(増補)第1回~第6回公演 感想まとめ等: http://togetter.com/li/568921
ベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲連続演奏会(全8回)
~様式別・時代順のフォルテピアノ(古楽器)による~
淀橋教会・小原記念チャペル(東京都新宿区百人町1-17-8)
JR総武線・大久保駅「北口」下車徒歩1分、JR山手線・新大久保駅下車徒歩3分
3000円(全自由席) [3公演パスポート8000円]
【お問合せ】 合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 (13時~19時/水木休) Fax 03 (3377)4170 (24時間受付) http://www.opus55.jp/
ベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲連続演奏会(全8回)
~様式別・時代順のフォルテピアノ(古楽器)による~
淀橋教会・小原記念チャペル(東京都新宿区百人町1-17-8)
JR総武線・大久保駅「北口」下車徒歩1分、JR山手線・新大久保駅下車徒歩3分
3000円(全自由席) [3公演パスポート8000円]
【お問合せ】 合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 (13時~19時/水木休) Fax 03 (3377)4170 (24時間受付) http://www.opus55.jp/
第七回公演
2014年2月14日(金)19時/淀橋教会・小原記念チャペル
使用楽器
1802年ブロードウッド 68鍵 イギリス式シングルエスケープメントアクション
[1/6ヴァロッティ不等分律] 調律 深町研太
《演奏曲目》
■ソナタ第27番ホ短調Op.90(1814)
第1楽章 Mit Lebhaftigkeit und durchaus mit Empfindung und Ausdruck
第2楽章 Nicht zu geschwind und sehr singbar vorgetragen
■ソナタ第28番イ長調Op.101(1816)
第1楽章 Etwas lebhaft und mit der innigsten Empfindung / Allegretto, ma non troppo
第2楽章 Lebhaft, Marschmäßig / Vivace alla Marcia
第3楽章 Langsam und sehnsuchtvoll / Adagio, ma no troppo, con affetto
第4楽章 Zeitmaß des ersten Stückes / Tempo del primo pezzo: tutto il Cembalo ma piano
- Geschwinde, doch nicht zu sehr, und mit Entschlossenheit / Allegro
【休憩10分】
■第29番変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィーア(Hammerklavier)」
(1817/18、ロンドン初版に基づく)
第1楽章 Allegro
第2楽章 Adagio sostenuto / Appassionato e con molto sentimento
第3楽章 Scherzo: Assai vivace - Presto - Prestissimo - Tempo I
第4楽章 Introduzione: Largo - Un poco più vivace - Tempo I - Allegro - Tempo I - Prestissimo
- Allegro risoluto: Fuga a tre voci, con alcune licenze
〈ハンマー=クラヴィアのための大ソナタ、
皇室の、王室の、閣下、猊下、
限りなく光輝あり、高尊なる
ルドルフ・フォン・エスターライヒ大公閣下様、
枢機卿、オルミュッツ大司教、等々であらせられまするに、
深甚の畏敬をもって献呈、
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
作品106〉
英国系フォルテピアノのすすめ ――― 明石拓爾
フォルテピアノ製作において歴史的にイギリス系とウィーン系の二大勢力が拮抗していたことは広く知られている。
しかし現在演奏に使用されている楽器は、古典派に限ればおそらく九割以上が南ドイツ・ウィーン系のウィーン・アクションを持つ楽器と思われる。それはフォルテピアノの古典派演奏が、ウィーンの三巨匠(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン)への興味から扱われていた事情によるもので、演奏される曲目ももっぱら3巨匠の作品に限られている。すなわちこの分野では、いまだ19世紀以来の強力なキャノニズムの流れの中にあり、私たちは古典派期ピアノ音楽の魅力を充分享受できていないのではないだろうか。
三巨匠とイギリス系ピアノとのかかわりについてはよく知られている。ハイドンは英国滞在中にロングマン&ブロドリップのピアノを購入している。3曲の「ロンドンソナタ」は英国ピアノを念頭に置いて書かれたと考えられている。ベートーヴェンはエラールとブロードウッドのピアノを所有したが、それは彼のインスピレーションの源となった。モーツァルトと英国ピアノとのかかわりははっきりしないが、ロンドンを訪れた幼児期やフランス滞在の際、英国製スクエアピアノに出会った可能性が指摘されている。
しかしウィーン三巨匠のせまい窓から覗き見たのみでは、英国ピアノが二大勢力の一方だったと言われてもピンと来るはずもない。英国ピアノとはいったいどのような楽器で、どこの誰が弾いていたのだろうか。
18世紀の英国は音楽史の教科書でも触れられることが少ない「暗黒地帯」といえるが、実際は18世紀を通じて常にホットで独特な音楽環境が存在していた。いち早く市民革命を経験し、社会の安定と経済の活況で力をつけた富裕中産階級はこぞって「良い趣味」の音楽を求めた。公開演奏会が成立するとともに、熱心な音楽ファンは当然自らも演奏した。その富に引き寄せられるようにヨーロッパ中から集まった優秀な音楽家たちが旺盛な音楽活動を支え、楽器製作者もまた腕を振るったのである。
英国式ピアノは、こうした18世紀後半の英国の豊かな音楽環境の中で生まれ育った楽器であった。
英国式ピアノの特徴については、今日までウィーン式との対比で様々なことが言われてきた。音はサステインが長く、高音が豊かである。タッチが深く重い。ダンパーの効きが弱い。音量はあるが表情の豊かさに劣る、云々。多くは同時代の評判(フンメル、モシェレスなど)に基づくものだが、現代においては実際の楽器に触れたり、演奏を聴く機会はウィーン式に比べ極端に少ない。今までのところむしろ楽器学や楽器製作者の関心が先行している感があり、先入観によらない認識や評価はまだこれからと言えよう。
今後J.C.バッハ、クレメンティ、J.L.ドゥセックといったビッグネームの作品が日常的にフォルテピアノ演奏会のプログラムに載るようになる日はそう遠くないだろう。またピアノ協奏曲、伴奏付きソナタといった魅力的な分野の発掘が進むことも期待される。18世紀のピアノ音楽文化全体の再評価に伴い、英国ピアノの魅力も再発見されていくに違いない。
【次回公演】
■最終回 2014年3月21日(金・祝)19時(18時半開場) 3000円(全自由席) 淀橋教会
ベートーヴェン:ソナタ第30番ホ長調Op.109 (1820) [全3楽章]、ソナタ第31番変イ長調Op.110 (1821/22) [全3楽章]、ソナタ第32番ハ短調Op.111 (1821/22) [全2楽章]
お問合せ/合同会社opus55 Tel 03(3377)4706 http://www.opus55.jp/