Blog | Hiroaki Ooi


8/25(金) ソラブジ《オープス》& 古川聖《ノベレッテ集》完演
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2/26(水)+3/2(日) ピアノによるマーラー交響曲集 Mahlers Sinfonien am Klavier vorgetragen

感想集まとめ http://togetter.com/li/642971
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2月26日(水)20時開演(19時半開場)
京都・カフェモンタージュ (地下鉄「丸太町」駅徒歩5分)
〒604-0973 京都府京都市中京区5-239-1 http://www.cafe-montage.com/
全自由席 ¥2000
予約/問い合わせ: カフェモンタージュ 075-744-1070 montagekyoto@gmail.com 

大井浩明(ピアノ独奏)

■マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調 (1902)
[オットー・ジンガー(1863-1931)によるピアノ独奏版] (日本初演)
第1楽章 Trauermarsch. In gemessenem Schritt. Streng. Wie ein Kondukt
第2楽章 Stürmisch bewegt, mit grösster Vehemenz
第3楽章 Scherzo. Kräftig, nicht zu schnell
第4楽章 Adagietto. Sehr langsam
第5楽章 Rondo-Finale. Allegro - Allegro giocoso. Frisch

■杉山洋一:《間奏曲第VIII番「スーパー・アダージェット」》
  ~マーラー交響曲第5番第4楽章に基づく (2013、日本初演)


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3月2日(日)15時開演(14時半開場)
山村サロン (JR芦屋駅前・ラポルテ本館3階)
〒659-0093 芦屋市船戸町4-1-301 http://www.y-salon.com/
全自由席 当日¥3000 (前売り¥2500)
予約/問い合わせ: 山村サロン 0797-38-2585 yamamura@y-salon.com

大井浩明+法貴彩子(ピアノ連弾)

■マーラー:交響曲第4番ト長調 (1900/01)

[ヨゼフ・フェナンティウス・フォン・ヴェス(1863-1943)によるピアノ連弾版] (日本初演)
第1楽章 Bedächtig, nicht eilen
第2楽章 In gemächlicher Bewegung, ohne Hast
第3楽章 Ruhevoll, poco adagio
第4楽章 Wir geniessen die Himmlischen Freuden. Sehr behaglich

c0050810_4433697.gif■マーラー:交響曲第6番イ短調 《悲劇的》 (1903/04)
[アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー(1871-1942)によるピアノ連弾版] (日本初演)
第1楽章 Allegro energico, ma non troppo. Heftig, aber markig
第2楽章 Andante moderato
第3楽章 Scherzo: Wuchtig
第4楽章 Finale: Sostenuto - Allegro moderato - Allegro energico
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by ooi_piano | 2014-02-25 04:11 | コンサート情報 | Comments(0)

2/23(日) ウェーベルン全歌曲+《パッサカリア》ピアノ独奏版初演

■2014年2月23日(日)15時
カフェ・モンタージュ(京都) http://www.cafe-montage.com/ (地下鉄「丸太町」徒歩5分)
〔お問い合わせ〕 カフェ・モンタージュ 075-744-1070 montagekyoto[at]gmail.com 
〔予約フォーム〕 http://www.cafe-montage.com/mail/mail.html
入場料:2000円(全自由席) ※各公演終了後にワイン付レセプションあり(無料)
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森川栄子(ソプラノ) + 大井浩明(ピアノ)

◆《3つの詩》 (1899/1902)
  1.早春(F.アヴェナリウス)  2.花嫁の夜の祈り(R.デーメル) 3.敬虔(G.ファルケ)

◆《花の挨拶》(J.W.ゲーテ) (1903)

◆《愛の歌》(H.ベーム) (1904)

◆《愛のイメージ》(M.グライフ) (1904)

