより作曲献呈、作品27第2 〉



《演奏曲目》

ソナタ第12番変イ長調Op.26「葬送(Trauer)」(1800/01)[全4楽章]
Andante con Variazione - Scherzo: Allegro molto - MARCIA FUNEBRE sulla morte d'un Eroe - Allegro

ソナタ第13番変ホ長調Op.27-1 《幻想曲風ソナタ》(1800/01)[全3楽章]
Andante/Allegro/Andante - Allegro molto e vivace - Adagio con espressione/Allegro vivace

    【休憩、約15分】

ソナタ第14番嬰ハ短調Op.27-2 《幻想曲風ソナタ》 「月光(Mondschein)」(1801)[全3楽章]
Adagio sostenuto - Allegretto - Presto agitato

ソナタ第15番ニ長調Op.28「田園(Pastorale)」(1801)[全4楽章]
Allegro - Andante - Scherzo: Allegro vivace - Rondo: Allegro ma non troppo

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《フォルテピアノとの出逢い》 ―――正田朝子

c0050810_13481595.jpg 「これはいけるかもしれない。」私はその時、フォルテピアノのレクチャーコンサートの会場で、モーツァルトの演奏に釘付けになっていた。今まで体験したことのない、鮮やかな音がフォルテピアノから紡ぎだされていた。私が長い間ずっと、自分のモーツァルト演奏に持っていた不満が解消されるかもしれないという光が、射し込んで来た。「この楽器を弾いてみたい!」。

 それまでも、フォルテピアノに接する機会がないわけではなかった。オーストリアやドイツを旅行した際には、モーツァルトやベートーヴェンなど作曲家ゆかりの記念館や楽器博物館で、何度か目の当たりにした。最初は、「え、これが、こんな華奢な楽器が、ベートーヴェンが使っていたモノ?!」と肩すかしをくらった感じだった。幼少の頃からピアノを習って来たけれど、「ベートーヴェンの作曲は楽器の発達とともに」などと本で読んだりもしていたけれど、当時作曲家が実際にどんな楽器を使っていたのか、正直あまり考えたことがなかったのだ。実物を目の前にすると、「てことは、後期のソナタも、こんな小さな楽器で弾いていたんだ・・・」とその大きさが意外に思えた。

 ただし、そういう博物館では、生の音はなかなか聴くことができない。なので日本で、何回かレクチャーコンサートに足を運んでみたりもした。ただ、そういう場だとクラヴィコードから始まって様々な楽器を紹介することが多かったり、広い会場で楽器が遠かったりで、なんとなく「こんな楽器もあるんだぁ、この楽器はこんな音かぁ」で終わってしまっていた。だが、この日のレクチャーコンサートは、モーツァルトに的をしぼって解説と演奏をしてくれて、フォルテピアノならではのモーツァルトの響きを楽しむことができた。パラパラと本当に軽やかなタッチ、弱音ペダルを使った時のハッとするような暗くくぐもった音色。そして語りかけてくるようなアーティキュレーションや間合いなど。私はそれまで、モーツァルトを弾きながら「きっと楽譜にはもっと素敵で面白いことが書かれているはずだと思うのに、それがわからない、掘り出せない」と、自分の演奏のつまらなさにウンザリ、がっかりしていた。どうやれば、生き生きとした演奏になるのか。四角四面でない、かといってロマン派的なアプローチは何か違う、何かもっと「語る」ような演奏はどうしたらできるのか。…というようなことを、ぼんやりと感じ続けていた。それがこの日のレクチャーコンサートの演奏を聴いて、「自分はこんな演奏がしたいんだ、こういう手法(?)を学びたい!」と興奮してしまったのである。

c0050810_13493958.jpg 実は私はこれより前に、本当に少しだけチェンバロをかじったことがあるのだが、その時も「今まで現代ピアノで苦労してバッハとか弾いていたのは、何だったの?」と思ったのだった。チェンバロならば、各声部が立ち上がるように現れてくれるし、なんかもったりしていたパッセージがくっきりと輪郭を描いてくれる。この楽器を使えば、表現したいことがとても楽にできそうだということを思い知らされたのだった。もちろんそれと、自分がチェンバロを弾けるようになるということとは、別物なのだが・・・。

