6/4(日)バルトーク弦楽四重奏曲全6曲(ピアノ独奏版)


by ooi_piano

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感想集 http://togetter.com/li/341217

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2012年7月18日(水)20時開演 (19時半開場)
カフェ・モンタージュ[京都市中京区夷川通柳馬場北東角]
地下鉄「丸太町」夷川東出口より徒歩5分 http://www.cafe-montage.com/
¥2000(40席限定)[予約/お問い合わせ:tel 075-744-1070 montagekyoto@gmail.com]
頼田麗(ヴィオラ・ダ・ガンバ) 大井浩明(チェンバロ)

※終演後にドリンク付きレセプションあり(無料)

○マラン・マレ 《ロンドー「トロワルール」》
○J.S.バッハ  ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ第1番 ト長調 BWV1027
       Adagio - Allegro ma non tanto - Andante - Allegro moderato
○マラン・マレ 《夢見る女》
○J.S.バッハ  ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ第2番 ニ長調 BWV1028
       Adagio - Allegro - Andante - Allegro
○マラン・マレ 《人間の声》
○J.S.バッハ  ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ第3番 ト短調 BWV1029
       Vivace - Adagio - Allegro
○マラン・マレ 《スペインのフォリア》

c0050810_2027756.jpg  バッハが遺した3曲のヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタは、1720年前後のケーテン時代の作品とされている。
  バロック時代には、A.コレッリが確立した、2つの旋律楽器と通奏低音の独立した3声部による「トリオ・ソナタ形式」が主流であったが、バッハはBWV.1039とBWV.1079の2曲しかトリオ・ソナタを遺していない。このうちBWV.1039は〈2つのフルートと通奏低音のためのソナタ〉で、これが後にBWV.1027のソナタ第1番に編曲され1742年頃の自筆譜で今日に伝えられている。第1フルートをチェンバロの右手、第2フルートをガンバ、通奏低音をチェンバロの左手が受け持っており、つまりチェンバロが2つの声部を受け持つこととなり、それはトリオの原理が2つの楽器で実現されるというバッハの画期的な試みである。
  ソナタ第1番BWV.1027、ソナタ第2番1028は、緩-急-緩-急の4楽章からなる教会ソナタ形式に従っている。ソナタ第2番は弟子のCh.F.ペンツェルの筆写パート譜によって伝承されている。3楽章はロ短調のシチリアーノ、終楽章はガンバとチェンバロそれぞれに、トリオソナタの枠を超えたコンチェルトのようなソロパートがあるのが特徴。ソナタ第3番BWV.1029もCh.F.ペンツェルの筆写譜により伝承されている。コンチェルト様式を取り入れた3楽章で構成され、1楽章はブランデンブルク協奏曲を思わせるような快活なメロディーで始まり、穏やかな2楽章のあと、力強いテーマとカンタービレのテーマが美しく交差する3楽章で締めくくられる。(頼田麗)

頼田 麗 Rei YORITA (ヴィオラ・ダ・ガンバ/チェロ)
c0050810_20273446.jpg  チェロを日比野忠孝、斎藤建寛の各氏に師事。ヴィオラ・ダ・ガンバ及び室内楽を平尾雅子氏に師事。2001年ロータリー財団の国際親善奨学生としてドイツへ留学。その後スイスのルガーノ・コンセルバトーリオにてV.ギエルミ氏に師事。2002年よりバーゼル・スコラ・カントールムにてP.パンドルフォ氏のもとで研鑚を積み2006年ディプロムコンサートを行い卒業。2007年ドイツの第4回テレマンコンクールにて「ベーレンライター賞」を受賞。2008年兵庫県知事グランプリ賞を受賞。演奏活動の他に「ヴィオラ・ダ・ガンバフェスタ」や「酒蔵古楽コンサート」など古楽イベントの企画にも積極的に取り組んでいる。
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by ooi_piano | 2012-07-18 10:53 | コンサート情報 | Comments(0)
大井浩明 (ピアノ+オンド・マルトノ)
Portraits of Composers (POC)全5公演 2012年10月~2013年2月


