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鈴木陽子作品展@10月6日京都ALTI : 曲目解説

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■《TOCCATA トッカータ》(2001)
  エコール・ノルマル音楽院の修了作品中の一曲。短い動機の操作と、トッカータの形式に基づいて作った。

■《ノマドなモナド・》(2009)  初演
   点と線の関係を音にする試み。第一楽章では、和音を縦につないだ点の集まりとみなして、和音の線の対比を作る試み。第二楽章では、一音を連打することによる点の集合により平行線を作り出し、音域を変えることによる音色の変化の試み。曲名は回文であり、特に意味を持たない。

■《春は馬車に乗って》(2010) 初演
鈴木陽子作品展@10月6日京都ALTI : 曲目解説_c0050810_521534.jpg  《ノマドなモナド・》から続く点と線へのわたしの関心は、《春は馬車に乗って》では線と面の関係となり、この曲では絵巻物の時間と空間構成を参考にして作曲した。全体は四つの楽章からなっており、それぞれ 1.吹き抜け屋台 2. 異時同図法 3. 連続式構図 4. 段落式構図 という標題が付く。『春は馬車に乗って』は横光利一の小説の題名であるが、曲想との関係はない。単にこの曲では、横光利一の名前をアルファベット表記に音程を当てはめて音列を作り作曲した。

■《SUITE 組曲》(2001)
  エコール・ノルマル音楽院の修了主作品であり、この曲はバッハのフランス組曲の形式の一部を用いて書かれた。
  《TOCCATA トッカータ》と同じく、短い動機の操作により作曲され、1. プレリュード 2. サラバンド  3. メヌエット 4. コーダ の四つの楽章からなる。

■《CINCINNATUS シンシナトゥス》(2010) 初演
  この曲は、1.プレリュード 2. ワルツ 3. フーガ 4. 無窮動 5. 牧歌 6.ロンド の六楽章からなり、既存の形式を恣意的に使用して作曲したものである。
  「シンシナトゥス」は、ウラジミール・ナボコフの小説『断頭台への招待』の主人公の名前である。「シンシナトゥス」と他の登場人物の名前から導き出された音列により作曲した。それぞれの章は、「シンシナトゥス」と他の登場人物の中の一人が組み合わされている。例えば、第5章の「牧歌」における呼びかけの言葉「セシリア」とはシンシナトゥスの母親の名前であり、ここでは名前は単に音列に変換されるだけでなく、名前そのものが発語される。この曲におけるわたしの興味は、別々の音列からなる二つの異次元の動きをどのように組み合わせるかにあった。

■《THISTLE FORM ティッスル・フォーム》(2010) 初演
鈴木陽子作品展@10月6日京都ALTI : 曲目解説_c0050810_5343975.jpg  《ティッスル・フォーム》は単純な形式で書かれている。この曲でわたしの試みたことは、はっきり区別できるセクションを連続して組み合わせてみること、セクションを円環を描くように回帰させてみること、そして開放形を作り出すことであった。
  「ティッスル・フォーム(アザミ形という意味)」とは、ナチスを逃れてドイツからイギリスに亡命した陶芸家ハンス・コパーの陶芸作品の名前である。このコパーの作品には円盤状の胴の上にラッパ状の口がついている。奇妙な造形とモノクロームな色彩は、わたしに単純な形式への示唆を与えてくれた。
by ooi_piano | 2010-09-29 05:00 | コンサート情報 | Comments(0)

3/22(日)《ロベルト・シューマンの轍》第4回公演


by ooi_piano