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■金沢公演
9月1日(金)午後6時~
金沢21世紀美術館 シアター21
tel.076-220-2800
当日\1500/前売\1000 [地図]
■芦屋公演
9月3日(日)午後4時~
山村サロン(JR芦屋駅前ラポルテ本館3階)
tel.0797-38-2585
全自由席\3000 [地図]
■東京公演
9月6日(水)午後7時~
ムジカーザ(小田急線・地下鉄千代田線[代々木上原駅]東口より徒歩2分)
全自由席\3000 [地図]
[お問い合わせ] アルケミスタ tel.03-3901-1573
●あらゆる楽器の中でバッハが最も愛奏し、息子達にも手取り足取り教えたのが、このクラヴィコードでした。音色はチェンバロに似ておりますが、チェンバロでは出来ない、声楽的な強弱・ニュアンス付けが可能です。ただ、タッチのコントロールが至難であり、また音量が非常に繊細なため、もともとクラヴィコードを想定して書いた作品群は、コンサートではもっぱらチェンバロで演奏されてきました。クラヴィコードによる平均律《第2巻》の演奏は、今回が日本初です。
●1722年にひとまず決定稿がまとめられた《第1巻》と異なり、晩年十数年に少しずつヴァージョンアップしつつも最終稿はついに完成されず、いわば「ワーク・イン・プログレス」のまま作曲者が逝去してしまった《第2巻》は、演奏解釈上の大きな問題を孕んでいます。また《第2巻》では、諸プレリュードの内容と規模の増大により、全48曲で総演奏時間約2時間半余を要する長丁場となります。
●今回は、この平均律《第2巻》の異稿研究に関して世界的権威である音楽学者、富田庸氏(英国王立ベルファースト大学)より、来年(2007年春)に独ヘンレ社から刊行予定の、最新の研究成果を盛り込んだ校訂版を、日本国内限定使用の条件で特別に御提供頂きました。1996年に出版され流通しているベーレンライター社(新バッハ全集原典版)の不備を補って余りあるものです。
また、運搬・調律を担当して下さる梅岡楽器サービスの梅岡俊彦氏の御尽力により、ベルギーの名匠、ジャン・トゥルネイ製作の専有弦モデルの美しいクラヴィコード(個人蔵)を、全公演にて使用させて頂けることとなりました。
●平均律《第1巻》自筆譜表紙に描かれた渦巻き模様が、実はバッハ独自の調律法を指し示しているのでは、という議論が2005年2月にアメリカ人学者から提出され、話題を呼んでいます。これに対して実践的/理論的補強を加えた調律法が、フランス人チェンバロ製作家エミール・ジョバンによって2005年6月に発表されました。今回は日本では初めて、1/4シントニク・コンマによるこの新発見バッハ調律を披露致します。
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【お問い合わせ】金沢21世紀美術館 (076-220-2800)
【プログラムについて】
金沢市・ゲント市(ベルギー)姉妹都市提携35周年記念として同館で開催中の、ゲント(ベルギー)現代美術館コレクション展覧会に因んで、ゲント在住の作曲家ルシアン・ポスマン、金沢出身の作曲家足立智美の新作を初演します。ポスマン作品は、ムソルグスキー《展覧会の絵》に基づくパスティーシュ。 サウンド・アーティストとして国際的に活躍する足立氏の10年ぶりの「楽譜に書かれた作品」は、氏がゲント滞在中に想を得たものです。
また翌々日に同ホールで開催される、クラヴィコードによるバッハ《平均律》演奏会へのリンクとして、沈黙・静寂・死をモチーフにした現代作品を集めてみました。 世話になったシャンボニエールを悼むダングルベール、三途の川岸で石を積むコインロッカー・ベイビーを歌う三宅作品、導師ジョン・ケージの名による音列をもてあそぶ譚盾作品、と三者三様です。
プログラム最後のシュトックハウゼン新作は、昨年30年ぶりに氏が来日した際の京都滞在中(2005年7月)に書かれたもので、60年代前衛風作品群や連作オペラ《光》に比べると、あたかもケージやフェルドマンに接近するかのような興味深い作風を示しています。因みにこのピアノ連作《自然の持続時間》は、未初演のものを含めると、バッハ《平均律》と同様「24曲でひとまとまりのチクルス」を想定しているようです。
足立智美