c0050810_005748.gif[ポック#11] ラッヘンマン+ホリガー 全ピアノ作品
2012年10月4日(木)午後6時開演
有馬純寿(音響) けやきホール
●H.ラッヘンマン(1935- ):F.シューベルト(D643)の主題による5つの変奏曲(1956)、エコー・アンダンテ(1961/62)、ゆりかごの音楽(1963)、ギロ - 練習曲(1970/88)、子供の遊び(7つの小品)(1980)、セリナーデ(1997/98)
●H.ホリガー(1939- ):ソナチネ(1958)、エリス(3つの夜曲)(1961)、《こどものひかり》より「ヨーデル二重唱」「守護天使」「ブルクドルフのブギウギ」「うさぎとはりねずみ(弾き語り)」(1993-99)、パルティータ(1999)

[番外編@松濤] シュトックハウゼン歿後5周年
2012年11月3日(土)午後3時開演
 タカギクラヴィア松濤サロン(渋谷区松濤1-26-4)
●K.シュトックハウゼン(1928-2007):ピアノ独奏のための《自然の持続時間 Natürliche Dauern》(2005/06)(全24曲、約140分) 東京初演
〔連作 『音 ~ 一日の24時間 Klang, Die 24 Stunden des Tages』 より 「第3時間目」〕
曲目解説日本初演公演感想集
Morton Feldman: 《Years ago I had one of those very curious conversations you can have with Stockhausen, when he was writing all these big pieces like Gruppen and Hymnen and at that time I was writing very tenuous little piano pieces here and there. He would use that as a weapon against me. He would say to me, “Have you ever written a big piece, Morton? You must try it, it’s fascinating.” So I said, “And Karlheinz, what you have to try is to write a piano piece for one finger.” That was my revenge so to speak.》

c0050810_013362.gif[ポック#12] ジョン・ケージ生誕100周年(その1)
2012年11月15日(木)午後6時45分開演
 けやきホール
●J.ケージ(1912-1992):プリペアド・ピアノのための《34分46.776秒》(1954)(日本初演)、易の音楽(1951)(全4巻、通奏東京初演)

[ポック#13] ファーニホウ全ピアノ作品+シャリーノ・ソナタ全5曲
2012年12月12日(水)午後6時30分開演
 けやきホール
●B.ファーニホウ(1943- ):エピグラム(1966)、3つの小品(1966/67)、レンマ-イコン-エピグラム(1981)、オープス・コントラ・ナトゥラム(2000)
●S.シャリーノ(1947- ):ソナタ第1番(1976)、ソナタ第2番(1983)、ソナタ第3番(1987)、ソナタ第4番(1992)、ソナタ第5番(1994)

[ポック#14] ジョン・ケージ生誕100周年(その2)
2013年1月26日(土)午後5時開演
 けやきホール
●J.ケージ(1912-1992):南のエテュード集(1974-75) (全32曲/全4集、通奏日本初演)(約3時間30分)

c0050810_041765.gif[ポック#15] 実験工房の切り拓いたもの
2013年2月22日(金)午後6時開演
 大井浩明(ピアノ+オンド・マルトノ[*]) 河合拓始(ピアノ+トイピアノ他) 有馬純寿(電子音響) けやきホール
●佐藤慶次郎(1927-2009):ピアノのためのカリグラフィー(1957/59)、如何是第9番(1993、抜粋)[*]
●湯浅譲二(1929- ):内触覚的宇宙(1957)、オン・ザ・キーボード(1972)、夜半日頭に向かいて -世阿弥頌- ~ピアノと電子音響のための(1984)、内触覚的宇宙II -トランスフィギュレーション-(1986)
●福島和夫(1930- ):途絶えない詩 ~武満徹へ(1953)[*]、エカーグラ(1957)[*]、風の輪(1968)、水煙(1972)
●武満徹(1930-1996):遮られない休息(1952/1959)、フォー・アウェイ(1973)、閉じた眼 I ~瀧口修造の追憶に(1979)、コロナ(1962)[*]+静寂の海(1986)[同時演奏]
●鈴木博義 (1930-2006):2つのピアノ曲(1952)

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〈前売〉 学生2,000円 一般2,500円  〈当日〉 学生2,500円 一般3,000円
全5公演通し券 一般12,000円 学生10,000円 
3公演券 一般8,000円 学生6,000円

