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[未改訂]■2005/05/11(水) オンドりゃ脂ぎったんですかー

[未改訂]■2005/05/11(水) オンドりゃ脂ぎったんですかー_c0050810_1374355.jpg昨日小さな場所で(聴衆約40人)、久しぶりにオンド・マルトノを弾いて来ました。曲目はジャック・シャルパンティエの《フランス風小協奏曲》《ラリータ》にミヨーの《組曲》と、どれもオンド用オリジナル作品です。



「どんな楽器のためにも書いてくれた」という有り難さでは、ミヨーはヒンデミットに匹敵する大作曲家でしょう。一方メシアン門下のジャック・シャルパンティエは恐らくオンド作品以外はほぼ知られていない人で、マルカントワーヌは言うに及ばずギュスターヴに較べても遜色あるのは否めません。知り合いの仏人タブラ奏者が「メシアンのデシー・ターラ理解は頓珍漢だ」と申しておりましたが(「ジャポニズムもね」)、弟子の方もタイトルがラーガ名だろうが「フランス風」だろうが似非インド音階をアッサンダン・デッサンダン・第3段で終わり、という作風。インドといえばサロッドとオンドの組み合わせは、どちらもグリッサンド系が使えるし、神秘/隠微路線に結構合いそうな気もします。

よくオンド・マルトノの奏法を説明するときに、弦楽器の右手(ボーイング)はオンドの左手(トゥッシュ/音量スイッチ)、弦楽器の左手(指板での音程)はオンドの右手(リボン奏法のリング、あるいは鍵盤)と喩えられます。発明者モーリス・マルトノがチェロ奏者であったことは広く知られていますが、彼とは恐らく無関係にジャンヌ・ロリオが後年開発した、リボン奏法での上昇下降時の手首の動きが、弦楽器のダウンボウとアップボウと不思議にも対応しているように思われます。

リボン奏法での音高下降モーションは、いわゆる上げ弓(アップ・ボウ)同様「人差し指が先導」しつつ「猫の首をつかむ」ように動きます。この場合はリングにはめた人差し指にそのまま意識を集中していれば良いわけですから、比較的容易と言えましょう。一方、リボンの上昇モーションはギクシャクしやすいので(そしてそれはトゥッシュの制御にも影響を及ぼしてしまう)、これは弦楽器の下げ弓(ダウン・ボウ=肘が体から離れていく動き)と同様に、人差し指よりもむしろ上腕に意識をおき、薬指・小指がリングを先導するように考えたほうが上手く行くでしょう。もっとも、肘が手を先導するのはチェロの左手シフト移動の原則でもあります。肘や手首の位置、あるいは脇の開き方をそれぞれの音高について体に覚えこませつつ、的確な距離・経路で移動しなければなりません。音高上昇モーションでは茶巾絞りする小指のように腕は回外気味、下降モーションでは回内気味になることでしょう。

[未改訂]■2005/05/11(水) オンドりゃ脂ぎったんですかー_c0050810_1384938.jpgミヨー《組曲》で難儀するのは、第1曲《コラール》最初の2音が、中音域の黒鍵からの狭い音程での「ダウン・ボウ」による上昇モーションのリボン奏法、という点です。ピアノ・パートに於ける四度和声はそれこそヒンデミットみたいですけど、これを深々としたタッチで演奏するのは結構大変かも。テンポは、ジャンヌの「伝統」では相当ゆっくりなようですが、4分の4拍子かつ新古典主義で書かれた作風ですので、あくまで「声で歌えるテンポ」であるべきでは、と思いました。
シャルパンティエ《ラリータ》中間部には、若き日のブーレーズが得意だったというパーカッシヴなスタッカートが現れます。ここで余韻を残すためにメタリック・スピーカーを併用するのは、武満徹《ヴァレリア》で絶妙に取り入れられているハモンド・オルガンのレスリー・スピーカーというよりは、案外カヴァイエ=コル以来許容されているパイプオルガンのスタッカート奏法あたりが出所なような気もしました。
Commented by alquimista at 2005-05-13 23:36
久々見たら字が小さいよ、大井くん。
年寄りにはしんどい。くしょう。
Commented by きのけん at 2005-05-17 17:14
おお、やってますね!
僕は、「CineKen2-FORUM」を作った時、プログなんて重ったる過ぎて、旧式接続じゃとても使い物にならんと思って、bbsでもいっとう単純なやつにしちゃったんだけど(それに目的は自分の映画日記だしね…)、これは割といいですねえ。旧式接続でもそんなに重くないし…、分量も十分確保できるみたいだし。
きのけん
by ooi_piano | 2005-05-11 22:53 | Comments(2)

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