 そんなわけで、このレクチャーコンサート以来、フォルテピアノを弾いてみたいという願いがおさまらず、迷ったけれど思いきってレッスンに行くことにしてしまった。全くの初心者だし、誰か知り合いに先生を紹介してもらったわけでもないし、我ながら無謀というか「先生に失礼かも・・・」と思わないでもなかった。もちろん自宅にフォルテピアノなどあるはずもないし、近い将来買える予定もない。けれど、チェンバロを習っていた時もやはり自宅に楽器がなくてもレッスンはしてもらえたし、きっとなんとかなるだろうとわりと楽観的に門を叩いたのだった。そこはアマチュアの強さ(図々しさ)と言われれば、そうなんだろうと思う。

 念願かなって、レッスンの初回。恐る恐る、フォルテピアノの鍵盤を押すと、「え、これで終わり?!」。鍵盤がとても浅いのだ。誤解を恐れずに言うと、おもちゃのピアノみたい。現代ピアノの感覚で弾くと、あっという間に音が割れてしまう。現代ピアノでの指の感覚からすると、弱音域くらいの狭い範囲で微妙に調整していく感じだ。どのくらいが適切なのか、先生にアドヴァイスをいただきながら、手探りで弾いていく。制御にものすごく神経を使い、気づいたら汗をかいていた。脱力どころの話ではない。息も止まっていたかもしれない(笑)。

 こんなおっかなびっくりのスタートだったが、レッスンに通うたびに、私はフォルテピアノの魅力の虜になってしまった。

c0050810_13502778.jpg まずは何と言っても、その軽やかなタッチ。「ころころと転がるような」というのは、こんな音色のことを言うのかと思う。そして更に、チェンバロのようにちょっとしたアーティキュレーションをつけやすいので、パッセージにぐっと表情が出てくる。このアーティキュレーションのつけ方は、チェンバロを習っていた時に教わったのと似ていることも多く、「なるほど、奏法というものは連続しているんだなあ」と納得した。考えてみれば当たり前だが、クラヴィコードもチェンバロもフォルテピアノも同時期に存在していたことがあるわけで、作曲家や演奏家は、これらの楽器をごく普通に弾き分けていたのだよなあと。ならば、全く断絶した奏法のわけがないよなあと。私が新鮮だったのは、「弾きにくい音型というのは、弾きにくいというそのことに意味がある」というようなこと。現代ピアノでは、少なくとも私は、弾きにくい箇所でもインテンポで弾けるように頑張ってさらうのが当たり前だったと思う。でもそうではなくて、間に合わないならばそういう時間が必要な音型ということで、間があいてもいい、間があかないとおかしい、それによって自然な流れができてくるんだと言われ、ハッとさせられた。そう考えると、いろいろなパッセージの音型の見え方が今までと違って来た。まあつまりは、自分は本当に読譜力がないということを、痛感しているわけだ。

 次の魅力は、音色の不均一さ。「不均一」と言うとマイナスイメージを抱きがちだが、そうではない。フォルテピアノは音域によって音色が均質でないので、高音は高音らしく低音はとても低音らしく、響いてくれるのだ。現代ピアノで弾くと「なんとなく全部中音域(実際、現代ピアノでは中音域になってしまうし)」という曲も、すごくダイナミックに響くのだ。恥ずかしながら、「あ、この曲のこの音は、もう最高音に近かったのか」と初めて意識したり、また低音の響きに圧倒されたり、それはそれは弾いていて楽しいのである。全体の音量は現代ピアノよりも小さいけれど、聴いた時の印象ははるかにスケールが大きいと思う。

 それからペダルの効果もすごい。フォルテピアノは音の減衰が早いので、ダンパーペダルを踏んでも現代ピアノのように音が濁らない。なので、ペダル踏みっぱなしにしていても、全然大丈夫なのである。この響き具合がなんとも魅力的。その昔、ベートーヴェンの楽譜とかでペダル記号に疑問を感じたこともあったけれど、フォルテピアノなら可能なんだと改めて思った次第だ。あとはなんといっても弱音ペダル。これを踏むと、ガラッと雰囲気が変わって、ぞくぞくしてしまう。現代ピアノだと弱音ペダルはなんだか単にボケた音になるだけな気がして、私は積極的に踏むことはなかった。だけど、フォルテピアノの弱音ペダルは、本当に「使わなきゃ損」だ。