【チケット取り扱い】 ローソンチケット tel. 0570-084-003 http://l-tike.com/ Lコード:37455
*3回券/5回券はオカムラ&カンパニーでお求めいただけます。

【お問い合わせ】 (株)オカムラ&カンパニー
tel 03-6804-7490(10:00~18:00 土日祝休) fax 03-6804-7489
info[at]okamura-co.com  http://www.okamura-co.com/


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●平均律第1巻公演(4月21日)予告記事

●平均律第1巻公演(4月21日)批評 「(・・・)大井浩明は近年、十八世紀以前の楽曲では古典鍵盤楽器を用いることを旨としてきた。このたびはそこから一歩踏み出し、ピアノでバッハに取り組む。この日は《平均律クラヴィーア曲集第一巻》。 そこで展開されるのは十九世紀的なバッハ演奏のおさらいではなく、十八世紀音楽にとっては足枷である現代楽器でいかにバッハの「芯」に迫るか、という試みだ。大井にかかるとそれは単なる抽象論ではなく、徹頭徹尾、具体的な演奏法として現れてくる。(・・・)句読点一つで大井は、十八世紀と十九世紀との間に横たわる「時間の分節感覚」の違いを表現した。(・・・)このシリーズへの期待が否応なく高まる。」 (『音楽現代』2012年7月号/澤谷夏樹
リサイタル・シリーズ 《ピアノで弾くバッハ Bach, ripieno di Pianoforte》
第2回公演: 平均律クラヴィア曲集第2巻 (全24曲)


7月28日(土)午後3時開演 (午後2時半開場)
タカギクラヴィア松濤サロン(渋谷区松濤1-26-4) [JR渋谷駅より徒歩10分、京王井の頭線「神泉駅」より徒歩3分]
全自由席 4,000円
※タカギクラヴィアに直接チケットを申し込むと、隣接のカフェのドリンク券がつきます
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BWV870 ハ長調 - BWV871 ハ短調 - BWV872 嬰ハ長調 - BWV873 嬰ハ短調
BWV874 ニ長調 - BWV875 ニ短調 - BWV876 変ホ長調 - BWV877 嬰ニ短調
BWV878 ホ長調 - BWV879 ホ短調 - BWV880 ヘ長調 - BWV881 ヘ短調
(休憩)
BWV882 嬰ヘ長調 - BWV883 嬰ヘ短調 - BWV884 ト長調 - BWV885 ト短調
BWV886 変イ長調 - BWV887 嬰ト短調 - BWV888 イ長調 - BWV889 イ短調
BWV890 変ロ長調 - BWV891 変ロ短調 - BWV892 ロ長調 - BWV893 ロ短調

お問い合わせ/(株)オカムラ&カンパニー tel 03-6804-7490 (10:00~18:00 土日祝休) fax 03-6804-7489 info@okamura-co.com
http://www.okamura-co.com/concerts/2012/12-13axis.html

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J.S.バッハのクラヴィコード演奏法・教授法 [2004.06.17]
クラヴィコード公演《平均律第1巻》プログラム・ノート [2005.02.01]
クラヴィコード公演《平均律第2巻》プログラム・ノート 「平均律と吉本漫才の比較論」 [2006.08.20]
●バッハ:フーガの技法 大井浩明インタビュー(英文) [2009.03.31]
同盤:古楽専門誌《アントレ》2009年9月号での神倉健氏による批評文 [2009.12.16]

■クラヴィコードによる平均律第2巻公演の感想集(2006年)
http://bloomingsound.air-nifty.com/ongei/2006/09/20060906_c58f.html
http://suralin.blog48.fc2.com/blog-entry-77.html
http://www.oekfan.com/review/2006/0901.htm
http://baybranch.exblog.jp/3704211/
http://blog.goo.ne.jp/kananagano/e/5bdf317dd069f1f2bc8bdd2ddf69a27a
http://okaka1968.cocolog-nifty.com/1968/2006/09/post_3bd1.html
http://onkichi.exblog.jp/3735118/
http://umeokagakki.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_4a3a.html
http://blog.nsk.ne.jp/suzu/archive/month200609.html
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by ooi_piano | 2012-07-17 19:56 | POC2012 | Comments(1)