パフォーマー/作曲家。ヴォイス、各種センサー、コンピュータ、自作楽器によるソロ演奏、音響詩、舞台音楽など幅広い領域で活動している。またインスタレーション作家、映像作家としてもキャリアがあり、非音楽家とのワークショップによる大規模なアンサンブルのプロジェクトも進めている。ヤープ・ブロンク、カール・ストーン、高橋悠治、ブッチ・モリス、大友良英らと共演、世界各地のオルタナティヴ・スペースの他、パリ・ポンピドゥーセンターやアムステルダム・STEIMなどで公演している。CDに足立智美『ときめきのゆいぶつろん』(naya records)、足立智美ロイヤル合唱団『yo』(Tzadik)などがある。
ピアノ独奏のための《ブラパンダンBrapandan》(2006)
旋律楽器(4音音階による)と打楽器(5種のクラスター)に分割されたピアノによって演奏されるモノフォニー。時間に関する全体構造は持たないが、逆行カノンが部分構造として多用される。音がならべられた線の上を行ったり来たり、ジャンプしたり立ち止まったりする仮想のダンスとして作曲されている。この作品は2006年5月末にベルギーのゲントで構想され、タイトルは作曲を開始したゲント市内の住所に由来する。
大井浩明 クラヴィコード・リサイタル
J.S.バッハ:平均律クラヴィア曲集第2巻(全曲)BWV.870~893
Hiroaki OOI Clavichord-Rezital
J.S.Bach: Das Wohltemperierte Clavier II

9月1日(金)午後6時~
金沢21世紀美術館 シアター21
tel.076-220-2800
当日\1500/前売\1000 [地図]
■芦屋公演
9月3日(日)午後4時~
山村サロン(JR芦屋駅前ラポルテ本館3階)
tel.0797-38-2585
全自由席\3000 [地図]
■東京公演
9月6日(水)午後7時~
ムジカーザ(小田急線・地下鉄千代田線[代々木上原駅]東口より徒歩2分)
全自由席\3000 [地図]
[お問い合わせ] アルケミスタ tel.03-3901-1573
バッハ作曲の平均律クラヴィア曲集第一集を、クラヴィコードで聴いた(2006年3月10日/上野・石橋メモリアルホール)(前半 後半)。クラヴィコードの音は小さく、繊細。もともと家庭でまったりと奏でることを主目的とした楽器である。《インヴェンション》や《平均律》の多くがこの楽器を想定されて書かれたことは知られており、このコンサートも、これまであまり聴くことができなかった当時バッハ家で実際に演奏されていた響きを再現する試み、ともいえる。
大井浩明は、巨体を揺らしながら難度の高いピアノ曲ばかり選んで弾くことで、つとに有名である。彼がピアノに向かう姿は、大柄でいかめしい奴と、猛然と闘っているよう。おかげで、コンサートというよりK-1の試合会場にいるような気分になることだってあるのだが、さすがにこの日は違った。
彼は繊細なこの楽器を慈しむように愛撫する。この組み合わせ、野獣と幼女の趣。淫靡でさえある。ピアノのときのような「闘い」は無用だから、そのぶん彼の音楽性が如実に伝わってくる。そして、その音楽が実にいい。主体的に耳を傾けることで結実する音や音楽。喧噪さであふれるこのご時世、コンサート・ホールだけでも、こういうもので満たされていて欲しいと思う。(音楽評論家・鈴木淳史)

●1722年にひとまず決定稿がまとめられた《第1巻》と異なり、晩年十数年に少しずつヴァージョンアップしつつも最終稿はついに完成されず、いわば「ワーク・イン・プログレス」のまま作曲者が逝去してしまった《第2巻》は、演奏解釈上の大きな問題を孕んでいます。また《第2巻》では、諸プレリュードの内容と規模の増大により、全48曲で総演奏時間約2時間半余を要する長丁場となります。
●今回は、この平均律《第2巻》の異稿研究に関して世界的権威である音楽学者、富田庸氏(英国王立ベルファースト大学)より、来年(2007年春)に独ヘンレ社から刊行予定の、最新の研究成果を盛り込んだ校訂版を、日本国内限定使用の条件で特別に御提供頂きました。1996年に出版され流通しているベーレンライター社(新バッハ全集原典版)の不備を補って余りあるものです。
また、運搬・調律を担当して下さる梅岡楽器サービスの梅岡俊彦氏の御尽力により、ベルギーの名匠、ジャン・トゥルネイ製作の専有弦モデルの美しいクラヴィコード(個人蔵)を、全公演にて使用させて頂けることとなりました。
