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(増補) 《時を得たメシアン Meantime Messiaen》

第1回・第2回公演 感想集 http://togetter.com/li/683198

チラシ PDFファイル http://twl.sh/1nQA4or
(増補) 《時を得たメシアン Meantime Messiaen》_c0050810_14565298.jpg

[関連レクチャー@神戸大学]  「メシアン《20のまなざし》《4つのリズム・エチュード》楽曲分析と演奏法」
6月12日(木) 13:20-14:50、15:10-16:40 (2コマ) 神戸大学発達科学部(鶴甲キャンパスC棟111教室) 外部聴講問い合わせ: bunsay[at]kobe-u.ac.jp


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大井浩明リサイタル・シリーズ《時を得たメシアン Meantime Messiaen》
山村サロン(JR芦屋駅前) 全自由席 当日¥3000 (前売り¥2500、3回公演パスポート¥7000)
予約/問い合わせ: 山村サロン 0797-38-2585 yamamura@y-salon.com


第1回 2014年6月15日(日)午後6時開演(午後5半開場)
(増補) 《時を得たメシアン Meantime Messiaen》_c0050810_6321431.gif●O.メシアン(1908-1992):《幼な子イエスに注ぐ20のまなざし》(全20曲、1944)
 ――ドン・コルンバ・マルミオン、モーリス・トエスカのテクスト朗読を伴うオリジナル原案版/日本初演(朗読・山村雅治)
    I.父のまなざし II.星のまなざし III.交換 IV.聖処女のまなざし V.子にそそぐ子のまなざし VI.その方によって万物はつくられた VII.十字架のまなざし VIII.いと高きところのまなざし IX.時のまなざし X.喜びの聖霊のまなざし XI.聖処女の初聖体拝領 XII.全能のことば XIII.降誕祭 XIV.天使たちのまなざし XV.幼な子イエスの口づけ XVI.預言者、羊飼いと東方三博士のまなざし XVII.沈黙のまなざし XVIII.恐るべき塗油のまなざし XIX.眠っていてもわたしの心は目覚めています XX.愛の教会のまなざし
喜多敏博(1967- ):《クエリー・レスポンス》~ピアノとライヴエレクトロニクスのための(委嘱新作初演、2014)

【FBイベントページ】

第2回 2014年7月13日(日)午後6時開演(午後5半開場)
(増補) 《時を得たメシアン Meantime Messiaen》_c0050810_6332751.gifT.ミュライユ(1947- ):《夢によって吊るされ磨かれた片眼のように》(1967)、《河口》(1971/72)、《忘却の領土》(1977)、《別離の鐘と微笑み~O.メシアンの追憶に》(1992)、《マンドラゴラ》(1993)、《仕事と日々》(2002)
●坂本美蘭(1979- ):《魔韻》 (委嘱新作初演、2014)



第3回 2014年8月31日(日)午後5時開演(午後4半開場)
(増補) 《時を得たメシアン Meantime Messiaen》_c0050810_6344579.jpg●O.メシアン(1908-1992):《鳥のカタログ》(全13曲、1956/58)
 I.黄嘴鴉 II.西高麗鶯 III.磯鵯 IV.顔黒砂漠鶲 V.森梟 VI.森雲雀 VII.葭切 VIII.姫告天子 IX.欧羅巴鶯 X.腰白磯鵯 XI.鵟 XII.黒砂漠鶲 XIII.大杓鷸
●F.クープラン(1668-1733):《お人好しの郭公》《恋する小夜啼鳥》《おじけた紅鶸》《嘆く頬白》《勝ち誇る小夜啼鳥》(1722)、J.P.ラモー(1683-1764):《鳥の囀り》(1724)/《雌鶏》(1728)、J.J.F.ダンドリュー(1682-1738):《鳥のコンセール》(1724)、L.C.ダカン(1694-1772):《燕》《郭公》(1735)、J.デュフリ(1715-1789):《鳩》(1748)、C.ジャヌカン(1485-1558):《鳥の歌》(1529)


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(増補) 《時を得たメシアン Meantime Messiaen》_c0050810_6354262.jpg  私が20歳過ぎに京都で演奏活動を始めた当初は、現代音楽といえばまずはメシアンと武満徹でした。野村誠氏と《アーメンの幻影》や《時の終わりの四重奏》(私はチェロを担当)、ギターの金谷幸三氏とは3回にわたる武満徹作品個展などを開催したものです。1992年当時、金谷氏からは、武満の次はミュライユ個展をやろう、《忘却の領土》を是非弾いてくれ、と言われておりましたが、結局実現しないままに終わりました。

