《Schubertiade von Zeit zu Zeit シューベルトの時の時》(全5回公演)
大井浩明(フォルテピアノ)
松涛サロン(東京都渋谷区松濤1-26-4)Google Map
使用楽器 ヨハン・クレーマー(Johann Krämer)製作フォルテピアノ(1825年ウィーン、80鍵、4本ペダル、430Hz) [タカギクラヴィア(株)所蔵]
4000円(全自由席) [3公演パスポート 11,000円 5公演パスポート 18,000円]
お問い合わせ poc@artandmedia.com (アートアンドメディア株式会社)
【第1回公演】 2023年11月10日(金)19時開演(18時半開場)
F.シューベルト:《クラヴィアソナタ第13番イ長調 D 664》(1819)、《幻想曲ハ長調「さすらい人」 D 760》(1822)、《クラヴィアソナタ第17番ニ長調「ガスタイナー」 D 850》(1825)
杉山洋一(1969- ):《華(はな) ~西村朗の追憶に》(2023、委嘱初演)
ブリス・ポゼ(1965- ):《フォルテピアノのための「ミニュット3/ミニュット4」》(2021/23、世界初演)
【アンコール】 F.シューベルト(F.リスト編):《魔王 D 328》(1815) /S.558-4 (1837/76)
【第2回公演】 2023年12月8日(金)19時開演(18時半開場)
F.シューベルト:《4つの即興曲 D 899》(1827)、《クラヴィアソナタ第14番イ短調 D 784》(1823)、《クラヴィアソナタ第18番ト長調「幻想曲」 D 894》 (1826)
横島浩(1961- ):《マッシュプローム Maschubroom》(2023、委嘱初演)
ブリス・ポゼ(1965- ):《フォルテピアノのための「ミニュット5/ミニュット6」》(2021/23、世界初演)
【アンコール】 F.シューベルト(S.ラフマニノフ編):歌曲集《水車小屋の娘》より「何処へ」(1823/1925) [生誕150周年]、G.リゲティ:歌曲集《笛と太鼓とフィドルで》より「懸巣」(2000) [生誕100周年]
【第3回公演】 2024年1月19日(金)19時開演(18時半開場)
F.シューベルト:《4つの即興曲 D 935》(1827)、《クラヴィアソナタ第15番ハ長調「レリーク」 D 840》(1825/2017) [M.フィニッシーによる補筆完成版/日本初演]、《クラヴィアソナタ第19番ハ短調 D 958》(1828)
小林純生(1982- ):《ポホヨラの火の娘たち Pohjola's Daughters of Fire》(2023、世界初演)
【アンコール】 F.シューベルト(F.リスト編):歌曲集《冬の旅 D 911》(1827)より第24曲「辻音楽師」+第19曲「まぼろし」 [S. 561- 8+9] (1840)
【第4回公演】 2024年2月16日(金)19時開演(18時半開場)
F.シューベルト:《3つのクラヴィア曲 D 946》(1828)、《クラヴィアソナタ第16番イ短調(「大ソナタ第1番」)D 845》(1825)、《クラヴィアソナタ第20番イ長調 D 959》(1828)、《クラヴィアソナタ第8番嬰へ短調 D 571》(1817/1997) [R.レヴィンによる補筆完成版/日本初演]
南聡(1955- ):《帽子なしで: a Capo Scoperto Op.63-4》(2023、世界初演)
【アンコール】 F.シューベルト:ソナタ《グラン・ドゥオ D 812》第4楽章(1824) [J.F.C.ディートリヒ/L.シュタルク編独奏版]
【第5回公演】 2024年3月22日(金)19時開演(18時半開場)
F.シューベルト:《楽興の時 D 780》(1823/28)、《クラヴィアソナタ第21番変ロ長調 D 960》(1828)、M.フィニッシー(1946- ):《シューベルト:ソナタ断章 D769a の外衍》(1823/2023、世界初演)
近藤譲(1947- ):《ペルゴラ》(1994/2024、フォルテピアノ独奏版初演)
【アンコール】 シューベルト:《クラヴィアソナタ第8番嬰へ短調 D 571》 第3・第4楽章 (1817/1997) [R.レヴィンによる補筆完成版/日本初演]、杉山洋一(1969- ):《華(はな) ~西村朗の追憶に》(2023)
[使用エディション:新シューベルト全集(1984/2023)]
(左から)杉山洋一(11月公演)、ブリス・ポゼ(11月公演)、横島浩(12月公演)、
小林純生(1月公演)、南聡(2月公演)、マイケル・フィニッシー(1月/3月公演)、近藤譲(3月公演)
"Schubertiade von Zeit zu Zeit" (5 concerts)
Hiroaki OOI, fortepiano
Shōtō Salon (1-26-4, Shōtō, Sibuya-ku, Tokyo) Google Map https://shorturl.at/bgzJM
instrument: An original Hammerflügel by Johann Krämer [1825, Vienna, 80 keys, 4 pedals, 430Hz]
4,000 yen
reservation: poc@artandmedia.com (Art & Media Inc.)