◆《アヴェナリウスの詩による3つの歌曲》(F.アヴェナリウス) (1903/04)
  1.発見 2.祈り 3.友

◆《デーメルの詩による5つの歌曲》(R.デーメル) (1906/08)
  1.理想の風景 2.岸辺にて 3.昇天 4.夜ごとの怖れ 5.明るい夜

――――――
◇杉山洋一:《間奏曲第IX番「スーパー・パッサカリア」》 ~ウェーベルン:管弦楽のための「パッサカリア」作品1に基づく (1908/2013、世界初演)

◆《ゲオルゲの「第七の輪」による5つの歌曲 作品3》(S.ゲオルゲ) (1907/08)
  1.これはあなたのためだけの歌 2.風のそよぎの中で 3.小川のほとりで 4.朝露のなかを 5.裸木が冬の靄の中で

◆《ゲオルゲの詩による5つの歌曲 作品4》(S.ゲオルゲ) (1908/09)
  1.序詞 - 形を持つものの世界よ 2.誠の心に強いられて 3.そう、祝福と感謝の言葉を 4.こんなにも悲しいので 5.あなた方は炉に歩み寄った

◆《4つの歌 作品12》 (1915/17)
  1.日は去りて(民謡詞) 2.神秘の笛(李白/H.ベートゲ訳) 3.太陽が見えたとき(A.ストリンドベリ) 4.似たものどうし(J.W.ゲーテ)

――――――
◇《ピアノのための変奏曲 作品27》 (1936)
  1.非常に中庸に 2.非常に早く 3.静かに流れるように

◆《ヨーネの「道なき道」による3つの歌 作品23》(H.ヨーネ) (1934)
  1.暗き心 2.天の高みより清涼さが 3.我が主イエスよ

◆《ヨーネの詩による3つの歌曲 作品25》(H.ヨーネ) (1934/35)
  1.何と喜ばしいことか! 2.心の深紅の鳥は 3.星たちよ、夜の銀色の蜂たちよ


森川栄子  Eiko Morikawa, soprano
c0050810_0393654.jpg  北海道教育大学札幌分校特音課程および東京藝術大学声楽科卒業、同大学院修了。DAAD奨学金を得て93年よりベルリン芸術大学に留学、現代声楽曲をアリベルト・ライマン、声楽をエルンスト・G・シュラムの各氏に師事。94年ダルムシュタット現代音楽講習にてクラーニヒシュタイン音楽賞。96年ガウデアムス現代音楽コンクール総合第2位、第65回日本音楽コンクール第1位および増沢賞。ミュンヒェン・ビエンナーレ(細川俊夫『リアの物語』ほか)、ザルツブルク音楽祭(ラッヘンマン『マッチ売りの少女』)、ベルリン・コーミッシェオーパー(リゲティ『ル・グラン・マカーブル』)出演など、数多くの新作世界初演を含む現代声楽作品・オペラを中心に主に欧州にて活躍。国内では2005年に新国立劇場委嘱新作(久保摩耶子『おさん』)、2007年東京交響楽団定期演奏会(ヘンツェ『ルプパ』)、2009年東京室内歌劇場公演(リゲティ『ル・グラン・マカーブル』、ヒンデミート『往きと復り』)、2010年東京室内歌劇場公演(青島広志『火の鳥』)などに出演。2008年秋に帰国し、愛知県立芸術大学准教授、お茶の水女子大学非常勤講師として教鞭をとると同時に活発な演奏活動を展開している。2011年にはベルリン芸術大学教授で現代音楽の共演ピアニストとして第一人者であるアクセル・バウニ氏を招聘し、東京・オペラシティおよび名古屋・電気文化会館にてリサイタルを開催した。