  20世紀末にメシアン・コンクールで入賞した後、21世紀に入ってからは協奏曲2曲(《異国の鳥たち》《神の臨在のための3つの小典礼》)を除いて、メシアン作品は一切弾いておりませんでした。メシアン生誕100年(2008年)の翌々年にイヴォンヌ・ロリオ夫人が逝去、さまざまな資料がパリ国立図書館へ移管され、自由に閲覧可能となったため、このところ新たな研究論文が次々に発表されています。(一方、なぜか「消滅」したらしい史料も多いとの事)。コジマ・ワーグナー、ヘレーネ・ベルクの先例を挙げるまでもなく、やっと「棺を蓋う」作業に入れる状態となったわけです。

(増補) 《時を得たメシアン Meantime Messiaen》_c0050810_636167.gif  6月公演、メシアン《幼な子イエスにそそぐ20のまなざし》では、1944年のフランス国営ラジオのクリスマス番組に於ける「朗読とピアノ」での初演、というオリジナル原案に沿って、コルンバ・マルミオンとモーリス・トエスカのテクスト朗読を挿入しながら上演致します。翻訳ならびに朗読を担当して頂くのは、詩人・作家であり()、劇団「北辰旅団」では俳優としても活躍なさっている山村雅治氏(山村サロン主宰)です。今回の朗読上演にあたっては、平野貴俊氏(パリ社会科学高等研究院)ならびにエドワード・フォーマン氏(英ブリストル大学)の多大な御協力を仰ぎました。ピアノとライヴ・エレクトロニクスのための新作をお寄せ下さる喜多敏博氏(熊本大学教授)は、京大電気工学科での私の同級生で、有馬純寿氏等とともに先端芸術音楽創作学会の運営に携わっておられる事を知り、今回の委嘱へ至りました。
  フランスの作家、モーリス・トエスカは、今年5月25日(日)に生誕100周年を迎えたばかりです。トエスカのテクスト《12のまなざし》は、60年前に限定150部で出版されたもので、今回はパリ国立図書館から何とかファクシミリを入手致しました。フランスの古書サイトでは、一冊30万円くらいで売り出されているようです。
  公演日、6月15日(日)は、復活祭56日後の「聖三位一体の主日(Fête de la Sainte Trinité)」にあたり、生涯に渡って聖三位一体教会(Église de la Sainte-Trinité de Paris)のオルガニストを務めたメシアンが、父・子・聖霊を廻る様々な瞑想を描いた大作には、誠にふさわしいと申せましょう。

  7月公演のトリスタン・ミュライユ(1947年生)は、いわゆるスペクトル楽派の代表的な作曲家であり、戦後生まれではメシアン門下の筆頭弟子と言える存在です。オンド・マルトノ作品《マッハ2.5》や《南極征服》は演奏してきましたが、ピアノ曲をまとめて取り上げるのは今回が初めてです。眩惑的な2つの傑作《忘却の領土》《仕事と日々》のほか、師メシアンへの追悼作品も取り上げます。謎のトランスジェンダー美女、坂本美蘭氏によるピアノ弾き語りのための新作は、ミュライユに勝るとも劣らぬ程に聴き手をイントキシケイトする事でしょう。

(増補) 《時を得たメシアン Meantime Messiaen》_c0050810_6363461.jpg  8月公演、メシアン《鳥のカタログ》(1956/58)は、実のところ、ブーレーズが3曲のピアノ・ソナタと《構造》第1巻を、シュトックハウゼンが最初の8つのピアノ曲を発表した後に書かれた作品であるため、演奏様式の選択には注意を要します。長大なチクルスでお客様が愛の眠りの園へ誘われる惧れがあるので、定期的にバロック音楽による鳥の目覚まし時計(Réveil des oiseaux)をあしらいました。一昨年のケージ《南のエチュード集》にサティを差し挟んだのと同様の趣向です。6月のメシアン《まなざし》がオルガニストの視点、7月のミュライユがオンディストの視点からの読み直しとするならば、8月の《鳥のカタログ》はクラヴシニストの視点からの再解釈となるでしょう。


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by ooi_piano | 2014-07-28 18:47 | Chiersance2014 | Comments(0)

Blog | Hiroaki Ooi


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