人気ブログランキング | 話題のタグを見る

[未改訂]■2005/02/07(月)  回内と回外(その1)


ピアノやチェンバロの後にオルガンを始めた場合、どうしてもネックになるのが足鍵盤(ペダル)奏法です。子供の時分から毎日曜日に教会でオルガンを弾く機会に恵まれた人達にとっては、新参者がなぜペダルで苦労するのかが理解出来ないようで、そのせいか、原則についてハッキリ文字化されたものは、ほぼ見かけたことがありません。以下、叩き台として諸賢の御意見を伺いたく存じます。




(1)やはり椅子は低くするべき。―――椅子の高さが固定されている場合、ペダル表面からだいたい45cmくらいのものを良く見かけます。奏者の足の長さによっては、踵を自然にペダルへ沈めることが出来るように、椅子の高さはもっと低くしても良いのでは無いでしょうか? バッハ等バロック的に両爪先だけ使用していると、踵の位置が跳ね上がり(すなわちリキみ)、その結果自動的に足全体に力が入り、余計な神経を使わなくてはなりません。余談ですが、就中ザクセン式のペダル音域の横幅が広い楽器では、バッハ作品(たとえばヘ長調トッカータ)などで踵の使用も余儀なくされるようです。もちろんクレブスのダブル・ペダル作品等も・・・。

(2)椅子には「最大限」深く座ること。―――この点も(1)同様、長年私は試行錯誤を続けていました。とにかく前のめりは良くありません。普通に座ったときに、ペダル上空2~3cmのところに両足の底面が待機していること。オルガンの前ではなく、家の椅子に座ってみて、どういう座り方が両足(と爪先・踵)を最も自由にコントロール出来るかイメージしてみる。オルガンの前だと、どうしても音を「あてる」ことに意識が先行し、不自然なリキみが派生してしまいます。(ピアノの手の形の練習を机の上で「観察」してみるのと同様です。)深く座ったのち、演奏中に位置が動かない(前へずれていかない)こと。

(3)体から楽器への距離は比較的近めに。―――私の場合、鍵盤端から椅子までの距離は15cmくらいです。最上段鍵盤に手が届く範囲で、遠すぎず近すぎず。ピアノを弾く時の位置と同じ、とは考えない方が良いでしょう。

(4)もちろん基本は「内股」。――――スキーやスケートでの股・腿の使い方と同様です。「V字」「∧字」それぞれの状態で、足の外側・内側に効率よく重みが伝えられるように。その時に膝がリキまないこと。
[未改訂]■2005/02/07(月)  回内と回外(その1)_c0050810_15293265.gif

(5)足首のリラックス。―――私がスイスの音大ピアノ科で4年間かかって学んだことを一言でまとめるなら、それは「手首のリラックス(なかんずく水平方向の自然な回転)」に尽きますが、迂闊にもそれをオルガン・ペダル奏法に適用出来ておりませんでした。足首をクネクネと水平方向に回転させることで、完全4度までの跳躍は、足首の位置を全く動かさずに確実にヒット出来ます。すなわち、片足でオクターヴ跳躍する時でも、事実上足首の移動は完全5度で済むわけです。

(6)靴の中の親指や小指はリラックスしていること。―――案外盲点かもしれません。例えば、隣接する「白鍵」を片足(内側)で弾く場合、親指の根元の「一点」と踵の「一点」(側面)を使用すること。足先全体や踵全体でベチャッと押さえるのではなく、いわばポイントで突く感じです。こうすれば、効率良く足の重みをペダルへ伝えられるので、足首・膝・腿そのほかが硬直しなくて済みますから、音楽面に集中することが出来ます。ジャン・ギュー編曲リスト「プロメテウス」冒頭の片足(左足)によるトリラーも、これで解決!? (右足はクレッシェンド・ペダルを踏んでいる)。以上はあくまで原則ですので、ケース・バイ・ケースで足の形が崩れないために最小限「意識を通す」ことは必要です。

(7)専用のオルガン靴を買うこと。―――やはり専用のものが、最もラクに演奏出来ると思います。米国オルガン・マスター・シューズ社の専用靴がベストでしょう。私のような大足用(男性28.5cmとか。横幅も広い)も取り揃えています。サイズの受注作業等がおざなりなアメリカの本社よりも、きめこまかな対応をしてくれる輸入元クロダ・オルガン社をお薦め致します。私は長らく、ダンス・シューズの踵にコルクを引っ付けた「手作り」のものを使用していました。何たる時間のロスだったことでしょう。もっともヨーロッパ人オルガニストなど、「いつも履いてる靴」でそのまま弾いてしまう(しまえる)わけですが。

(この項続く)
Commented by k.n. at 2005-02-08 18:56
留学時代は、「体中の筋をストレッチする」のが目的で、
イスは「できる限り高く、最大限に浅く」座っておりました。
その高さが一般的にどのような高さだったのかは、わからずじまいでした。
Commented by cecilia at 2005-02-09 03:02
ooiさん、ブログ開店おめでとう! いつもよくわからないけど、今度もついていけません。 元気ですかーーー? 大井さんのお料理いつもお肉、肉、肉のイメージが。。。 皆様お味は保証いたします。

















Commented by 「ゎ」とか「にょ」とか「☆」 at 2005-02-09 03:48
おばはんスペース多すぎんねん。ちゃんとオルガンについてコメントしなはい。肉ばっかりちゃうで。わざわざ送ってもらったニンニク潰し器で(やはり高めのものは凄く便利)、昨日は野菜&ニンニクだけのスープを作ったもん。
Commented at 2005-02-09 16:42
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by ooi_piano | 2005-02-07 21:20 | プロメテウスへの道 | Comments(4)

Blog | Hiroaki Ooi


by ooi_piano