杉山洋一 Yoichi SUGIYAMA, compositore
c0050810_2247263.jpg  1969年東京生まれ。作曲を三善晃、F・ドナトーニ、S・ゴルリに、指揮をE・ポマリコ、岡部守弘の各氏に師事。指揮者として、東京都交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京シンフォニエッタ、いずみシンフォニエッタ、東京混声合唱団など国内の活動のほか、アレーナ・ディ・ヴェローナ、レッジョ・エミリア・カヴァレリッツァ劇場での新作オペラ初演、ボローニャ・テアトロコムナーレ交響楽団、ポメリッジ・ムジカーリ管、フリウリ・ヴェネチア・ジュリア響、ジュネーブ室内管、アンサンブルモデルン、クランクフォールム、ニーウアンサンブル、コントルシャン、リミックスアンサンブル、コレギウム・ノーヴム、ノイエムジーク・ベルリンなど各地で活躍。作品はミラノ・ムジカ音楽祭、ヴェネチア・ビエンナーレより新作委嘱を受け、ザグレブ・ビエンナーレ、ティロル音楽祭、アンジェリカ音楽祭、東京の夏、武生音楽祭など各地で演奏される。ミラノ市立音楽院にて教鞭をとる。

  多数のピアノ曲があるシェーンベルクと違い、ウェーベルンの作風の変遷についてはよく承知をしておりませんでしたが、今回リハーサルを重ねてみて、この一連の歌曲集というのは、実に興味深いドキュメントになっていると思いました。
  特に面白いのは、完全に後期ロマン派の調性音楽の枠で書かれた最初期の習作から、デーメル歌曲集(1906-)を経てゲオルゲ歌曲集(1907-)の無調へ踏み出すプロセスです。映画「エイリアン」で、宇宙飛行士の腹を食い破って怪物が出現する瞬間を目撃する感じ。なぜブーレーズやシュトックハウゼンら戦後前衛のモデルに、シェーンベルクではなくウェーベルンが選ばれたか、にも得心が行きます。

  ウェーベルンの《管弦楽のためのパッサカリア》は、完璧主義者の彼が満を持して「作品1」とした力作で、全作品で最も演奏頻度の高い曲です。確か1910年当時、2台8手の編曲を私的音楽協会で演奏した記録があった筈ですが、どこのアーカイヴにも所蔵されておらず、そもそもピアノのための編曲が存在しておりませんでした。今年は武満賞・芥川賞のオーケストラ本選(新日本フィル・東京フィル)を指揮する作曲家の杉山洋一氏に、あらたに書き下ろして頂きました。これから貴重なレパートリーとして、世界各地で再演されてゆくことでしょう。

  近現代作品で一線の活躍を続けられる森川栄子女史とは、10年ぶりの共演となります。ウェーベルンの歌曲は、音域がかなり低かったり高かったり大変なようです。随分前に一度ウィーンで演奏なさったとの由。

  というわけで、「ゲンダイオンガクって何が面白いのか分からない」という古楽・クラシックファンの方々や、「どうやって自分の個性を見つけたらいいか分からない」という作曲家学生の方々に、是非お薦めのプログラムです。
  世紀末ウィーン、1905年製スタインウェイ使用、オリジナルの歌曲に加えて杉山洋一の新編曲をモンタージュ、ということで、これほどCafe Montageにぴったりな選曲も無いと思います(むしろ勿体無いくらい)。


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《4つの歌 作品12》第2曲「神秘の笛」
原詩:李白(701~762)

春夜洛城聞笛
誰家玉笛暗飛聲
散入春風滿洛城
此夜曲中聞折柳
何人不起故園情

春夜 洛城に笛を聞く
誰が家の玉笛ぞ 暗に聲を飛ばす
散じて春風に入って 洛城に 滿つ
此の夜 曲中 折柳を 聞く
何人か起こさざらん 故園の情

いったい誰だろう、暗闇の中を笛の音が響いてくる。
笛の音は春風の中に乱れ入り、洛陽の町中に広がる。
この夜、曲の中に「折柳」の調べを聴いた。
これを聴いて故郷を偲ばない者があろうか。

 〈・・・この詩の面白さは、初めから視覚を捨てているところにある。聴覚以外の一切の感覚を排して、ただひたすら耳を研ぎ澄まして得た事象から、客地にいる自身の心中に湧き上がる故郷への思いを詠っている。・・・〉
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by ooi_piano | 2014-02-18 00:28 | コンサート情報 | Comments(0)