7月17日(火)公演チラシ

■7月14日(土)第2回公演(ケージ「南のエチュード」+サティ+カウエル他)感想集 http://togetter.com/li/338525
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c0050810_1185956.jpg■7月17日(火)20時開演、19時半開場 
M.フェルドマン:バニタ・マーカスのために(1985)(ピアノ独奏、約70分) M.Feldman: For Bunita Marcus

カフェ・モンタージュ [京都市中京区夷川通柳馬場北東角] 地下鉄「丸太町」夷川東出口より徒歩5分、市バス「裁判所前」より徒歩3分
¥2000 (40席限定)

予約/問い合わせ:montagekyoto@gmail.com tel 075-744-1070
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by ooi_piano | 2012-07-17 10:12 | コンサート情報 | Comments(0)
第1回公演(6月16日、ケージ「ソナタとインタリュード」+「易の音楽」)感想集 http://togetter.com/li/322182

大井浩明 《ピアノ・アンバイアスト》 第2回公演 ~ジョン・ケージ生誕100周年記念(その2)
Hiroaki OOI - “Piano Unbiased”
Commemorating the 100th Anniversary of John Cage (1912-1992)

2012年7月14日(土)18時開演
山村サロン (JR芦屋駅前)
〒659-0093 芦屋市船戸町4-1-301 (ラポルテ本館3階)
  [JR芦屋駅下車、改札を右折、直進して陸橋を渡る。その方向のままラポルテ本館に入り、エスカレーターを1階ぶんのぼった正面。所要時間2~3分]
全自由席 前売り¥2500 当日¥3000
予約/問い合わせ: 山村サロン 0797-38-2585 yamamura@y-salon.com
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J.ケージ(1912-1992):南のエテュード集 第1巻(1974-75) ~第I曲
E.サティ(1866-1925):薔薇十字教団の最も大切な思想(1891)
J.ケージ:同 ~第II曲
E.サティ:グノシェンヌ第1番(1890)
J.ケージ:同 ~第III曲
E.サティ:グノシェンヌ第3番(1890)
J.ケージ:同 ~第IV曲
E.サティ:グノシェンヌ第5番(1889)
J.ケージ:同 ~第V曲
E.サティ:犬のための無気力な本当の前奏曲(1912、全3曲)
J.ケージ:同 ~第VI曲
H.カウエル(1897-1965):マノノーンの潮流(1917)
J.ケージ:同 ~第VII曲
H.カウエル:エオリアン・ハープ(1923)
J.ケージ:同 ~第VIII曲
副島猛(1962- ):ピアノ独奏のための《ホオジロのいる風景》(2012) 委嘱新作初演

------(休憩)------
c0050810_1712597.jpg譚盾(1957- ):C-A-G-E- (1994)
J.ケージ(1912-1992):南のエテュード集 第2巻(1974-75) ~第IX曲
E.サティ:ジムノペディ第1番(1888)
J.ケージ:同 ~第X曲
E.サティ:ジムノペディ第2番(1888)
J.ケージ:同 ~第XI曲
E.サティ:ジムノペディ第3番(1888)
J.ケージ:同 ~第XII曲
E.サティ: いつも片目をあけて眠る見事に肥えた猿の王様を目覚めさせるためのファンファーレ(1921)
J.ケージ:同 ~第XIII曲
H.カウエル:ザ・バンシー(1925)
J.ケージ:同 ~第XIV曲
E.サティ:ジュ・トゥ・ヴ(1900)
J.ケージ:同 ~第XV曲
E.サティ:映画《本日休演》のための交響的間奏曲(1924)
J.ケージ:同 ~第XVI曲

副島猛: ホオジロのいる風景 Emberiza cioides in the field (2012)

c0050810_172407.gif  今日 (6/24)、京都の桂川に野鳥の調査に出かけたが、梅雨の晴れ間にホオジロはいたるところで囀っていた。ホオジロはどちらかと言うとありふれた鳥で、ベテランのバードウォッチャーたちは見向きもしない。しかし、「一筆啓上仕候」という聞きなしで知られた能天気な囀りの、微妙に変化を加えながらの執拗な繰り返しは、私を魅了し続けてきた。「カラスは黒い」や「スワンは白い」は間違っていたが、「ホオジロはミニマルミュージシャンである」は真実であり続けるのではないだろうか?