c0050810_1351107.jpg フォルテピアノのレッスンに通い始めてほんのちょっと、入口に立ったところの私が実感として思いつくフォルテピアノの魅力はこんなところだが、これからもまだまだ楽しみが見つけられそうでワクワクしている。そのうち、ソロだけでなく弦楽器などとのアンサンブルもやってみたいなあと思ったりしている。フォルテピアノが伴奏をしているチェロソナタを生で聴いたのだが、フォルテピアノの音量だと全くチェロの邪魔をすることがなく、とてもバランスが良かったのだ。フォルテピアノが思いっきり弾いているのに、チェロがかき消されることなく朗々と響いていて、非常に心地よかった。このバランスを、一度自分でも体感してみたい。

 けれど自分はアマチュアで、当然のことだが現代ピアノを弾く機会が圧倒的に多い。「フォルテピアノじゃなきゃモーツァルトやベートーヴェンを弾く気にならない」とか言ってみたいけど、そうそう言えない(笑)。だから、フォルテピアノの弾き方を現代ピアノに少しでも反映させることができたらいいな、とも考える。チェンバロやフォルテピアノの奏法が連続しているのなら、フォルテピアノと現代ピアノの奏法も連続しているのだろうと思うのだが、まだ自分の中でうまくつながっていない。それでも、現代ピアノでモーツァルトを弾く時にもフォルテピアノの音が思い浮かべられるようになっただけでも、自分としては進歩なのかもしれない。また、私はチェンバロよりもフォルテピアノの方が弾きやすいと感じるので、それもフォルテピアノが現代ピアノと連続しているということなのかもしれない。

 と言いつつ実は、「次はやっぱりクラヴィコードも弾いてみたい」とも思っていたりするのである。バッハやモーツァルト、ベートーヴェンも愛用していたというからには、弾いてみたらまた目からウロコなことがありそうだなあと、期待してしまうというもの。「弾いてみたい」と思っているだけなら誰にも迷惑をかけないし、まあ気長に温めておこうと思っている。
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by ooi_piano | 2013-10-30 13:38 | Beethovenfries2013 | Comments(0)
第1回・第2回公演 感想まとめ等: http://togetter.com/li/568921

ベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲連続演奏会(全8回)  
~様式別・時代順のフォルテピアノ(古楽器)による~


淀橋教会・小原記念チャペル(東京都新宿区百人町1-17-8)
JR総武線・大久保駅「北口」下車徒歩1分、JR山手線・新大久保駅下車徒歩3分
3000円(全自由席) [3公演パスポート8000円 5公演パスポート13000円]

【お問合せ】 合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 (13時~19時/水木休) Fax 03 (3377)4170 (24時間受付) http://www.opus55.jp/
第三回公演
2013年10月14日(月・祝)19時/淀橋教会・小原記念チャペル

使用楽器  アントン・ヴァルター(1790年頃、FF-f3)
[A=430Hz、1/6ヴァロッティ不等分律]
調律 太田垣至

c0050810_2442264.jpg〈ピアノ=フォルテのための大ソナタ、
ロシア帝国陸軍旅団准将デ・ブロウネ伯爵閣下へ、
ルイ・ヴァン・ベートーヴェンにより作曲献呈、作品22〉



[演奏曲目]

ソナタ第19番ト短調Op.49-1(1797)[全2楽章](ソナチネ)
Andante - Rondo: Allegro

ソナタ第20番ト長調Op.49-2(1796)[全2楽章](ソナチネ)
Allegro, ma non troppo - Tempo di Menuetto

ソナタ第9番ホ長調Op.14-1(1798)[全3楽章]
  Allegro - Allegretto - Rondo: Allegro comodo

       (休憩15分)

ソナタ第10番ト長調Op.14-2(1799)[全3楽章]
Allegro - Andante - Scherzo: Allegro assai

ソナタ第11番変ロ長調Op.22(1799/1800)[全4楽章]
Allegro con brio - Adagio con molta espressione - Menuetto - Rondo: Allegretto