2/16(日) モーツァルト連弾ソナタ集 (w/上尾直毅)

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2014年2月16日(日)15時
トリアギャラリー(杉並区西荻北5-8-5)JR西荻窪駅下車徒歩8分
http://www.toriagallery.com/ JR西荻窪駅北口正面のジェイコムショップとカラオケ館の間の道をまっすぐ進み、善福寺川を渡ったら、150歩ほど。黄色い看板が目印です。

WINDS CAFE 206 【UEO×OOI モーツァルトの四手ソナタ】
上尾直毅+大井浩明(クラヴィコード連弾) http://www.st.rim.or.jp/~mal/Cafe/

W.A.モーツァルト(1756-1791):
●4手のためのピアノ・ソナタ ハ長調 K. 19d (1765) [全3楽章]
●4手のためのピアノ・ソナタ ニ長調 K. 381 (1772) [全3楽章]
●4手のためのピアノソナタ 変ロ長調 K.358 (1774) [全3楽章]
●アンダンテと5つの変奏 ト長調 K. 501 (1786)
●4手のためのピアノ・ソナタ ハ長調 K. 521 (1787) [全3楽章]

  家庭内や師弟間で愉しむためのものから、演奏会用を意識した大規模な作品まで、初期から後期に及ぶモーツァルトの4手連弾作品の粋を集めたプログラムです。通常用いられるフォルテピアノではなく、珍しいクラヴィコード連弾で演奏致します。4手連弾作品と言えば、18世紀当時の初版から新モーツァルト全集に至るまで、右頁・左頁に分かれた「パート譜」でのみ出版されて来ましたが、今回はロバート・レヴィン校閲による最新の「スコア」形態による原典版を使用します。

上尾直毅 Naoki UEO
c0050810_10502726.jpg  東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を91年に卒業。在学時ピアノを辛島輝治氏、チェンバロを山田貢、鈴木雅明、渡邊順生の各氏に師事。92年第6回古楽コンクールで「通奏低音賞」を受賞。オランダにてチェンバロをG・レオンハルト、A・アウテンボッシュ、フォルテピアノをS・ホーホランド各氏に師事しソリストディプロマを得て卒業。オランダではデン・ハーグ王立音楽院古楽器科の伴奏員、オランダ室内管弦楽団のチェンバロ奏者などを勤める。現在、日本国内を中心に鍵盤楽器奏者、および18世紀フランス宮廷バグパイプ「ミュゼット」奏者としてCD録音や数々のコンサートで活躍している。近年は特にクラヴィコードの演奏にも力を注いでいる。2010年に発売されたフォルテピアノのCD「ベートーヴェン61鍵の時代」は「レコード芸術」誌において「特選盤」「優秀録音」に選ばれた。レ・ボレアード(指揮:寺神戸亮)、オーケストラ・リベラ・クラシカ(指揮:鈴木秀美)などのオーケストラのメンバー。桐朋学園大学音楽学部講師。 http://music.geocities.jp/muzettes/indexJ.html
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by ooi_piano | 2014-02-15 02:00 | Beethovenfries2013 | Comments(0)

2/14(金)19時 フォルテピアノ×ベートーヴェン第七回公演 《ハンマークラヴィア》他

(増補)第1回~第6回公演 感想まとめ等: http://togetter.com/li/568921

c0050810_10511582.gifベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲連続演奏会(全8回)
~様式別・時代順のフォルテピアノ(古楽器)による~


淀橋教会・小原記念チャペル(東京都新宿区百人町1-17-8)
JR総武線・大久保駅「北口」下車徒歩1分、JR山手線・新大久保駅下車徒歩3分
3000円(全自由席) [3公演パスポート8000円]

【お問合せ】 合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 (13時~19時/水木休) Fax 03 (3377)4170 (24時間受付) http://www.opus55.jp/