  作曲にあたって、当初はこの囀りを何度も聞き直し波形の観察もして、その模倣に努めたが、それをそのままピアノで表現するのは難しいものを感じた。この機会にと、メシアンの「鳥のカタログ」も注意深く聴いてみたが、鳥の囀りの模倣という点からすれば、あまり参考にはならなかった。それよりは、一年前に「日本応用哲学会」のシンポジウムで聴いた (怪しい学会!)、夏田氏のフルート曲「春鶯」の方がはるかに本物に迫っていた。普通のピアノでは無理なのだろう。

  そこで方向転換して、忠実な模倣ではなくて「何かホオジロ的なもの」を目指してアルゴリズムを考案することにした。ホオジロはケージに閉じ込めないで野に放ってやりたかったので、「白色光を放つ」ピッチクラスセット (フォート番号の 4-Z15 と 4-Z29) で表現された太陽と月の緩慢な運行 (金環日食付) に重ね合わせた。このようにホオジロと太陽と月が出会うことによって、おのずと音楽が組織されてゆき、曲はずいぶん「素敵な」結末へと向かう。「しかし」私はケージの精神にしたがって、それをそのまま受け入れることにした。使用したソフトウェアは Nyquist (作曲と試聴) と LilyPond (譜面作成) である。

c0050810_1733850.gif  このたび、大井氏から突然メールがあって新曲の打診があったのには、正直「本当に」驚いた。氏との縁は、学生の時に入っていた野村氏を中心とする音楽サークル「ラス (でよかったと思う、思い出すのに時間が掛かった)」絡みからではないかと思う。当時、私は彼らの不敵な活動を目のあたりにして、模範的な聴衆たらんと努めていたが、そのうち彼らの毒に当てられてしまう結果となった。今また一聴衆にすぎない私にとって、この委嘱は諸事情もあって断るしかないものだったが、「まともな曲じゃない方がいいんですけどー」という妙な説得により「どうなっても知らんぞ~」という気持ちで作り始めた。この曲もまた、前回の片岡氏の作品と同様、ささやかであれ「役に立つ音楽」になることを願っている。

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副島猛 Takeshi SOEJIMA, composer
  1962年大阪生まれ、京都在住。専門は哲学、特に言語哲学と論理教育。大阪芸術大学、関西大学、関西学院大学、京都大学、神戸大学非常勤講師。日本野鳥の会京都支部、東亜天文学会会員。作曲は我流。
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by ooi_piano | 2012-07-12 05:52 | コンサート情報 | Comments(0)
  ジョン・ケージ生誕100周年を記念するリサイタル・シリーズを、6月16日(土)から芦屋で開始しますので、ご案内申し上げます。


【6月16日(土)公演について】 (曲目詳説は6月13日(水)頃アップロード予定)

c0050810_8554918.gif  プリペアド・ピアノとは、ピアノの金属弦の間に、ボルトやナット、木、ゴムなどを挿入して、ガムラン・アンサンブルのような玄妙な音色を出す手法です。「ソナタとインタリュード」はその代表作であり、ジョン・ケージの名をアメリカ国内はもとよりヨーロッパでも広く知らしめたものです。
  通常は、音楽ホール所蔵の楽器で内部奏法・特殊奏法を行うのは、日本国内では厳禁されております(すなわち、それだけ生演奏に触れる機会が少ない)が、今回、ケージ生誕100周年ということで、山村サロン様の特別の御許可を頂き、実現の運びとなりました。言うまでもなく、ハンブルク・スタインウェイのような銘器をこそプリペアドして、初めて生まれる音色、というものが御座いますので、是非ご期待下さい。(因みに、「易の音楽」にも、幾つかの特殊奏法が突発的に現れます。)
  そもそも、プリペアド・ピアノというのは、上記の通り、弦の間に異物を挟みますので、通常の鍵盤奏法よりは音量は抑えた表現となります。この点で、サロンくらいのキャパがちょうど音色の繊細な差異を聞き取るのに適切と言えるでしょう。ジョン・ケージが「ソナタとインタリュード」の解説演奏を、メシアン・ブーレーズをはじめとするパリの音楽家たちの前で行ったのは、芸術擁護者のサロンででした。