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c0050810_310223.gif  「ブルージュ古楽コンクールで、なぜか現代曲が予選課題になり、参加者が激減した」、という噂を聞いたのは3年前のことです。キャリアアップを放棄するほど現代曲が嫌いなのか、と残念に思いました。ところが今年夏、「ブルージュの予選曲が、ついに図形楽譜になった」と知り、コンクール当局の鼻息に驚きました。
  噂の真偽を検証すべく、実際の参加者数を調べてもらいました。フォルテピアノ部門の推移は以下の通りです(カッコ内は日本人): 1992年30人(3人)、1995年26人(5人)、1998年29人(4人)、2001年33人(5人)、2004年52人(13人)、2007年41人(9人)、2010年24人(7人)、2013年30人(6人)。
  確かに2010年で激減してました。この年に課題曲となったのは、ベルギー人作曲家アネリス・ファン・パレス(1975- )による委嘱新作。今年(2013年)は第2次予選で、あろうことか、クリスチャン・ウルフ(1934- )《一人、二人、あるいは三人のために》(1964)とコーネリアス・カーデュー(1936-1981)《メモリーズ・オブ・ユー》(1964)のいずれかを、5オクターヴの初期フォルテピアノで弾かせた由(ただし「約5分程度で」)。文章と図形の指示による不確定作品が指定される事は、現代音楽コンクールでも前代未聞ですが、「奏法がよく分からないものに挑む」という点で、古楽コンクールの予選課題にはぴったり、とも言えます。2010年にくらべて、2013年の参加人数がやや盛り返しているのも興味深い。
  1964年創設、半世紀の歴史を誇る古楽コンクールで、現代曲が課題となったのは2009年のオルガン部門、ベルギー人作曲家フランク・ニュイツ(1957- )が初めてでした。もっとも、早くも1974年の時点で、G.リゲティへ委嘱する、という話はあったそうです。チェンバロ独奏のための《連続体(コンティヌウム)》は1968年作曲、1970年出版。クープラン《ティク・トク・ショク》とバッハ《幻想曲BWV572》の翻案とは言え、流石に古楽器学生には荷が重過ぎるでしょう。その後、1978年に書かれた《ハンガリー風ロック》《ハンガリー風パッサカリア》の二作は、ずっと取っ付き易い。ストラーチェやモンテヴェルディといった初期イタリア・バロックのチャコーナを模した、陽気な4小節単位のオスティナート音型(8分の2+2+3+2拍子)の上下に、技巧的なディミニューションが飛び交う前者はそこそこ厄介ですが、一方、中全音律における8つの純正な長3度と短6度の音程が、パッヘルベルのカノンと同様にパッサカリアとして繰り返される後者は、古楽学生にもuser-friendlyでしょう。

 (※)オランダでは、「全て1960年以降に作曲された」現代曲に特化したチェンバロ演奏コンクールも既に存在しているそうです(http://www.admf.nl/NL/competition.html)。
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  5年前に京都で開催したベートーヴェン・シリーズでは、「各々のソナタを書いていたベートーヴェンと(ほぼ)同年齢」の若手作曲家に、「各々のソナタを書いた際にベートーヴェンが使用・想定していた型のフォルテピアノ」のための新作を委嘱しました。少年時代のベートーヴェンが親しんだ楽器は、まずはクラヴィコードやチェンバロ、それにオルガンを少しで、新発明のフォルテピアノに触れられたのは彼が10代半ばを過ぎてからです。フォルテピアノの音域・ペダル・アクションの変遷は、その都度ベートーヴェンに少なからぬ霊感を生ぜしめましたが、新作委嘱はその歴史的再現、というわけです。
  モダン・チェンバロとは隔絶した音色を持つヒストリカル・モデルのチェンバロが登場したのが1950年代前半、フォルテピアノやクラヴィコードはそれに遅れること20~30年、奏法開拓やコンセンサスの拡がりにはさらにタイムラグがあり、まだまだ「美しい古楽器の音色」が人口に膾炙しているとは言えません。フォルテピアノのための新作をお願いした作曲家の方々にとっても、例えばシュタインやワルターの玲瓏たる音色は、当時のベートーヴェンと同様、「未知」のものだったようです。未知の響きであるがゆえに、ベートーヴェンはモーツァルト・ハイドン的書法と遠慮なく手を切ることが出来ました。現代作品初演の現場で、作曲家からのリクエストを実現するために、古楽奏法のあの手この手を援用したことはありましたが、意外にも、委嘱作曲家の何人かは「モダン・ピアノより初期フォルテピアノの音色のほうが好き(になった)」、と漏らしておられました。
   もっとも、フォルテピアノはそれでもモダン・ピアノと相当似通っているので、まだアプローチがしやすい方かもしれません。私の三弦の師匠は、往時に膨大な量の「12音」の曲をやらされウンザリしたそうで、「楽器のことが分かっているのは牧野由多可 と小山清茂だけだ」、と述懐なさってました(是々非々)。私の笙のお師匠さんは、某現代曲について「笙が嫌がって悲鳴をあげている」、と形容しておられました。ことほどさように、古楽器/伝統楽器の扱いは難儀です。

