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モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ シリーズそのⅠ

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  コンチェルト・ケルンで活躍なさっている阿部千春さん(バロック・ヴァイオリン)と、モーツァルトを共演させて頂くことになりました。 まずは22歳で書かれたパリ(マンハイム)ソナタ集全6曲を取り上げます。 有名なト長調・ホ短調ソナタのみならず、他の4曲も素晴らしくジューシーでクリーミーでクリスピーな作品群です。結果として、2週間前に寺神戸亮氏とご一緒させて頂いた際の同曲の解釈とは、テンポから装飾音の細部に至るまで、相当違ったものとなりそうです。
  梅岡楽器さん新入荷のシュタイン型フォルテピアノは、これがお披露目公演となります。ドゥルケンはパリの人、ということで・・・。

~若き天才作曲家が世に問うた「作品1」~
《モーツァルト:パリ・ソナタ集 作品1(全六曲)K.301-306》

阿部千春(クラシカル・ヴァイオリン) × 大井浩明(フォルテピアノ)

2009年7月25日(土)午後6時開演(午後5時半開場) 3,000円(全自由席)
同仁キリスト教会 [東京都文京区目白台3-10-9/地下鉄有楽町線 護国寺駅下車 (6番出口) 徒歩5分]
お問い合わせ: オフィス・アドック tel.050-5532-5562  office.adhoc★gmail.com (★を@に換えてください)


W.A.モーツァルト:クラヴィーアとヴァイオリンのためのパリ・ソナタ集 (1778)
●ト長調K.301 (293a) 全2楽章 – ●変ホ長調K.302 (293b) 全2楽章 – ●ハ長調 K.303 (293c) 全2楽章
【休憩】
●ホ短調 K.304 (300c) 全2楽章 – ●イ長調 K.305 (293d) 全2楽章 – ●ニ長調 K.306 (300l) 全3楽章


[使用楽器]◎クラシカル・ヴァイオリン:Modell " Ysaÿe" Guarneri del Gesú - Christian Sager によるコピー楽器(2003年)
◎フォルテピアノ:シュタイン・タイプ(ルイ・デュルケンモデル) Thomas & Barbara WOLFによるレプリカ [梅岡楽器提供]



1777年9月23日、モーツァルトは母とともに、1年4ヶ月にわたる就職探しの旅に出ます。これは、21歳のモーツァルトにとって人生の大きな転機となるものでした。アウグスブルクでの従姉妹マリア・アンナ・テークレ(ベーズレ)との出会い、マンハイムでのアロイジア・ウェーバーへの恋、パリでの母の死。また、アウグスブルクでは当時評価の高かったアンドレアス・シュタインのピアノフォルテに出会い、マンハイムのヨーロッパ一と名高かった宮廷オーケストラに接するなど、音楽家としても、刺激の多い旅となります。
パリでの就職活動を念頭に(パパ・レオポルドからの命令もありましたが)、モーツァルトはこの当時好まれていたこの編成でのソナタを書き始めました。これは念入りに用意され、マンハイムでKV.301 - 303, 305, パリでKV.304 とKV.306 を完成、(2つ目の)作品1として出版されます。
当時、楽譜出版業界では、貴族・宮廷からの需要とともに、台頭してきた市民階級を対象とした市場がますます伸びて、誰もが気軽に演奏に”参加”出来るような音楽が求められていました。ミュンヘンで、モーツァルトはヨゼフ・シュスターのデュオをザルツブルクの姉に送り、このようなものがもてはやされていると記しています。

この作品1は、様々な新しい試みがなされた、万華鏡のような曲集です。父レオポルド・モーツァルトのヴァイオリン教則本(1756年)にあるように、モーツァルト父子は、「伴奏」の役割を熟知していました。「勝手な」ソロとは違い、音楽全般への深い理解、作曲法の知識、スタイルの違いの認識が求められているのです。
従来の方法とは違って、ここでモーツァルトはクラヴィーアと(伴奏楽器である)ヴァイオリンを同等に扱っています。これはロマン派ヴァイオリンソナタへの重要な基盤となりました。
マンハイムで作曲された4曲(KV 301 - 303, 305 )には、マンハイム楽派/ギャラント様式の影響が色濃く、極端な強弱(アクセントや急激なクレッシェンド)による劇的効果や、ホルン的なモチーフの使用が見られます。管弦楽的なホモフォニーの技法に、対位法的な要素が編み込まれ、小編成のオーケストラといった観があります。
KV 304は彼のソナタの中でも数少ない短調の作品で、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの疾風怒濤様式やヨハン・ショーベルトの多感様式といった内面性も感じられます。KV 306は唯一の3楽章構成で、華麗な協奏様式をとり、長大なカデンツが加えられています。

阿部千春(クラシカル・ヴァイオリン)
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ シリーズそのⅠ_c0050810_10393167.jpg5歳よりヴァイオリンを始める。塩川庸子氏、尾島綾子氏、前澤均氏、金倉英男氏、村上和邦氏、菊地俊一氏に師事。 武蔵野音楽大学卒業後、ドイツ・シュトゥットガルト国立音楽大学でスザンネ・ラウテンバッハー氏に師事。
在日中より菊地俊一氏、永田仁氏を通して古楽に関心を持っており、1994年トロッシンゲン国立音楽大学古楽科に入学、バロックヴァイオリンをジョルジオ・ファヴァ氏に師事。ディプロム終了後、同大学院にてフランソワ・フェルナンデス、エンリコ・ガッティ、ジョン・ホロウェイ各氏のもとで研鑽を積む。1999年、ドイツ産業連盟・ドイツ財界文化部主催の”古楽・弦楽器コンクール”にて特別奨励賞を受賞。 2000年、大学院修了後、スコラカントルム・バジリエンスィス(バロックヴァイオリン、ヴィオラ・ダモーレ)に在籍、ケルン国立音楽大学(古楽科室内楽専攻)にて国家演奏家資格取得。
在学中より、オーケストラ/室内楽奏者、ソリストとして数多くの演奏会、CD、各地放送局の録音に参加。ドイツはもとより、ヨーロッパ各国に活動範囲を広げる。2000年秋、ミシェル・コルボ氏の来日公演にて、マタイ受難曲の第2コンサートマスターを努めコルボ氏の絶賛を受ける。以来、日本にてリサイタル活動も始める。
現在、ドイツ/ケルンに在住。コンチェルトケルンにおいて活動。ヴィオラ・ダモーレ奏者としても、テレマン・トリプルコンチェルト、ヨハネ受難曲の他、2009年にはバッハ・チェンバロコンチェルトBWV1055をヴィオラ・ダモーレのために復元し好評を得る。 同年、ケルンの古楽アンサンブル・アルテムジークケルンとのCD”ROMA”がリリースされる。
(クリックすると拡大表示されます)
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Commented by aosima0714 at 2009-06-05 10:38
訪問です。

良かったら私のブログに来てくださいね!

仲良くしてください。

これから、ちょこちょこ遊びにきます!よろしくです<m(__)m>
Commented by ooi_piano at 2009-06-05 10:45
ああそうか、更新した瞬間にexciteのブログリストに表示されるのか。まさか手動じゃないよね。
by ooi_piano | 2009-07-25 00:52 | コンサート情報 | Comments(2)

3/22(金) シューベルト:ソナタ第21番/楽興の時 + M.フィニッシー献呈作/近藤譲初演


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