Fri. 10 November 2023, 7pm start
Franz Schubert : Sonate Nr.13 A-Dur D 664 (1819), "Wanderer-Fantasie" D 760 (1822), Sonate Nr.17 D-Dur D 850 "Gasteiner" (1825)
Yoichi Sugiyama (1969- ): "Hana - in memory of Akira Nishimura" for fortepiano (2023, world premiere)
Brice Pauset (1965- ): "Minutes 3-4" for fortepiano (2021/23, world premiere)
Fri, 8 December 2023, 7pm start
Franz Schubert : 4 Impromptus D 899 (1827), Sonate Nr.14 a-moll D 784 (1823), Sonate Nr.18 G-Dur "Fantasie" (1826)
Hiroshi Yokoshima (1961- ) : "Maschubroom" for fortepiano (2023, world premiere)
Brice Pauset (1965- ): "Minutes 5-6" for fortepiano (2021/23, world premiere)
Fri, 19 January 2024, 7pm start
Franz Schubert : 4 Impromptus D 935 (1827), Sonate Nr. 15 C-Dur D840 "Die Reliquie" (1825) [+ Michael Finnissy : "Vervollständigung von Schuberts D840" (2017, Japan premiere)], Sonate Nr.19 c-moll D 958
Sumio Kobayashi (1982- ) : "Pohjolas Daughters of Fire" for fortepiano (2023, world premiere)
Fri, 16 February 2024, 7pm start
Franz Schubert : 3 Klavierstücke D 946 (1828), Sonate Nr.16 a-moll D 845 "Première Grande Sonate" (1825), Sonate Nr.20 A-Dur D 959 (1828), Sonate Nr. 8 fis-moll D 571 (1817/1997) [completed by Robert Levin, Japan premiere]
Satoshi Minami (1955- ) : "A Capo Scoperto Op. 63-4" for fortepiano (2023, world premiere)
Fri, 22 March 2024, 7pm start
Franz Schubert : Moments musicaux D 780 (1823/28), Sonate Nr.21 B-Dur D 960 (1828)
Michael Finnissy (1946- ) : "Fortsetzung von Schuberts Sonaten-Fragment D769A" (1823/2024, world premiere)
Jo Kondo (1947- ) : "Pergola" (1994/2024, fortepiano solo version, world premiere)
*This is the first attempt in Japan to cover Schubert's major piano masterpieces in five concerts on the ancient instrument (fortepiano/ Hammerflügel) of Schubert's period.
シューベルトの後期クラヴィアソナタの復権は、20世紀後半を待たねばならなかった。数百~数千席の大ホールでは、外面的・即時的な演奏効果とは縁遠い内向的なシューベルト作品に、爛熟した後期ロマン派の過剰な演出を施される事も多く見られた。
シューベルトの主要クラヴィア作品を、フォルテピアノの繊細な息遣いが聴き手にもダイレクトに届く親密なサロンの空間で、当時の演奏慣習(Historische Aufführungspraxis)に則って行われる本シリーズは、日本国内では初の試みとなり、同一会場での集中的な連続コンサートとしては欧米での先例も見当たらないと云う。
現代音楽の演奏で名高い大井浩明は、ベルン芸術大学(スイス)で名匠イェルク・エヴァルト・デーラー教授からフォルテピアノによるシューベルト演奏法の手ほどきを受けて以来、長らくこの楽器にも取り組んできた。日本モーツァルト協会例会にて寺神戸亮指揮レ・ボレアード(古楽器オーケストラ)とフォルテピアノで協奏曲(KV453)を共演、その成果により第61回文化庁芸術祭新人賞を受賞(2006)。また、ベートーヴェン:クラヴィアソナタ全32曲ならびにリスト編交響曲全9曲を、時代順様式別の9種類のフォルテピアノで弾き分けるシリーズ(全13公演)を開催、NHK-BS「クラシック倶楽部」等で紹介され、第15回日本文化藝術賞を受賞している(2008)。