c0050810_3103967.jpg   フォルテピアノのための新作を書くにあたり、注目に値するアプローチを見せてくれたのが鈴木光介さんです。ベートーベンと違うタイプの曲を目指し、ある種の「箸休め的」な音楽を作るより、ベートーベンと同じベクトルで切り結ぶような関係が作れないか。自分はアカデミックな作曲法を知らない、ベートーベンのような音楽をゼロから作ることは出来ない。自分で考えるフレーズには限界がある。ということを踏まえて、なにか、自動的に不思議なフレーズを作りたい。しかも、「現代音楽っぽい」ものにしたくない。もっとポップなものにしたい。素材はいわば何でも良かったので、ベートーベンの偉業をひとまず借用することにした。今は便利な時代で、「ベートーベン ピアノソナタ MIDI」で検索すれば、MIDIデータが簡単に手に入る。それを用いて、ソナタのフレーズを自由に編集することで新たな音楽を模索してみた、・・・と。
   手法としてはコラージュあるいはカットアップと呼ばれるものですが、切り刻み方と編集手法が容赦無いため(そこにこそ独創性が現れる)、中々にユニークな結果となりました。小道を散歩してたら、いつの間にか既視感を感じつつ変な場所に出てきてしまった鬼胎。まさに現代日本文化の面目躍如です。この鈴木光介作品を練習中に、余りの複雑さに目の焦点が合わなくなり、防音スタジオの分厚い扉の取っ手で小指を押し潰しそうになりました。「ベートーヴェン以外の原料は一切使用してない」こともあり、是非、ブルージュでも活用して頂きたいところです。(H.O.)

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【次回公演予告】

2013年(平成25年)------------------
■第4回 11月4日(月・祝)19時 ソナタ第12~15番 [作品26《葬送》、27-1《幻想曲風》、27-2《月光》、28《田園》]
■第5回 12月6日(金)19時 ソナタ第16~18、21番 [作品31-1, 31-2《テンペスト》, 31-3, 53《ワルトシュタイン》]

2014年(平成26年)------------------
■第6回 1月17日(金)19時 ソナタ第22~26番 [作品54, 57《熱情》、78《テレーゼ》、79《かっこう》、81a《告別》]
■第7回 2月14日(金)19時 ソナタ第27~29番 [作品90, 101, 106《ハンマークラヴィア》]
■最終回 3月21日(金・祝)19時 ソナタ第30~32番 [作品109, 110, 111]

各回19時開演/18時30分開場
3000円(全自由席) [3公演パスポート8000円 5公演パスポート13000円]
お問合せ 合同会社opus55 http://www.opus55.jp/
Tel 03(3377)4706 (13時~19時/水木休) Fax 03 (3377)4170 (24時間受付)

【関連公演】
■2014年3月5日(水)20時 カフェ・モンタージュ(京都) 《クラヴィコードによる1780年代》
L.v.ベートーヴェン:3つの選帝侯ソナタWoO47 (1782/83)、全ての長調にわたる2つの前奏曲 Op.39(1789)
C.P.E.バッハ:幻想曲嬰ヘ短調「C.P.E. バッハの情念」H300/Wq.67 (1787)
W.A.モーツァルト:幻想曲 ニ短調 KV397(385g) (1782)、ロンド イ短調 KV511 (1787)、アダージョ ロ短調 KV540 (1788)
(以上クラヴィコード独奏)
お問い合わせ: カフェ・モンタージュ tel 075-744-1070 www.cafe-montage.com
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by ooi_piano | 2013-10-11 02:48 | Beethovenfries2013 | Comments(0)