●平均律《第1巻》自筆譜表紙に描かれた渦巻き模様が、実はバッハ独自の調律法を指し示しているのでは、という議論が2005年2月にアメリカ人学者から提出され、話題を呼んでいます。これに対して実践的/理論的補強を加えた調律法が、フランス人チェンバロ製作家エミール・ジョバンによって2005年6月に発表されました。今回は日本では初めて、1/4シントニク・コンマによるこの新発見バッハ調律を披露致します。
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ベーゼンドルファーを弾く・第3楽章「21世紀のピアノ音楽~ゲントと金沢を結ぶピアノの音色」
2006年8月30日(水)19:00~/金沢21世紀美術館Teater21
前売\1000、当日\1500(全自由席)
大井浩明(pf)、梅岡俊彦(調律とお話)
フランツ・リスト: 《ラ・カンパネラ》 S.140-3
ルシアン・ポスマン:「展覧会の絵」に基づくピアノ・エテュード《モデストの物語》 (2000、日本初演)
佐藤慶次郎:ピアノのための《カリグラフィー》 (1957/59)
三宅榛名:《鳥の影》 (1984)
譚盾(タン・ドゥン):《C-A-G-E》~ピアノのための指捌 (1993)
<休憩 15分.>
ジャン=アンリ・ダングルベール:《シャンボニエール氏の墓》 (1670s)
三宅榛名:《捨て子エレジー》~ピアノ弾き語り (1973)
足立智美:《ブラパンダン Brapandan》 (2006、委嘱新作・世界初演)
カールハインツ・シュトックハウゼン:ピアノ独奏のための《自然の持続時間》より第5~7曲(2005、日本初演)
【お問い合わせ】金沢21世紀美術館 (076-220-2800)
【プログラムについて】
金沢市・ゲント市(ベルギー)姉妹都市提携35周年記念として同館で開催中の、ゲント(ベルギー)現代美術館コレクション展覧会に因んで、ゲント在住の作曲家ルシアン・ポスマン、金沢出身の作曲家足立智美の新作を初演します。ポスマン作品は、ムソルグスキー《展覧会の絵》に基づくパスティーシュ。 サウンド・アーティストとして国際的に活躍する足立氏の10年ぶりの「楽譜に書かれた作品」は、氏がゲント滞在中に想を得たものです。
また翌々日に同ホールで開催される、クラヴィコードによるバッハ《平均律》演奏会へのリンクとして、沈黙・静寂・死をモチーフにした現代作品を集めてみました。 世話になったシャンボニエールを悼むダングルベール、三途の川岸で石を積むコインロッカー・ベイビーを歌う三宅作品、導師ジョン・ケージの名による音列をもてあそぶ譚盾作品、と三者三様です。
プログラム最後のシュトックハウゼン新作は、昨年30年ぶりに氏が来日した際の京都滞在中(2005年7月)に書かれたもので、60年代前衛風作品群や連作オペラ《光》に比べると、あたかもケージやフェルドマンに接近するかのような興味深い作風を示しています。因みにこのピアノ連作《自然の持続時間》は、未初演のものを含めると、バッハ《平均律》と同様「24曲でひとまとまりのチクルス」を想定しているようです。

パフォーマー/作曲家。ヴォイス、各種センサー、コンピュータ、自作楽器によるソロ演奏、音響詩、舞台音楽など幅広い領域で活動している。またインスタレーション作家、映像作家としてもキャリアがあり、非音楽家とのワークショップによる大規模なアンサンブルのプロジェクトも進めている。ヤープ・ブロンク、カール・ストーン、高橋悠治、ブッチ・モリス、大友良英らと共演、世界各地のオルタナティヴ・スペースの他、パリ・ポンピドゥーセンターやアムステルダム・STEIMなどで公演している。CDに足立智美『ときめきのゆいぶつろん』(naya records)、足立智美ロイヤル合唱団『yo』(Tzadik)などがある。
ピアノ独奏のための《ブラパンダンBrapandan》(2006)
旋律楽器(4音音階による)と打楽器(5種のクラスター)に分割されたピアノによって演奏されるモノフォニー。時間に関する全体構造は持たないが、逆行カノンが部分構造として多用される。音がならべられた線の上を行ったり来たり、ジャンプしたり立ち止まったりする仮想のダンスとして作曲されている。この作品は2006年5月末にベルギーのゲントで構想され、タイトルは作曲を開始したゲント市内の住所に由来する。