近年では、1843年製プレイエルで初期ロマン派(ベルリオーズ/ショパン/シューマン/リスト/アルカン)を5回シリーズで紹介(2020)、1887年製スタインウェイで後期ロマン派(ワーグナー/フランク/ブラームス/フォーレ/レーガー)を同じく5回シリーズでを取り上げた(2021)。これらのプログラミングは、いずれも本邦初の試みであった。大井にとって長らく「伏せ札」であったシューベルトチクルスは、いわば一連のフォルテピアノシリーズの完結編にあたる。
大井は、チェンバロ・クラヴィコード・フォルテピアノ・オルガンといった古楽器のためにも、内外の作曲家に新作委嘱を続けており、この十数年で既に40曲以上に及ぶと云う。本シリーズでは、南聡、横島浩、杉山洋一、小林純生、そしてマイケル・フィニッシーが書き下ろしたフォルテピアノのための新作が、併せて世界初演される。
1825年ウィーンのヨハン・クレーマー製作によるオリジナル楽器(80鍵、4本ペダル、430Hz)の修復にあたる高木裕は、つい先ごろ(2023年2月)、「ヴィンテージピアノを極力オリジナルのままに、今なお生きた楽器として当時の音をステージから伝えている」長年の功績を称え、第33回日本製鉄音楽賞を受賞したばかりである。
シューベルトの生前、個人宅のサロンで気の置けない仲間たちが集まり音楽を楽しんだ催しは、当時「シューベルティアーデ(シューベルトの集い)」と呼ばれた。音楽構造を決定付ける音像の距離・乖離、そして「沈黙」の重みを、至近距離で聴き手がそのまま味わえる200年前のピリオド楽器(古楽器)を通じて、自身が病に斃れ貧困のうちに夭折したシューベルトの19世紀ウィーンと、コロナ禍によって多様なコミュニケーションの有りようが一変した21世紀の東京を切り結ぶ、都市の日常生活に根差した「そのときどき (von Zeit zu Zeit)」のシューベルティアーデに想いを馳せたい。(三輪与志)
大井浩明 Hiroaki OOI, fortepiano
京都市出身。スイス連邦政府給費留学生ならびに文化庁派遣芸術家在外研修員としてベルン芸術大学(スイス)に留学、ブルーノ・カニーノにピアノと室内楽を師事。同芸大大学院ピアノ科ソリストディプロマ課程修了。また、チェンバロと通奏低音をディルク・ベルナーに師事、同大学院古楽部門コンツェルトディプロマ課程も修了した。アンドラーシュ・シフ、ラーザリ・ベルマン、ロバート・レヴィン(以上ピアノ)、ルイジ・フェルディナンド・タリアヴィーニ(バロック・オルガン)、ミクローシュ・シュパーニ(クラヴィコード)等の講習会を受講。
第30回ガウデアムス国際現代音楽演奏コンクール(1996/ロッテルダム)、第1回メシアン国際ピアノコンクール(2000/パリ)に入賞。第3回朝日現代音楽賞(1993)、第11回アリオン賞奨励賞(1994)、第4回青山音楽賞(1995)、第9回村松賞(1996)、第11回出光音楽賞(2001)、第61回文化庁芸術祭新人賞(2006)、第15回日本文化藝術奨励賞(2007)、第1回一柳慧コンテンポラリー賞(2015)等を受賞。2010年からは、東京で戦後前衛ピアノ音楽を体系的に網羅する作曲家個展シリーズ「Portraits of Composers (POC)」を開始、現在までに51公演(約500曲)を数える。
近年の主な活動として、中全音律バロックオルガンによるフレスコバルディ《音楽の花束(3つのオルガン・ミサ)》(全曲による日本初演)(2015)、ヒストリカル・チェンバロによるフランソワ・クープラン連続演奏会(全27オルドゥル/220曲)(2012/18、全8回)、2段鍵盤ペダルクラヴィコードによるバッハ:トリオソナタ集 BWV525-530(全6曲)(2016)、シリーズ《ピアノで弾くバッハ Bach, ripieno di Pianoforte》(2012/15、全8回)、ピアノ独奏/重奏によるマーラー:交響曲集(全11曲)(2012/15)等。公式ブログ: http://ooipiano.exblog.jp/
高木 裕 Yu TAKAGI, piano restorer/technician
ニューヨークにてスタインウェイ&サンズ本社の研究開発コンサルタント兼調律技術統括マネージャーであったW・ガーリック氏とコンサート部チーフのフランツ・モア氏に師事。コンサート・チューナーとして、著名アーティストのコンサートや、レコーディングを数多く手掛けている。1992 年より自社所有コンサートグランドピアノをステージに持ち込むスタイルを開始。これによりピアニストと技術者が理想とするコンサートやレコーディングが可能となり、すでに全国で7000回を越える日本唯一最大のコンサート&アーティスト部に成長した。
2004 年、洋泉社より『スタインウェイ戦争』(共著)、2010 年 11 月、朝日新書より『調律師、至高の音をつくる』を出版、朝日新聞の天声人語に引用される。
