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■2005/02/10(木)  琳達感到為難了(その1)


バイエルン放送響とは本番前日の木曜日朝に、最初のリハーサルを行いました。
午後一杯使ってよい、と言われたソリスト控え室でダラダラさらっていたら、ほどなくメガネをかけた温厚そうなおじさんが現れ、「あ、使用中ですか、失敬」と言いつつすぐ去っていきました。今晩このホールで別団体の演奏会があると聞いておりましたが、そのコンマスでしょうか。練習を続けるうち、真っ黒な譜面のせいでどうにも眠くなってしまい、野比のび太のように「ぐう。」とピアノに突っ伏していたら、再び先ほどのおじさんが登場、「あのー、いつまでこの部屋使います?」と訊くので、寝ぼけながら「いや6時まで大丈夫って聞いてるんですけど。」と答えると、再び消えました。
そのうち、ヘラクレスザールの舞台からピアノの音が聴こえてきました。ベートーヴェンの作品109のソナタ。これが楽屋スピーカーを通してさえ察せられるほどの、信じ難く素晴らしい音色で、喩えるなら全盛期のアルヘリチがラヴェル協奏曲第1楽章のブルーノートのひとふしで一瞬醸し出す、この世ならぬ蟲惑的な響きとでも申しましょうか。



加えてそのテクニックの凄まじいこと、練習の進め方は極めて老練かつ丁寧にも関わらず、指回りはまるで10代の天才少年の闊達さ。引き続き作品110、パピヨン、ダンテと弾き進めていきましたが、確かにベートーヴェン後期をシューマンのスタイルで弾いている(あるいは総じてテンポが速すぎることが多い)、という批判は成り立つものの、あそこまで高度な音楽性・和声感・技術を見せつけられると、「案外これはベートーヴェン自身が喜ぶかも」というレベルの仕上がりで、「演奏様式とは何に与するものか」について色々考えさせられまた。
ステージ裏をウロウロしていたオケ楽員に、今晩のピアニストが一体誰なのか訊いてみたところ、誰も名前を知らない。裏方の一人が、「確かプロコフィエフとかプロコハエフとか言う名前だった」などと言うので、ああ、ロシア人なのかな?と思いつつ、楽屋入り口の受付のおじさんに訊いたら、大声で「ハァ~~~メェーイ、リンッ!」と叫んでいます。「リン・・・? リン氏?」「そう!! ハァ~~~メェーイ、リンッ!」。どうやら琳(リン)さんという名前のようでした。公演パンフをもらって見たら、さっき会った人の良さそうなおじさんの写真が載っていました。よほどサインでももらいに行こうかと思ったのですが、ああも「嘆きの歌」の左手がstop and goなのはちょっと・・・。

■2005/02/10(木)  琳達感到為難了(その1)_c0050810_1742976.jpgバイエルン歌劇場。
泊まったホテルは近くのHotel an der Operというところで、どうもシケた印象でしたが、タマヨ氏とは狭っちいエレヴェーターの中でばったり遭い、ちょうどトスカ役で出演していたダニエラ・デッスィも3階に投宿していたらしい。歌劇場のすぐ横手がヘラクレスザール。

■2005/02/10(木)  琳達感到為難了(その1)_c0050810_17461799.jpgホール楽屋口へ通じる門。それにしても上記の歌劇場と言い、どうしてこう仰々しく偉そうな造りになっているんでしょう。


■2005/02/10(木)  琳達感到為難了(その1)_c0050810_571031.jpg「オーケストラB」の作曲者、1962年アイスランド生のアトリ・インゴルフソン氏(現在ボローニャ在住)。
Commented by cozy@kyoto at 2005-02-13 23:26
アムランですがな。すげー。カナダと日本の超絶技巧ピアニスト、ドイツで邂逅。
Commented at 2005-02-13 23:49
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by ooi_piano | 2005-02-10 22:24 | コンサート情報 | Comments(2)

6/7(日)《ブラームスの轍》第1回公演


by ooi_piano