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「ピアノで弾くバッハ」シリーズ開始

「ピアノで弾くバッハ」シリーズ開始_c0050810_17293061.jpg  4月21日(土)より、渋谷にてリサイタル・シリーズ、「ピアノで弾くバッハ Bach, ripieno di Pianoforte」を開始致しますので、御案内申し上げます。

  この10年ほど、バッハ主要鍵盤作品はピアノではなくチェンバロ・クラヴィコード・オルガンで演奏してきました。モーツァルト・ベートーヴェン・シューベルトについては各種フォルテピアノで嗜んだ結果、近現代曲以外をスタインウェイで弾きたいとは思わなくなりました。
  ところが、現代の平均的聴衆にとって、いまだにチェンバロよりピアノの音色のほうが、遥かに耳になじむようです。昨年9月に東京でクセナキス作品によるリサイタルを行った際、《ヘルマ》《エヴリアリ》で身を乗り出していた聴衆が、次の《ホアイ》(チェンバロ独奏曲)で爆睡していたと聞き、がっくり来ました。武満徹《ノヴェンバー・ステップス》にしても、尺八と琵琶の響きを、その都度オーケストラ(ripieno)が解説するような造りでなければ、欧米であれほど評価されなかったのかもしれません。

  ヒストリカルのクラヴィコードで《平均律》や《フーガの技法》を弾くのは至難ですが、しかしあくまでそれは「不可欠な努力」と言えるでしょう。他方、帯に短いのみならずタスキにも長すぎる現代のピアノでは、歴史上存在し得なかった「不必要な労苦」を強いられます。
  古楽器奏者にとっては、現代のピアノは異形の詰め物(ripieno)に他なりません。ただ、レッスンやコンクールの審査等で、この期に及んで若者たちが半世紀前のグールドやリヒテルを模倣しているのを目の当たりにし、重い腰をあげる仕儀と相成りました。

「ピアノで弾くバッハ」シリーズ開始_c0050810_17322596.jpg  シリーズ第一回は4/21(土)平均律クラヴィア曲集第1巻、第二回は7月28日(土)平均律クラヴィア曲集第2巻、どちらも午後3時開演、場所はタカギクラヴィア松濤サロン(渋谷区松濤1-26-4)です。アクセスはJR渋谷駅より徒歩10分、京王井の頭線「神泉駅」より徒歩3分です。
  こちらのサイトでクレジットカード/コンビニATM決済でご購入出来ます: http://pianoaxis1.peatix.com/

■お問い合わせ/(株)オカムラ&カンパニー tel 03-6804-7490(10:00~18:00 土日祝休) fax 03-6804-7489 info@okamura-co.com
http://www.okamura-co.com/concerts/2012/12-13axis.html

【追加公演】カールハインツ・シュトックハウゼン 自然の持続時間(全24曲、東京初演)
 日時:2012年11月3日(土)15時開演 (曲目解説日本初演公演感想集

【2013年度予定】
2013年4月20日(土) パルティータ全6曲
2013年7月27日(土) ゴルトベルク変奏曲、フランス序曲、イタリア協奏曲
2014年1月25日(土) イギリス組曲全6曲


【2014年度予定】
⑥フランス組曲全6曲
⑦4つのデュエット、インヴェンション、最愛の兄のカプリッチョ、半音階的幻想曲とフーガ他
⑧フーガの技法&音楽の捧げ物

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「ピアノで弾くバッハ」シリーズ開始_c0050810_17495762.jpg《関連リンク集》
オルガンによるファエンツァ写本/スクアルチャルーピ写本/フレスコバルディ;使徒のためのミサ+トッカータ等 [2001.11.05]
初期バロックによるチェンバロ・リサイタル 曲目解説 [2004.05.29]
フレンチ・バロックによるプログラム(船山信子氏レクチャー・コンサート)@日仏会館 [2004.03.15]
フレンチ・バロックを中心としたプログラム@金剛能楽堂 [2005.10.07]
J.S.バッハのクラヴィコード演奏法・教授法 [2004.06.17]
クラヴィコード公演《平均律第1巻》プログラム・ノート [2005.02.01]
クラヴィコード公演《平均律第2巻》プログラム・ノート 「平均律と吉本漫才の比較論」 [2006.08.20]
J.S.バッハ=E.ジョバン「新発見」調律 [2005.06.25]
●バッハ:クラヴィア練習曲集全4巻連続演奏会 (その1その2) [2009.09.11]
●J.S.バッハ《クラヴィーア練習曲集第3巻》コラール対訳  [2005.09.28]
  ――H.ゴチェフスキ氏による曲目概説 [2005.09.25]
チェンバロ公演《イギリス組曲全曲》 [2010.03.03]
チェンバロ公演《フランス組曲全曲》 [2010.03.01]
●バッハ:フーガの技法 大井浩明インタビュー(英文) [2009.03.31]
同盤:古楽専門誌《アントレ》2009年9月号での神倉健氏による批評文 [2009.12.16]