第七回公演
2014年2月14日(金)19時/淀橋教会・小原記念チャペル

使用楽器 
1802年ブロードウッド 68鍵 イギリス式シングルエスケープメントアクション
[1/6ヴァロッティ不等分律]  調律 深町研太
《演奏曲目》

■ソナタ第27番ホ短調Op.90(1814)
 第1楽章 Mit Lebhaftigkeit und durchaus mit Empfindung und Ausdruck
 第2楽章 Nicht zu geschwind und sehr singbar vorgetragen

■ソナタ第28番イ長調Op.101(1816)
 第1楽章 Etwas lebhaft und mit der innigsten Empfindung / Allegretto, ma non troppo
 第2楽章 Lebhaft, Marschmäßig / Vivace alla Marcia
 第3楽章 Langsam und sehnsuchtvoll / Adagio, ma no troppo, con affetto
 第4楽章 Zeitmaß des ersten Stückes / Tempo del primo pezzo: tutto il Cembalo ma piano
- Geschwinde, doch nicht zu sehr, und mit Entschlossenheit / Allegro

【休憩10分】

■第29番変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィーア(Hammerklavier)」
(1817/18、ロンドン初版に基づく)
 第1楽章 Allegro
 第2楽章 Adagio sostenuto / Appassionato e con molto sentimento
 第3楽章 Scherzo: Assai vivace - Presto - Prestissimo - Tempo I
 第4楽章 Introduzione: Largo - Un poco più vivace - Tempo I - Allegro - Tempo I - Prestissimo
- Allegro risoluto: Fuga a tre voci, con alcune licenze



c0050810_1034068.jpg〈ハンマー=クラヴィアのための大ソナタ、
皇室の、王室の、閣下、猊下、
限りなく光輝あり、高尊なる
ルドルフ・フォン・エスターライヒ大公閣下様、
枢機卿、オルミュッツ大司教、等々であらせられまするに、
深甚の畏敬をもって献呈、
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
作品106〉




英国系フォルテピアノのすすめ ――― 明石拓爾

c0050810_10525624.png   フォルテピアノ製作において歴史的にイギリス系とウィーン系の二大勢力が拮抗していたことは広く知られている。
   しかし現在演奏に使用されている楽器は、古典派に限ればおそらく九割以上が南ドイツ・ウィーン系のウィーン・アクションを持つ楽器と思われる。それはフォルテピアノの古典派演奏が、ウィーンの三巨匠(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン)への興味から扱われていた事情によるもので、演奏される曲目ももっぱら3巨匠の作品に限られている。すなわちこの分野では、いまだ19世紀以来の強力なキャノニズムの流れの中にあり、私たちは古典派期ピアノ音楽の魅力を充分享受できていないのではないだろうか。

   三巨匠とイギリス系ピアノとのかかわりについてはよく知られている。ハイドンは英国滞在中にロングマン&ブロドリップのピアノを購入している。3曲の「ロンドンソナタ」は英国ピアノを念頭に置いて書かれたと考えられている。ベートーヴェンはエラールとブロードウッドのピアノを所有したが、それは彼のインスピレーションの源となった。モーツァルトと英国ピアノとのかかわりははっきりしないが、ロンドンを訪れた幼児期やフランス滞在の際、英国製スクエアピアノに出会った可能性が指摘されている。
  しかしウィーン三巨匠のせまい窓から覗き見たのみでは、英国ピアノが二大勢力の一方だったと言われてもピンと来るはずもない。英国ピアノとはいったいどのような楽器で、どこの誰が弾いていたのだろうか。

c0050810_10534927.gif  18世紀の英国は音楽史の教科書でも触れられることが少ない「暗黒地帯」といえるが、実際は18世紀を通じて常にホットで独特な音楽環境が存在していた。いち早く市民革命を経験し、社会の安定と経済の活況で力をつけた富裕中産階級はこぞって「良い趣味」の音楽を求めた。公開演奏会が成立するとともに、熱心な音楽ファンは当然自らも演奏した。その富に引き寄せられるようにヨーロッパ中から集まった優秀な音楽家たちが旺盛な音楽活動を支え、楽器製作者もまた腕を振るったのである。
  英国式ピアノは、こうした18世紀後半の英国の豊かな音楽環境の中で生まれ育った楽器であった。