c0050810_8564851.jpg  「易の音楽」(全4巻)は、4人のピアニストによる分担上演(1992年)以来の全曲演奏、かつ、おそらく一人のピアニストによる演奏としては日本初演になると思われます。この大作は、1951年以降の全ての前衛音楽(ブーレーズ・シュトックハウゼンを含む)に決定的な影響を与えた、ピアノ音楽史上の最重要文献の一つです。11月に東京で取り上げる予定の《34分46.776秒》(プリペアド・ピアノのための)もかなりの難曲ですが、「易の音楽」の比ではありません。

  片岡祐介氏の新作《カラス》は、この「ソナタとインタリュード」のプリパレーション状態を前提としつつ、彼独自の創意が発揮されるものです。氏とは、一昨年東京での塩見允枝子個展でパフォーマンスをお願いして以来のコラボレーションです。

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【7月14日(土)+7月17日(火)公演について】

c0050810_8573590.jpg  プラネタリウムを仰ぐかのような美しい倍音に満たされたケージの連作《南のエチュード》第1集・第2集(全16曲)に、ケージが愛好するエリック・サティ、ケージの師匠であるヘンリー・カウエル、ならびにケージを師匠と仰ぐ譚盾(タン・ドゥン)のケージ追悼作品を組み合わせました。チラシにあしらったのは、この《南のエチュード》の基となった、南天の星座図です。カウエルの有名な3作と譚盾作品は、内部奏法+特殊奏法の応酬で、いわゆる「楽しいゲンダイ曲」です。
  副島猛氏は京大哲学科出身で、1992年に山村サロンで初リサイタルを行った際に新作委嘱をさせて頂いて以来です。バード・ウォッチングが最近の趣味、とのことなので、「小鳥たちのために」書いて下さることになりました(ホオジロザメの事ではありません!)。

  ケージと並ぶアメリカ実験主義の巨匠、モートン・フェルドマンの晩年の大作《バニタ・マーカスのために》は、1時間を超えるゴブラン織りのような繊細極まる変容が宗教的な感動を呼び起こす傑作です。東洋人で現代音楽というと、武満・細川・高橋の諸氏のように「小柄」「痩躯」「寡黙」というイメージが強い、と言われがちでしたが、そのたびに、「でもフェルドマンがいるから!」と反論して参りました(フェルドマンは巨躯の肥満体)。ヒストリカル・クラヴィコードで微音の特訓はバッチリ重ねて来ましたので、このたび番外編として敢行する次第です。

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【8月25日(土)公演について】

c0050810_858447.gif  「Piano Unbiased」の命名は、もちろんケージの作風を前提としておりますが、たとえばこの第3回公演では、北も南も同時に取り上げる、ということで、昨年末の東京公演に引き続き、「有り得ない」構成となっております。
  シャリーノのピアノ・ソナタ全5曲中でも饒舌さで知られる第2番・第3番、同じくファーニホウの最も真っ黒な譜面《レンマ・イコン・エピグラム》、それに勝るとも劣らない情熱的な尹伊桑・姜碩煕・陳銀淑の代表作を対比させてみました。
  横島浩氏の作品を演奏させて頂くのは、今回が初めてです。これで、個人委嘱的にも、テンプス・ノヴム(作曲家グループ)は同人全員制覇ということになります。プログラミング上の括りとしては、陳銀淑と同様に1961年のお生まれ、という格好です。新作は「パレストリーナのトータル・セリー風」との事ですが、横島さん御自身がピアノの名手でもいらっしゃるので、譜面が届くのが今から戦々恐々です。


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c0050810_8584729.gif  先月、京都御苑のすぐ南(裁判所の裏手)にオープンしたばかりの「カフェ・モンタージュ」(夷川通柳馬場北東角)では、以下の公演も予定しています。全て¥2000(40席限定)です。[予約/お問い合わせ:tel 075-744-1070 montagekyoto@gmail.com]

