
28歳でスイスの音大に入学するまでは、基本的に私は自室の電気ピアノで練習してましたので、よって「音色」だの「タッチ」だのという概念は、無いに等しい状態でした。
それでも楽しくピアノは弾けていたわけですが、ただ例えばメシアン《音価と強度のモード》やブーレーズ《構造》などに現れる、「アタックのセリー」の処理の仕方は全く見当がつきませんでした。アタックとは何か?「音の立ち上がりのことだ」と言われてみても、ピンと来ません。
音色をセリエルにコントロールする、という演奏様式を通過したピアニスト、すなわちブーレーズ《構造第1巻》をマトモに練習した数少ないピアニストの一人であるB.カニーノの意見を私なりにまとめると、以下のようになります。
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