  英国式ピアノの特徴については、今日までウィーン式との対比で様々なことが言われてきた。音はサステインが長く、高音が豊かである。タッチが深く重い。ダンパーの効きが弱い。音量はあるが表情の豊かさに劣る、云々。多くは同時代の評判(フンメル、モシェレスなど)に基づくものだが、現代においては実際の楽器に触れたり、演奏を聴く機会はウィーン式に比べ極端に少ない。今までのところむしろ楽器学や楽器製作者の関心が先行している感があり、先入観によらない認識や評価はまだこれからと言えよう。

  今後J.C.バッハ、クレメンティ、J.L.ドゥセックといったビッグネームの作品が日常的にフォルテピアノ演奏会のプログラムに載るようになる日はそう遠くないだろう。またピアノ協奏曲、伴奏付きソナタといった魅力的な分野の発掘が進むことも期待される。18世紀のピアノ音楽文化全体の再評価に伴い、英国ピアノの魅力も再発見されていくに違いない。


【次回公演】
c0050810_10554151.jpg■最終回 2014年3月21日(金・祝)19時(18時半開場) 3000円(全自由席) 淀橋教会
ベートーヴェン:ソナタ第30番ホ長調Op.109 (1820) [全3楽章]、ソナタ第31番変イ長調Op.110 (1821/22) [全3楽章]、ソナタ第32番ハ短調Op.111 (1821/22) [全2楽章]
お問合せ/合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 http://www.opus55.jp/
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by ooi_piano | 2014-02-12 10:37 | Beethovenfries2013 | Comments(0)

シュトックハウゼン:《ルシファーの夢》のロケット製作法

昨年8月のシュトックハウゼン:クラヴィア曲 第XIII 《ルシファーの夢》演奏時に使用した楽譜指定のロケットについて、製作者の田中裕行氏(大阪大学産業科学研究所)にアウトラインをまとめて頂きました。

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■演奏者のスイッチ操作に応じてロケットを爆発音と共に発射させるために必要なパーツ・機構は下記のとおり。
 ・ロケット
 ・発射のために必要な推進力発生機構(初速の調整ができることが望ましい)
 ・発射の方位と仰角を決めるランチャー(発射台)
 ・発音体及び発射動作との同期機構
 ・発射動作の遠隔操作機構

■リスク
  推進力に火薬や圧縮ガスを用いたり、ロケットやランチャーの材質に金属類を用いることは避けるべき。
  観客からのクレームや訴訟を避けるため、飛翔するロケットの材質は軟らかく軽いものとすべき。
  飛翔速度が十分に減速しない段階で観客に到達するいわゆる直撃を避けるため、ロケットの設計と弾道の設定に十分気をつけるべき。

■ロケット
  ロケットの材質は軽くて軟らかい必要があるので、発泡スチロールを選択した。ロケットの先端はロケットらしい流線型状にカッターで削った。楽天で直径30mm、長さ200mmの発泡スチロールを購入した。この程度の大きさと質量では、ピンポン球やバトミントンのシャトルコックのように初速が数百km/時であっても急速に減速し落下することが予想される。ロケット本体には推進力発生機構を設けていないので、ランチャーで得た初速が全てになるため、飛翔距離を伸ばすためには空気抵抗を減らす機構、つまり姿勢制御のための尾翼が必要になる。なお、尾翼のない鉛筆のような形状のまま発砲スチロールを発射すると、通常数m程度飛翔したところで木の葉のように姿勢が不安定になり急激に失速し落下してしまうようだ。さらに言えば、表面積(~断面積)/質量が小さくなれば飛翔距離が伸びるので、一般的により大きなロケットがより遠くに飛翔すると期待される。実際、前回のフェニックソホールでは、直径100mm、長さ500mmの円柱形発泡スチロールを使用した結果、ロケットがホールの天井に到達するのではないかというほど高く飛翔したり、2階席の観客に命中するほどの飛翔距離を出すことができた。もし、サイズを大きくせずに大きな飛翔距離を得たい場合は、ロケット母体の発泡スチロールのなかに適当な錘を仕込んでおくか、より重い材質で母体を作成し、安全のために先端の弾頭部分や表面を軟らかい材質で覆うのも有効であろう。