 ■6/20(水)20時 F.クープラン:王宮のコンセール(全曲) [w/坂本卓也(バロック・ヴァイオリン)] http://ooipiano.exblog.jp/17938426/
 ■7/17(火)20時 M.フェルドマン:バニタ・マーカスのために(ピアノ独奏、約70分)
 ■7/18(水)20時 J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ(全曲) BWV1027~1029、M.マレ:《人間の声》《夢見る女》《ロンドー》《スペインのフォリア》 [w/頼田麗(ヴィオラ・ダ・ガンバ)]
 ■8/29(水)20時 F.ショパン:3つのノクターンOp.9 (1831)、3つのノクターンOp.15 (1832)、2つのノクターンOp.27 (1835)、2つのノクターンOp.48 (1841)、2つのノクターンOp.62 (1846) [ポーランド・ナショナル・エディション最新版(2010年)使用]、J.J.フローベルガー:《ローマ王フェルディナンド4世陛下の崩御を悼む哀歌》、《憂鬱をやり過ごすためにロンドンで書かれた嘆き歌》、《来たるべき我が死を弔う黙祷》、《ブランシュロシュ君の墓前に捧げる誄詞》、《神聖ローマ皇帝フェルディナント3世陛下の痛切なる死に寄せる追悼曲》 (ピアノ独奏)
 ■8/31(金)20時 G.マーラー:交響曲第7番ホ短調《夜の歌 Lied der Nacht》(1905) (全5楽章/A.カゼッラによる4手連弾版、日本初演) [w/法貴彩子(pf)] (1905年製NYスタインウェイ使用)

  「カフェ・モンタージュ」は、ヴィンテージのスタインウェイとチェンバロを備えた、劇場型カフェです。ピアノが併設されているクラシック系カフェ、ということでは、京都では20年前に堀川丸太町に存在した喫茶「ハイドン」以来では無いでしょうか。
  オープニング・シリーズの一環で幾つか公演を製作させて頂くにあたり、夏の夜の御所界隈に立ち込める、高雅かつ神秘的な雰囲気に沿った選曲をしてみました。バロック・ヴァイオリンの坂本卓也さんクープラン「王宮のコンセール」集)、ヴィオラ・ダ・ガンバの頼田麗さん(バッハ「ガンバ・ソナタ」集+マラン・マレ)はかねてよりの友人で、多方面で活躍なさっておられます。私はチェンバロで通奏低音を担当します。
  8月29日公演では、ショパンの夜想曲(ノクターン)約20曲のうち、主要12曲を取り上げます。さまざまなフィグーラに満ちたショパンの流麗な譜面は、いわゆる「古楽奏法」(音楽修辞学と当時の演奏慣習に基づく解釈)を適用してみるには、格好の実験台と言えるでしょう。今回は、ポーランド・ナショナル・エディション最新版(2010年)を使用致します。
  8月31日のマーラー=カゼッラ編:交響曲第7番《夜の歌》(4手連弾版、日本初演)で共演して頂くパブロ・エスカンデ氏は、アルゼンチン生まれの作曲家/ピアニストでありながら、古楽/チェンバロもアムステルダムで学ばれた方で、このところ京都も拠点の一つとなさってます。舘野泉氏がCD録音のほかに頻繁に公演でも作品を取り上げておられ、年末の東京文化会館でのリサイタルでは、塩見允枝子氏への委嘱新作(朗読:柴田暦氏)初演とともに、エスカンデ氏の連作が演奏されるようです。[エスカンデ氏の御事情により御出演キャンセルとなりました]では、京都出身でパリで学ばれた注目の若手、法貴彩子さんと共演致します。使用楽器は、「夜の歌」と同年(1905年)に製作されたNYスタインウェイです

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  7/17(火)に、神戸大学発達科学部(鶴甲キャンパス)でレクチャーを致します。13時20分~16時40分(2コマ) 「楽譜に書かれていること/書かれていないこと ~バッハ《平均律》からジョン・ケージまで」 外部者聴講可(無料)。 問い合わせ/田村研究室 http://www.edu.kobe-u.ac.jp/hudev-bunsay/
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by ooi_piano | 2012-07-05 14:20 | コンサート情報 | Comments(0)