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クラヴィコードによる平均律公演の感想を書いて頂いたものがネット上に残っておりましたので、ご紹介申し上げます。

第1巻(2005年)《カツラを脱いだバッハ》
  Hiroaki OOI Clavichord-Rezital "Das Wohltemperierte Clavier - Herr Bach in seinem perückenfreien Feierabend, bei den Seinigen erst wohl temperiert."
http://okaka1968.cocolog-nifty.com/1968/2005/03/post_11.html
http://pach8.exblog.jp/2215289/
http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20050306/p1
http://homepage3.nifty.com/pan_iru/diary.html
http://www.geocities.jp/dapinhiroba/hanasi02.html
http://d.hatena.ne.jp/respice/20050306

《 バッハ作曲の平均律クラヴィア曲集第一集を、クラヴィコードで聴いた(2005年3月10日/上野・石橋メモリアルホール)。クラヴィコードの音は小さく、繊細。もともと家庭でまったりと奏でることを主目的とした楽器である。《インヴェンション》や《平均律》の多くがこの楽器を想定されて書かれたことは知られており、このコンサートも、これまであまり聴くことができなかった当時バッハ家で実際に演奏されていた響きを再現する試み、ともいえる。
 大井浩明は、巨体を揺らしながら難度の高いピアノ曲ばかり選んで弾くことで、つとに有名である。彼がピアノに向かう姿は、大柄でいかめしい奴と、猛然と闘っているよう。おかげで、コンサートというよりK-1の試合会場にいるような気分になることだってあるのだが、さすがにこの日は違った。
 彼は繊細なこの楽器を慈しむように愛撫する。この組み合わせ、野獣と幼女の趣。淫靡でさえある。ピアノのときのような「闘い」は無用だから、そのぶん彼の音楽性が如実に伝わってくる。そして、その音楽が実にいい。主体的に耳を傾けることで結実する音や音楽。喧噪さであふれるこのご時世、コンサート・ホールだけでも、こういうもので満たされていて欲しいと思う。(音楽評論家・鈴木淳史) 》


第2巻(2006年)
http://bloomingsound.air-nifty.com/ongei/2006/09/20060906_c58f.html
http://suralin.blog48.fc2.com/blog-entry-77.html
http://www.oekfan.com/review/2006/0901.htm
http://baybranch.exblog.jp/3704211/
http://blog.goo.ne.jp/kananagano/e/5bdf317dd069f1f2bc8bdd2ddf69a27a
http://okaka1968.cocolog-nifty.com/1968/2006/09/post_3bd1.html
http://onkichi.exblog.jp/3735118/
http://umeokagakki.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_4a3a.html
http://blog.nsk.ne.jp/suzu/archive/month200609.html

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  4月29日(日)午後3時半より、東京都現代美術館(地下鉄・清澄白河駅)での、塩見允枝子さんのパフォーマンスに参加致します。私は主にチェロを演奏します。こちらは入場無料です。

  塩見允枝子トーク&パフォーマンス「インターメディア/トランスメディア―多様な作品群を繋ぐ手法」 http://www.mot-art-museum.jp/blog/staff/2012/04/mot_6.html
  プログラム:《顔のための消える音楽》《バウンダリー・ミュージック》《ウォーター・ミュージック》《ディレクション・イヴェント》他

  ※一昨年11月に門前仲町で塩見作品を特集した際は、塩見「彩られた影」(ピアノ曲)からそのまま「バウンダリー・ミュージック」(パフォーマンス、影をなぞる)を続けました。昨年8月の芦屋公演では、塩見「彩られた影」→リゲティ「エテュード第3集(カノン書法による影の音楽)」、というふうに組み合わせました。リゲティは塩見「スペイシャル・ポエム」のかつての参加者でした。

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  5月22日(火)午前6時00分~6時55分 NHK-BSプレミアム『クラシック倶楽部』にて、「大井浩明 時代楽器で弾くベートーベン」が放送されます。かれこれ6回目くらいの再放映のようで、多分そろそろ打ち止めだと思います・・。 http://www.nhk.or.jp/classic/club/
by ooi_piano | 2012-04-12 17:42 | コンサート情報 | Comments(0)

3/22(金) シューベルト:ソナタ第21番/楽興の時 + M.フィニッシー献呈作/近藤譲初演


by ooi_piano