2013 年、日経プレミア新書より『今のピアノでショパンは弾けない』、2019 年音楽之友社より『ホロヴィッツ・ピアノの秘密』を出版。『音楽の友』誌に 3 年にわたって連載を執筆。テレビ朝日「徹子の部屋」「題名のない音楽会」などにゲスト出演。全国で講演、レクチャーコンサートなど多数に出演。
大井浩明による古楽器委嘱作
【チェンバロ】
伊左治直《機械の島の旅(夜明け)》[harpsichord solo](2004年2月初演)
三宅榛名《Come back to music(チェンバロ版)》[harpsichord solo](2004年2月初演)
等々力政彦編《豊かな森 Bai-la Taigam》《残忍な領主 Ambïn Noyan》《子守歌 Öpei Ïrï》 [Igil, Xöömei-vo, harpsichord](2009年9月初演)
佐野敏幸《GRS(ガレサ)》[harpsichord solo](2009年9月初演)
川上統《花潜(ハナムグリ)》[harpsichord solo](2009年9月初演)
エムレ・デュンダル《S.シャルボニエール氏の墓》[harpsichord solo](2018年6月初演)
古川聖《アリアと18の変換》[harpsichord solo](2018年6月初演)
上野耕路《リベルタン組曲(全7楽章)》[harpsichord solo](2018年8月初演)
【クラヴィコード】
鈴木優人《バッハ「フーガの技法」より未完の3重フーガ補筆》[clavichord solo](2007年6月初演)
福島康晴《楽興の時 I/II/III》[clavichord solo](2014年3月初演)
【フォルテピアノ(60鍵~80鍵各種)】
林加奈《好転反応II》[fortepiano solo](2006年10月初演)
安野太郎《ダニエラ》《カナスヴィエイラス》[fortepiano solo](2008年2月初演)
小出稚子《ヒソップ》[fortepiano solo](2008年4月初演)
川上統《閻魔斑猫》[fortepiano solo](2008年4月初演)
鈴木光介《Even Be Hot(ホットこともありえます)》(全7曲)[fortepiano solo](2008年7月初演)
河村真衣《クロスローズ》[fortepiano solo](2008年7月初演)
安野太郎《帰って来ないあなた》[fortepiano + mp3](2008年7月初演)
清水一徹《老人の頭と鯨の髭のためのクオドリベット》[fortepiano solo](2008年10月初演)
鈴木純明《白蛇、境界をわたる》[fortepiano solo](2008年11月初演)
有馬純寿《琥珀のソナチネ》[fortepiano solo](2009年3月初演)
福井とも子《夜想曲》(全3曲)[fortepiano solo](2009年3月初演)
野村誠《ベルハモまつり》[fortepiano solo](2009年3月初演)
高橋裕《濫觴》[fortepiano solo](2020年10月初演)
鈴木光介《マズルカ》[fortepiano solo](2020年11月初演)
中川真《非在の声》[fortepiano solo](2020年12月初演)
アダム・コンドール《5つの超越的前奏曲集》[fortepiano solo](2021年1月初演)
クロード・レンナース《パエトーン》[fortepiano solo](2021年2月初演)
杉山洋一《華(はな) ~西村朗の追憶に》[fortepiano solo](2023年11月初演)
横島浩《マッシュプローム Maschubroom》[fortepiano solo](2023年12月初演)
小林純生《ポホヨラの火の娘たち Pohjola's Daughters of Fire》[fortepiano solo](2024年1月初演)
南聡《帽子なしで: a Capo Scoperto Op.63-4》[fortepiano solo](2024年2月初演)
マイケル・フィニッシー:《ソナタ断章 D769a》(2024年3月初演)
【オルガン】
河合拓始《オーガンザ》[organ solo](2005年6月初演)
木下博史《九重親方のイビキ》[organ solo](2005年6月初演)
久保田翠《くろきもの わが眼おほへど》[organ solo](2005年10月初演)
石川高《何処で私は道を踏みはずしたのか。何を私は行ったのか。なすべきことの何を私は成し遂げないでしまったか。》[sho + organ](2011年3月初演)
池田拓実《Pearl on Ruby》[organ + live-electronics](2011年3月初演)
有馬純寿《多色刷りの後奏曲I、II》[organ + live-electronics](2011年3月初演)
多久潤一朗《オル・ガン・バン・スリング》[microtone flute + organ](2011年3月初演)
上野耕路《パルティータ》[baroque organ](2015年3月初演)
福島康晴《モノローグ》[baroque organ](2015年3月初演)