■推進力発生機構
  作曲者の指示があるように、(輪)ゴムなどは、本数や長さを変更しやすいので、初速を調整するのに適している。観客に到達するときには十分に減速していることが望ましいので、推進力発生機構はランチャー側に備えるべきであろう。そのほうが機構の作成の難度が上がらないと思われる。

■ランチャー
  ランチャーは、観客に直撃することを避けるために、円筒形の筒の中で加速・発射するようなタイプにした。なおカタパルト(パチンコ、ゴム銃)のような簡便なタイプでは、発射されない、あるいは、望まない方向に発射される可能性を恐れて採用しなかった。ガラスのような材質は万が一を考えて避けるべきであろう。今回は、ロケットの円柱部分が入る内径を有するアクリルパイプを採用した。推進力発生機構を内臓させるために、そのパイプにゴムのカタパルト機構を備えた。今回は、厚みは3mm以上あれば強度的に十分と思われる。
  方位仰角は、できるだけ簡便にしたかったので、長方形のアクリル板の一箇所にパイプが引っかかりやすいように円形の窪み加工を施し透明のメンディングテープでパイプと固定した。ステージの床にも透明の養生テープで固定した。つまり、板とパイプの交差点、板と床側の接地点およびパイプの床側接地点の三箇所で固定できれば、三角形の3辺の長さが決まるので完全に固定できる。

■発音体と発射動作との同期機構
  クラッカーは、紐を引っ張ることで爆発するため、この紐をカタパルトに結びつけ、クラッカー本体をランチャーの筒の部分にメンディングテープで固定すれば確実に発音とロケットの発射の同期をとることができる。

■発射動作の遠隔操作機構
  カタパルトと動作、つまり、爆発音・ロケットの発射のトリガーの機構も、できるだけ簡便で安価にしたかったため、カタパルトのゴムを引いているテグス(材質はポリエチレン、PE、撚り合わせた紡績糸ではなく単繊維、5号、直径0.37mm、引っ張り強度は20kg以上もある)を加熱したニクロム線で切断する方式を採用した。つまり、演奏者が操作ボックス(リモートボックス、直列に1.2Vの電池を2本内臓)の押しボタンスイッチを押すとランチャー内のニクロム線に電流が流れ、直ちにニクロム線の温度が上昇し接触しているテグスを切断し、支えを失ったゴムが縮んでカタパルトが動きクラッカーの紐を引き爆発させ、さらに縮んで加速しロケットの発射に至るという仕掛けである。
  具体的には、テグスは釣具店で購入できる。ニクロム線は、ホームセンターで販売している発泡スチロールカッターのヒーター線(直径0.2mmのニクロム線)である。半田をはじくニクロム線は半田付けできないので、有効な長さが約1cm程度になるように両端を、直径2mmで長さが1cm程度の銅線でクランプし、その上から気休めに半田を盛っている。抜け止めと次のケーブルへの半田付けの準備の意味がある。遠隔操作のためのリモートボックスから繋がっている2芯ケーブル(コンセントのケーブルでもよい、ただし許容電流が3A以上が望ましい)の先端に半田付けする。つまり、ニクロム線は直接ケーブルの導線に半田付けできないので、銅線でクランプしてなんとか半田付けするということである。なお代替案としてクランプやねじ止めや、石油ストーブの着火フィラメントでもよいと思われる。


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by ooi_piano | 2014-02-06 20:52 | Stockhausenfries2013 | Comments(0)