8/25(金) ソラブジ《オープス》& 古川聖《ノベレッテ集》完演


by ooi_piano

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c0050810_227493.jpg  演奏家と現代作品の関係には、幾つか座標を設けることが出来ます。例えば、

(A)楽器は上手いが現代曲に興味が薄い ⇔ (B)楽器は下手だが現代曲を長時間我慢して練習出来る

(C)評価が確立していて既に参照録音も存在するような作品なら弾く ⇔ (D)新作初演上等、作曲家とのコラボも好き

(E)誰かに演奏法を教えてもらえるなら弾く ⇔ (F)職人は自分で道具を作って手入れするもの、練習法など自分で開発して当然

(G)汎調性、汎パルスの弾き易い曲なら弾く ⇔ (H)メロディもパルスも無いノイズ系上等

(I)歌ったりアクションしたりするなど考えられない ⇔ (J)叫ぶのも脱ぐのも大喜び


  上記で二極化した右項目に該当する演奏家は、なんだかんだで貴重な存在ですが、現代音楽演奏コンクールで優勝して日が当たるのが常に右項系とは限りません。もっとも、右項系は右項系で、バッハなど弾かせると左項系真っ青の古色蒼然たる解釈だったりしますので、情けない限り。
   聞いたことも弾いたことも無い現代作品の演奏の良し悪しを判断/審査するのは、専門家にとっても非常に困難なことです。かつてセンター試験・現代国語の5択を、「本文は一切読まずに、質問文と選択肢を見ただけで正答する」という虎之巻本を読んだことがありました。もちろん当たらぬも八卦。現代音楽ver.をいくつか。


c0050810_229425.jpg【現代音楽演奏、ならびに録音】
→判別法: 幾つかの総音列主義作品を除いて、聞きながら「譜面が追えない」(=テンポが取れない)場合、それは不正確な演奏であることが多い。ピアノ作品の場合、音が割れたのならその時点でダウト。
また、演奏時間が微妙に短過ぎる(あるいは微妙に長過ぎる)のも、現代曲の場合、聞いてみる以前に眉唾。

【ケージや武満などの図形楽譜作品】
→判別法: 演奏が面白ければ面白いほど、楽譜を無視している。

【現代超絶管楽器作品】
→判別法: 「1声部」に聞こえたのならダウト。それ以前に、演奏中に肩や足がせりあがったりしてるのはアウト。弦楽器奏者の場合は、まず演奏前に「調弦が正確に出来ているかどうか」(泣)。

【推計論的音楽】
→判別法: 第一にリズムの不規則性。かなりギクシャクしたものになる筈。「つねに弾きまくり」ではなくstop &goであるべき。
また、全音域がまんべんなく使用されているかどうか。音だけを聞いて、「拡げた5本の指と、それを動かす肘と肩」が視覚的にイメージ出来てしまえる程度ならアウト。

【現代音楽演奏コンクールの審査員】
→判別法: 公開で行われている場合、彼らが「どのタイミングでスコアをめくっているか」を観察してみましょう。ちゃんと譜面が追えている審査員が最初にめくり、残りがそれを見て慌ててめくっているケースが多い。
  なおコンクール入賞のコツは、
(i)「独奏で」 ・・・独奏か重奏かと言われれば、(iv)と関連して独奏が有利。
(ii)「暗譜で」 ・・・楽譜を見ずに弾くと、たとえ内容が滅茶苦茶だったとしても、「暗譜で弾いているくらいだから正確なんだろう」、と善男善女の審査員が思って下さる。
(iii)「敬遠されがちな弾きまくり系マイナー難曲を」 ・・・内容は充実していているが譜面が真っ黒けなので演奏される機会が少なく、それゆえ審査員が譜面を追えないような作品が吉。容易に参照録音が入手出来る曲や汎調性・汎パルスはバレるので避ける、コンクール開催地にそのスジの権威がいるのもネタがかぶるのでやめておくこと。
(iv)「猛剣幕で」 ・・・ヒステリックに弾きまくると、「ああオンガクに没入してるんだ!」、と善男善女の審査員が思って下さる。
  結論:本質的にエアギター選手権に等しい。

【前衛音楽作曲家】
→判別法: 自宅や楽屋でピアノを前にした際、スクリャービン前奏曲が煮崩れたようなスタイルで即興していたらダウト。「朴正煕が登場するオペラを作曲した白秉東は許せないが、金日成に庇護されてオペラを書いた尹伊桑はケンチャナヨ」等のダブスタも要チェック。

【自称ブーレーズor武満ファン】
→判別法: 代表作であるマルトー/構造、あるいはノヴェンバー・ステップス/遮られない休息を、3秒以上くちずさむよう御願いしてみましょう。 たいていのスノッブはこれで殲滅出来ます。
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by ooi_piano | 2006-11-20 02:02 | Comments(0)